過去のデータを参照した上で、『破滅竜ジャバウォック』の結末を確認してみると、敗れた際に『草体』がジャバウォックを取り込んで爆発していた。
その時の爆発規模と発射したジャバウォックを、取り込んだ種子の飛んでいったスピードを確認してみると、第二宇宙速度に達する事が確認出来た。
つまり、あれから20年の月日が経っている事を考えると、もしかするとジャバウォックを取り込んだ種子をバグス共が回収した可能性がある。
そしてバグス共は、ジャバウォックを量産した上に宇宙空間で活動出来る様に改良したらしく、大量のジャバウォックが次々と宇宙空間にも関わらずビームの様なエネルギー波を口から吐く波状攻撃をして来た。
その攻撃によって魔法機雷や遅延魔法爆雷が殆ど破壊されてしまったので、いよいよ『竜機神(ドラグゴッド)』と『竜機人(ドラゴノイド)』そして『機動武人(モビルウォリアー)』による白兵戦が展開される事になった。
だが、如何にジャバウォックを量産した上に宇宙空間で活動出来る様に改良したとしても、『竜機神(ドラグゴッド)』と『竜機人(ドラゴノイド)』に搭乗しているドラゴン部隊には敵すべくもなく、牽制用のブラスター砲での一斉照射で簡単にジャバウォックの大軍勢の中央に大穴を開けられて、瞬間攻撃の手が止まった。
そのタイミングに一気に『竜機神(ドラグゴッド)』と『竜機人(ドラゴノイド)』そして『機動武人(モビルウォリアー)』が一気にその大穴に突っ込むと、宇宙空間ならではの球形陣形を組んで周囲のジャバウォックの大軍勢に魔法攻撃の弾幕を張り続ける。
「ドドドドドドドドドドッ!!!」
その凄まじい連射と魔法攻撃の威力は、恐らく5千万体を越える数のジャバウォックの大軍勢を、散々に蹴散らして行き15分程で殲滅する事に成功した。
しかし、このジャバウォックの大軍勢もバグスにとっては、精々強行偵察部隊でしかなあったのだろう。
次の大群が押し寄せて来るのが探知魔法で確認されたので、かなりボロボロに壊されて蓋にならなくなった星屑や宇宙塵の塊を、最後の盾として利用する形で竜機神と竜機人そして機動武人は後退して休息をとっている。
「どうだ、あと3時間頑張れそうか?」
その自分の問いに、各部隊が答えてくれた。
アトラス殿が、
「まだまだ前哨戦なのでハッキリとは申し上げられませんが、今の調子だと『神機』が回復するまでは持つと思われますよ」
と答えてくれて、次に機動武人を率いて貰っている『百八家』の筆頭たる『劉玄徳』殿が、
「そもそも我々が想定していた敵は、『宇宙大怪獣』の群れです!
此の程度の敵に苦戦等していられません!」
と決然たる態度で応じてくれた。
「両人共に、有り難う! 現在出来る限りの速さで『神機』のエネルギー充填に努めている!
何とか後3時間、健闘をお願いする! だが当然無理をする必要は無いので、冷静な判断の元で行動してくれ!」
「「「了解!!!」」」
との会話をした直後に探知魔法の詳細なデータが幕僚から報告され、其の解析結果を全員で確認する。
「・・・此れはまさか、例のスラブ連邦での戦役で倒した『古きものども』の怪物達なのか・・・?」
其の呟きをケントが嫌そうにしているのを横で聞きながら、艦橋に居るみんなも同様に嫌悪感に満ちた顔をして解析結果を眺めていた。
其の『古きものども』の怪物達とは、『テュポン』・『ヒュドラ』・『ダゴン』・『ハイドラ』・『バックベアード』・『蚩尤』・『レギオン』・『ギャオス』の巨大な怪物達で、明らかに元の大きさよりも大幅に巨大化していて、然も生物と云うより死体の様な目付きをしたゾンビの集団の様だった。
しかし、その数が想定を遥かに越えている。
何と先程のジャバウォックの大軍勢5千万体を優に越えて、5億体と云う信じ難い数字でワームホールのトンネル内を埋め尽くしている。
だが、此の恐るべき数字の怪物の大軍でも『宇宙大怪獣』一体のエネルギー保有量に届かない。
其のデータを受けて竜機神と竜機人そして機動武人は、陣形を組んで或る攻撃フォーメーションに移る事にした様だ。
其の攻撃手段を援護するために、事前に用意していた特殊攻撃を選択して準備していた工作艦隊に指示し、自分の『神機』たる『メタトロン』の権能を使用し、タイミングを測ってシフト(位相差ジャンプ)の特異点を繋げる。
其れは此のアルカディア星系とは遠く離れた場所に有る『ブラックホール』のシュヴァルツシルト半径を、スイングバイで加速させ続けている超過重物質の予定進路上に特異点を出現させて、その出口をワームホールの入り口に出現させて超過重物質を直接怪物の大軍にぶつけるのだ。
此の攻撃は、本当なら『宇宙大怪獣』にぶつける必殺攻撃とする予定だったのだが、この際実用に耐えれるか試す事にした。
さて、どの様な結果になるか確認してみよう。