朝からアスガルド城内どころか、スクールバスの職員達も興奮の坩堝だった。
スクールバス内でも、最初に乗ったケント自身が興奮しきった感じで、自宅でケントの両親に詳しい当時の事情を聞きまくったそうで、両親よりもケントの曾祖父・曾祖母達が当時のスターヴェーク王国の話しをしてくれたそうで、ケントと弟のマー君は曾祖父・曾祖母達の部屋で遅くまで起きていたそうだ。
「なあアポロ、お前の騎竜『ミネルヴァ』は昨日のドラマを観てるのかな?
母親のあんな凄い活躍を観たたら、今頃俺みたいに興奮してるんじゃないかな?」
「観て無くても、ミネルヴァの父親と母親はドラゴン達(現在ドラゴン300頭、ワイバーン1000頭)の中でも尊崇の対象だし、実際の処、現状では2頭のみが静止軌道と往復出来る存在で、その圧倒的な機動力をミネルヴァが憧れている姿は度々みてるから、きっとあの程度は当然だとでも認識してそうだよ」
「それもそうか。 こうなると5月の連休にみんなでミネルヴァに乗って帝国一周旅行する時、臨場感がすごそうだな」
「それよりも僕が心配なのは、ロンの奴が昨日のドラマに触発されて、余計な事を仕出かさないかだよ。
ロンは、最近、魔法の習得に異様な執念を燃やしているから、ドラゴンの魔法に興味が向きそうなんだよな」
と会話していたら、案の定合流して来た残りの親友3人も、昨日のドラマの話しをして来て、3人の中でもロンの興奮具合は半端じゃなかった。
「凄かったよなー昨日のドラマは、特にワイバーン隊の軍団魔法とグローリア様の循環魔法!
あんなに凄かったのに、現在はもっと進化しているから、もっと凄くなってるんだろう!
是非見学したいから、今度空軍の演習を見せて貰いたいと、ケント! お前の両親に頼みに行くから宜しく頼む!」
と幸いな事に僕では無く、ケントに絡んでいるから、僕はホッと息をつけた。
だがそんなのは一瞬で、残りのサクラちゃんとマリアちゃんが僕に頼み込んできた。
「クレリア様も格好良かったし、セリーナ様とシャロン様も素晴らしかったわ!
今度の母親会(女子会と若干被るが、子供も参加出来る)の時に、当時のお話しを聴きたいの!
事前に話しを通してくれない?」
「セラちゃんとシェリちゃん、そしてルー君とも久しぶりに遊びたいから、甘味処『豊穣の甘味』の最新作のお菓子をお土産に持っていくね!」
との頼みに、まあ良いかと思い、
「判ったよ、きっと喜んでくれるから、サクラちゃんとマリアちゃんのお母さんにも話しをして置いてね」
「それは大丈夫よ。 もう話しているし、他の母親会の人達も聞きたいらしいから、母上達もお願いするって!」
「特にスターヴェーク公国出身者の母親会の人達は、経緯は知っているみたいだけど、実際どうだったか知らなかった人もいて、母親会でもドラマを再生してもらい共に感動したい、と朝から連絡し合ってたわよ!」
と受け答えして来た。
此れは、皇妃宮と皇子宮が賑やかになりそうだ。
そのまま興奮した生徒達は、学校に着くと各教室に分かれて行き、授業に備える。
僕も専用端末を出して、午前のカリキュラムを確認していると、クラスメイト達が僕の周囲に集まってきて、最初はおどおどしながらも昨日のドラマの話しを振って来たから、僕は会話し易い様に笑顔を振り撒いて、なるべく落ち着いて会話して行くとクラスメイト達も打ち解けてくれて、ドラマを観て如何に父様や帝国軍(あの頃は『総帥府軍』だが)が凄かったかを語り始め、最後は全員熱気に包まれていた。
先生が入って来て授業に入り、本格的に勉強が始まり順番に科目が進むが、歴史の授業になるとクラス全体が積極的にスターヴェーク王国とアロイス王国、そしてアラム聖国の成り立ちと経緯を知りたがり、先生がどうやら用意していた、ホログラフィック動画の上映会となった。
そして給食を終えて、昼休みのドッジボールコートに親友5人で向かうと、何故か上級生達が僕等が到着したら畏まって頭を下げて来た。
何で畏まっているのか判らず、リーダーの最上級生に聞いてみると、何とほぼ全員が帝国軍人を親に持つのが判明し、昨日のドラマの激闘を鑑賞して感動したらしく、親にその感動を伝えてみたら、父様の話しになってついでに僕が入学した件が判り、顔を見せられて僕の正体が判ったそうだ。
まあ、そんな処だろうとは思っていたから、どうかそう畏まらずに先輩として振る舞って下さい、とお願いした。
そんな訳にはいかないとごねられたが、其れでは僕達にドッジボールのやり方とルールを教えて、少しづつでもゲームが出来る様にさせて下さいとお願いしたら、快く応じてくれた。
なので、今日の昼休みは上級生が見本のプレイと、してはいけないルールの解説をしてくれた。
充実した昼休みを終えると、午後は始めての体育授業を行うので、体育館に向かうと準備体操と関節伸ばし等の柔軟をみっちりと行った。
此れは軽視すると大変な事故に繋がると、体育専門の教師5人が学年全員の前で実践して見せて、生徒達もトータル10回分させられた。
帰宅して、親友達との約束を、クレリア母様とモニター越しに崑崙皇国に滞在中のセリーナ母様とシャロン母様に伝え、妹達にも知らせると彼女等は新しい友達も招待すると、興奮した様に手を取り合って喜んだ。
《・・・かなりの数のお菓子を用意しないといけないな・・・》
と思い、アスガルド城の専門パティシエに足りなくなった場合用に、保存の効く焼き菓子を用意して下さいと依頼して置いた。
何とか、食欲旺盛な妹達に見つけられないと良いなと、思案しながら日課の武道訓練をしに武道場へ向かった。