(ドラゴン軍団副師団長 グローリア紅竜王妃)視点
久しぶりの大暴れで、本当にスッキリしたわ。
軍事訓練や様々な建造協力で、魔力を使用して全力を出すのは其れは其れで気持ち良いけど、やっぱり悪辣且つ私達に悪意を持つ敵を打ち倒す事実は、充足感も感じるので爽快感は半端じゃないわ。
私の戦歴も23年以上を越えて、帝国軍でも尊敬されて久しいけど、やっぱり最前線で戦うのはドラゴンとしての性に合っているわ。
《・・・あれから23年以上経つのね・・・。》
私は、かれこれ四半世紀近く前のアラン皇帝陛下との出会いから思い返したわ。
それまでの私は、広大な『魔の大樹海』を縄張りに持つ、誇り高き『紅き森一族』のたった一頭の末裔として縄張りの監視以外は、かなり怠惰な生活を繰り返していたのよ。
ある日縄張りに侵入して来たはぐれドラゴンを 追い払う為に飛び立ったのだが『ドラゴンの対決』を宣言して戦ったにも関わらず、ルールを無視した相手に倒されてしまいそうになったのだけど、その場に居て相手と事前に戦っていたアラン皇帝陛下が、アッサリと相手を倒してくれたの。
それからアラン皇帝陛下に服属する事になって、当時は別の名称だったけど『帝国』に迎え入れられたわ。
数々の戦いをアラン皇帝陛下の騎竜となって、最前線で帝国軍の主力となって戦って行く内に、その昔私達ドラゴンと人間との良好な関係を崩壊させた元凶が判ったわ。
本来『神々(調整者)』によって、惑星アレスに於ける霊長としての『人類に連なる者』と寄り添い、共に歩む者として私達ドラゴンは生み出された。 しかし、その事実はバグス共の背後に居る『古きものども』にとっては実に忌々しかった様で、奴等はそれを阻害する為に『破滅竜ジャバウォック』・『双頭の暴虐竜ザッハーク』を産まれて来るドラゴンの因子に紛れ込ませる事に成功したの。
此の二体は、大昔にドラゴンと人の意志疎通を手助けする石(現在ではテレパシーでの翻訳アーティファクトであったと判明している)を密かに破壊してしまい、更には人の王国を支配して周囲の国々を破壊していったわ。
他にも『古きものども』は、様々な企みをあらゆる方法で此の惑星アレスに対して施して来た。
その成果が今現在戦っている怪物達だ。
恐らくバグス共は、惑星アレスでの実験を何らかの形でフィードバックして、宇宙空間でも戦える様に改良し大量生産していたのだろう。
《・・・なんて執念深く、念入りな所業だろうか・・・。》
だが、私の主にして至高の存在たるアラン皇帝陛下は、いち早く『古きものども』の目論見に気付き、奴等の企図を尽く挫く為に着々と準備を整えて行動して行ったの。
そんなアラン皇帝陛下の一助となるべく、私はイーリス様と協力してグルーガ(ワイバーン)を、他の森林にて捕らえて私と同様に『ナノム玉』を飲ませる事で人間との意思疎通が出来る様にしたり、私共々進化する事でドラゴンにランクアップする事で強力な存在となり、帝国の主力として頑張って来たわ。
そんな帝国の歩む道の途中で、後の私の夫である『アトラス黒竜王』と出会い立ち会った上で従えて、私からアラン皇帝陛下の騎竜の立場を切り替えたり、更なる進化を夫含めてドラゴン全員がする事で『古きものども』の強力極まりない怪物達に対抗出来る様になったわ。
スラブ連邦との激戦を終え私と夫の結婚式をしてから、念願の私の娘『ミネルヴァ』を授かる事が出来たわ。
然もドンドンとグルーガ(ワイバーン)がドラゴンに進化させた上で、私達の様に子孫を増やして行ったので、現在は帝国の専用ドームで幼竜や卵は続々と育成されていて、ドラゴン種は既に3千頭の数に膨れ上がっているわ。
その昔、たった一頭で何をする訳でも無くただ寝てばかり居た境遇とは雲泥の差ね。
その後、アラム聖国との死闘を終えて漸く一時の平和を得たのだけど、『古きものども』の尖兵たるバグスの大軍団は宇宙を席巻している事実を考えると、とても安穏として居られなかったわ。
案の定それから15年後には、月の封印を解く事が出来たので更に『古きものども』の真実と、私達を生み出した『神々(調整者)』の意図も判明したの。
その間、私の愛し子たる『ミネルヴァ』と、アラン皇帝陛下の後継者『アポロニウス皇太子殿下』も順調に育ち、アラン皇帝陛下が己の全てと引き換えにした『古きものども』の首魁『クトゥルフ』の分体とのハルマゲドンで、まともに戦えなくなったアラン皇帝陛下の代わりとなる程に強く成られたわ。
期待通りに『ミネルヴァ』と『アポロニウス皇太子殿下』は、見事に『神機』達を乗り回し、バグスの大軍団から本来の『人類銀河帝国』の領土を奪還し続けているわ。
きっと、数百年後には此の銀河系をバグス共の野望から奪い返し、遠い未来には此の宇宙からバグス共を駆逐してくれるに違い無いわ。
流石にそんな未来には私は居ないでしょうけど、きっと『ミネルヴァ』を通じて私の子孫は帝国と共に歩んでる事でしょう。
私は、目の前の怪物の大軍に自慢の魔力攻撃を加えながら、輝かしい未来を思い描き、思わずほくそ笑んでしまったわ。