(元惑星アルカディア抵抗軍 現『帝国航宙軍レオンハルト大尉』)視点
みるみる内に惑星アルカディアは呆気なく復興して行った。
元々有った重機型ボットや様々なオートマタを、当初はフル稼働させて復興に従事させていたのだが、やはり相当な時間が掛かる公算だった。
しかし、一ヶ月後から続々やって来た惑星アレスからの、補給艦から救援物資と共に供給された超高性能なボット群(100億機体?!)が、アルカディア星系の各資源惑星や機械衛星そして植民惑星をものの2ヶ月で復活させたので、他の星系と違い70%の住民が生き残っていたお陰もあり、加速度的に最盛期のアルカディア星系を越える規模の活況を呈し始めた!
かれこれ5年以上前以来の他星系からの来訪者(シレノス星系他)も合流されて、大凡の今現在の我々の住む銀河系の状況も見えて来た。
本来の『人類銀河帝国』は大体銀河系の50%程を版図としていたが、かなりまばらな形での恒星系の星の繋がりなので、密度の高い分布図では無かったが大体の勢力図は把握出来ていた。
其れによると、凡そ25年前までの段階では本来の『人類銀河帝国』とバグスの版図は、ほぼ同程度の規模で千年間に渡って領土の取ったり取られたりを繰り返していたのだが、20年前の本来の『人類銀河帝国』の首都星系であるアサポート星系が失陥した事で、雪崩を打つ様に主要な星系も奪われて行った。
そんな中、比較的に本来の『人類銀河帝国』にとって辺境に存在する此処アルカディア星系は、あまり重要視されてなかったのだろう、かなり遅れた5年前からゆっくりと小規模なバグス艦隊で侵略されていた。
寧ろバグスにとっては、近傍に有った暗礁宙域とシレノス星系の様な比較的に弱小の星系群を、『宇宙大怪獣』を主軸として侵略して行った様だ。
現在、殆どの元は本来の『人類銀河帝国』の構成国である星系に駐留していた航宙軍は、組織的な秩序を保持してバグス艦隊に対抗出来ている状態には無いらしい。
此のあまりにも絶望的な状況に一筋の光が指した!
其れも途轍も無い眩さを放つ光芒が!
其の光源は、或る一つの出会いから始まったそうだ。
或る何処にでも居る航宙軍の士官が、乗っていた航宙軍の艦船がワープ航行中に事故に合い、近傍に有った惑星に不時着する事で、偶然にも危機を迎えていた亡国の姫君を助ける事から始まったそうだ。
何の後ろ盾も無く味方も無い状態から、寄る辺もない二人は徐々に人を助けたり魔物を狩る事で名声を得て、亡国の遺臣と合流を果たすとドラゴン(御伽噺の様だが実物を見せて貰っている)等の人間以外の存在も仲間にして、一大勢力となって行った。
やがて、協力してくれる人々や宗教団体の後ろ盾を得て、強大な国家を形作って行く。
そして、様々な国家との同盟や合流を経た上で、敵対国家を打倒して行き併合する事で、力を増す事であらゆる国家の頂点に立ったそうだ。
其の数ある戦いの中には、明確に我々が戦っているバグスの背後に居る『古きものども』の影響下に居る者共も居たらしい。
やがて、惑星を統一した彼等の国家は宇宙に進出を果たし、『神々(調整者)』の遺産たる月に到達したそうだ。
此の『神々(調整者)』の存在は我等アルカディア星系の住民どころか、他星系の住民をも驚愕させた。
確かに『人類に連なる者』が此の銀河系の居住可能惑星に遍く存在した事から、遥かな大昔に我々『人類に連なる者』の祖先を生み出した『始祖種族』とでも呼ぶべき存在が居たらしい事は、本来の『人類銀河帝国』でも提唱されていた。
『神々(調整者)』が明確に居た証と其の大いなる遺産を、惑星アレスは豊富に保持していたのだ。
其の大いなる遺産とは、現在の科学文明を遥かに越えた科学力どころか、魔法と云う摩訶不思議な技術体系すら内包していて、あまりにも異質で卓絶した代物である。
一つ目は、より進化した形のナノムによる人体改良。
本来ナノムとは、帝国に於いて軍人を始め公僕等に使用される特別な技術で有り、ある意味洗脳と云う人としての人権を無視したデメリットも存在する。
更には、定期的に『レアメタル錠』を服用しなければ失われてしまう代物だ。
しかし、『神々(調整者)』が残した技術から錬成された『ナノム玉』を服用した者は、魔力を自動で循環させて定期的にリフレッシュして、一切のナノムの追加摂取を必要としない。
二つ目は、何と言っても『魔法技術』というファンタジーの様な夢の技術。
此れは、惑星そのものが持つ生命力を、まるで惑星自身が血流の様に『龍脈』と呼ばれる地下を走るエネルギーの流れを利用する事で、『マナ』と呼ばれるそのエネルギーを魔力に変換する事で、自在に力として行使出来る技術だ。
例えば、何も無い空間に炎や水を生み出したり、怪我や病気等の人体の欠損等をナノムを遥かに越えるスピードで治す事が出来る。
現在、此の惑星アルカディアでは魔法を使用出来る様に、『龍脈』の活性化を図る為の地脈の整備を行なっている。
実は、先程述べた『神々(調整者)』の遺産は何と此処惑星アルカディアにも存在していたのだ!
例の惑星中に張り巡らせられている地下道や、地下の空間がバグスの地表攻撃を耐えきった理由も其れに起因する。
なので他の惑星と違い、惑星アルカディアはもう少しで『龍脈』を得て、我々でも魔法を使える様になるらしい。
三つ目は、『神機』と呼ばれる既存の兵器から隔絶した、正に神の機体と呼ぶべき恐るべき存在だ。
此の『神機』の前では、我々を封じ込めて来た50万ものバグス艦隊も、僅か5秒で雲散霧消してしまった。
此の様な凄まじい技術と実力を持つ、新しい『人類銀河帝国』と呼ぶべき国家が自分の所属する国家となったのだ。
惑星アルカディアを救ってくれた恩に報いる為にも、全力で奉仕して行こう。