「頼んだぞみんな!」
「「「おう、任せてくれ!」」」
「「「ああ、頼まれたからには殲滅させるぜ!」」」
「「「バグスの思い通りにはさせない!」」」
『神威』に有る格納庫で、『機動武人(モビルウォリアー)』のパイロット達を集めて細かく指示を与えた後に、みんなと円陣を組んで激励し合った。
そうやってみんなを送り出した後、次に『竜機人(ドラゴノイド)』及び『竜機神(ドラグゴッド)』のドラゴン達へ、『神威』の後方上甲板で訓示する事にした。
ドラゴン達を『神威』の後方上甲板に並ばせてから、自分は立体プロジェクターを起動させて語り掛けた。
「アトラス殿とグローリア殿始め傘下のドラゴンの方々! 此の四半世紀に及ぶ帝国への献身には何時も帝国民の代表たる皇家の一員として、感謝してもし足りないと思っていて、此のバグスとの決戦を終えたらどうぞ帝国軍から一旦除隊して貰い、望む者だけが再度帝国軍に所属して頂き、残りのドラゴンの方々は帝都コリントに有る、ドラゴンの都(という名のドーム)や『魔の大樹海』で自由気ままに竜生を謳歌して貰いたい!
しかし、それもこれも全ては此のバグスとの決戦に掛かっている!
何故ならば、ドラゴンの方々と我々の故郷たる惑星アレスも、此のワームホールから溢れ出すバグス共を葬らねば、何時か来襲して来て惑星アレスの存続は風前の灯火となってしまうからだ!
どうか、双方にとって不倶戴天の敵たるバグス共の源泉たる此のワームホールを攻略するにあたって、その大いなる力を今一度貸して頂きたい!」
と大きく頭を下げてお願いをすると、『竜機神(ドラグゴッド)』に乗っているアトラス殿とグローリア殿が進み出てから、自分と同じく頭を下げて挨拶して来た。
「有り難う御座います、アポロニウス皇太子殿下!
当然我々ドラゴン一同には、此の決戦の意味と其れが齎す今後の展望の変化を、痛い程に理解して居ります。
アポロニウス皇太子殿下のお父上にして帝国の皇帝陛下たるアラン様に、天狗になっていたその当時の自分の性根を叩き直されて、ドラゴンとしての本当の誇りと使命感を教えられました!
お陰で妻と子供も得られた上に、真の意味でドラゴンと人間との融和も果たされました。
必ず此の決戦に勝利し、より素晴らしいドラゴンと人間との未来を迎える為に、最善を尽くす所存!」
「夫の言うとおりです! 私とアラン皇帝陛下との出会いから今日までの『人類銀河帝国』の発展する過程の一助を、ドラゴン達が担えた事実は私達の誇りであり自信となっています!
此の決戦を勝利で終わらせる事で、より良い人間との絆を作れる事が嬉しくすら思いますよ!」
とドラゴンを代表する2頭が、恭しく自分に挨拶して来たので、自分は帝国軍人らしく敬礼して送り出すと、2頭の『竜機神(ドラグゴッド)』を先頭に1千機の『竜機人(ドラゴノイド)』が、ドラゴン流の敬礼(胸に手を当てる)をしながらワームホール入り口に再度向かって貰う。
その後方を14機の『機動武人(モビルウォリアー)』が続き、魚鱗の陣を解いてワームホールの正面から位置を変えて周囲を取り囲む形で帝国航宙軍の艦隊は陣を構築した。
さて、準備は整ったバグス共の次の行動を注視しよう。
その間も当然『神機』達は回復する為の、亜空間からのエネルギーの充填と帝国航宙軍の艦艇からの余剰エネルギーを吸収し続けている。
凡そ後4時間位で動ける目処が着いたと同時に、『神威』からの探知魔法での索敵に反応が有った。
どうやら、現在星屑と宇宙塵で蓋をされた状態のワームホール入り口近くまで、バグスの大艦隊が押し寄せて来て、小型(と言っても数百メートル規模)の戦闘機やその類が一斉にばら撒かれて、星屑と宇宙塵の隙間から此方に侵入し始めたらしい。
当然その索敵データは最前線の『竜機神(ドラグゴッド)』と『竜機人(ドラゴノイド)』そして『機動武人(モビルウォリアー)』に送られ、彼等が予め敷設して置いた魔法機雷や遅延魔法爆雷をその侵入ルートに誘導する様に配置し直させた。
その目論見通りバグス共の先行侵入部隊は、次々と魔法機雷や遅延魔法爆雷に封入していた数々の殲滅魔法を喰らい続けて、ドンドン消滅して行った。
だが、その損害すら物ともせずにバグスの部隊は波状攻撃を繰り返してくる。
やはり、バグスにとっては恐らく此の部隊など武器の一つに過ぎず、簡単に言うと弾頭程度でしか無いのだろう。
その価値観の違和感を味わいながら、的確な戦闘指示を送るべく『神威』の探知魔法で表示される敵の詳細なデータを解析して行く。
すると、一つの魔法機雷や遅延魔法爆雷をすり抜けた、明らかに生物と思われる敵の部隊の解析結果が示された。
其れは、とても自分達が良く知る生物の形状に似ていた。
長い首と巨大な翼、そして長く太い尻尾、そうその生物は惑星アレスのドラゴンと酷似していたのだ。
どういう事だろうと、改めて敵の部隊の解析結果を見直していると、更に詳細な解析データがモニター上に示された。
其処には非常に此のドラゴンと覚しき存在と類似性のある、或るドラゴンのデータが並べられたのだ。
其のドラゴンの名は、『ジャバウォック』!
且つて、帝国と戦ったアラム聖国が切り札としていた『破滅竜ジャバウォック』の姿が、モニター上に映し出されたのだ。