皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第38話

 「星系破壊奥義『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』発動準備開始!」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 他の『神機』も予定通りのポジションに陣取ってので、作戦をスタートさせた。

 

 広大な暗礁宙域を『神機』6機全員で、周囲を均等間隔で取り囲む。

 

 「『ウィング・ビッド』展開!」

 

 その自分の号令で『メタトロン』の羽根をシフト(位相差ジヤンプ)させて、各『神機』に『メタトロン』の持つ合計72枚有る羽根を其れ其れ12枚ずつ傘下に入れさせて、暗礁宙域を完全に覆い尽くすように魔力フィールドを展開させる。

 

 膨大な魔力を使用する魔力フィールドなので、暗礁宙域の奥に有ると思われるバグス共の『宇宙大怪獣』を生産している生産拠点から、重力偏差を伴った『クエーサー(準恒星状光源)』が瞬いている様が観測された。

 

 此の段階でその程度の反応しかしていないバグス共に、些か不安を感じてしまったがまさか状況を直ぐに把握できるとは思えないので、恐らく混乱しているだけだろう。

 

 そう思いながら、完全に暗礁宙域を覆い尽くした報告が相棒のアルから有り、いよいよ気合いを入れて『メタトロン』の究極技を発動体勢に入った!

 

 「『メタトロン』モード変更! 『ルシファー』最強殲滅モード、『堕天使深淵の死刑執行者(ダーク・インフェルノ・ジャッジメント)』スタイルに移行!

 照準、暗礁宙域中心核!

 亜空間内からのエネルギー供給、70%、90%、120%、150%、200%、300%、450%、700%、1000%!

 究極技発動準備完了!

 『神機』メインパイロットの発動権限解放!」

 

 「了解、発動権限確認!

 発射準備。全エネルギー砲塔先端部に集中。

 セーフティロック解除。エネルギー充填1000%。

 敵目標、暗礁宙域中心核。

 最終安全ロック解除。

 対ショック、対クエーサー(準恒星状光源)防御。

 星系破壊奥義『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』発動!」

 

 其の次の瞬間、無音な筈の宇宙空間を音では無いのだが限りなく音に近い震動が、凄まじいレベルで暗礁宙域全域と其の周辺を容赦無く揺らした!

 

 「ズウウウウーーーーーーーン!」

 

 と云う震動が自分含め全ての人々の身体に届いた様で、肺腑を暫くの間揺らされ続けた。

 

 我々に起きている変化は其の程度だが、目標であった暗礁宙域全域は凄まじい状態になっていた。

 

 究極技を発動させる前までは、かなり密集した形で宇宙塵や星屑等が有って、とてもではないが宇宙船が航行出来ない程だったのだが、現在は何もかも綺麗サッパリ無くなっていた

 

 「・・・此れが『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』の威力か・・・。」

 

 思わずコックピット内で呟いて、目標である暗礁宙域に広域探知魔法で探査した。

 

 暫くの間探査し続けたのだが、何も反応が無いのでもしかすると、『フェーズトランスレーション・スターシステム・クラッシュ(相転移星系破砕)』で全て滅ぼせたのかも知れないと思い、やや安心した心持ちになって安堵の息を着いた。

 

 仲間である『神機』部隊の面々に状況を確認しても、一切の反応が無い様なので安心出来そうだ。

 

 まだ気を抜くには早いので、『神機』よりも探知機能が優れている『神威』に暫くの間探査を続ける様に依頼した。

 

 その間に他の『神機』達をシフト(位相差ジヤンプ)で集結させ、預けていた羽根を回収し殆どのエネルギーが枯渇していたので、『神威』に格納してもらい艦艇からのエネルギー補填を受ける事にした。

 

 一旦『神機』から、メインパイロットとサブパイロットである星猫達、そしてドラゴンの『ミネルヴァ』が降りてきて、現状の確認とこれからの行動を考える為に、『神威』の艦橋に向かった。

 

 艦橋に着いて、艦長にして司令官の『岳飛 鵬挙』殿に声を掛けようとした瞬間、

 

 「ビィーッ、ビィーッ!」

 

 と警報音が『神威』の艦内に響き渡る。

 

 全員が緊張する中、ナノム・ネットワークを通して航宙軍に所属する全ての軍人に向けて、『神威』の探査結果が詳細なデータで公開された。

 

 其れは、『黒い穴』であった。

 

 宇宙空間に穿たれた、この世の深淵に刻まれた『黒い穴』!

 

 ブラックホール程の重力異常こそ無いものの、明らかな重力偏差が認められる。

 

 もしかすると、我々は勘違いして居たのかも知れない・・・。

 

 『宇宙大怪獣』の生産拠点が有ると推測していたのだが、其れは完全に間違いで此の『黒い穴』を隠す為に暗礁宙域を選んでいたのだとしたら?

 

 そして呆然としている我々をよそに、奇妙な話しだがナノム・ネットワークを通して何かが『黒い穴』を通ってやって来る予感を、此の場にいる全員が感じていた。

 

 ヒタヒタとまるで歩いてくる様な、ゆっくりとした歩調で『黒い穴』を通ってやって来るモノ。

 

 嫌な汗を背中にかきながら、自分は此れまでで最強の敵が来る事を本能で判っていた。

 

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