(人類銀河帝国 第二皇子にしてルドヴィーク大公『ルーファス・ルドヴィーク・コリント』殿下)視点①
漸く俺も専用の『機動武人(モビルウォリアー)』を乗りこなす事が出来る様になった。
しかし、此の機体は今まで乗っていたパワードスーツを遥かに越えるじゃじゃ馬で、とても地上で機動出来る代物では無い。
未だロールアウトされた20機以外は素体状態のままで、カスタマイズ出来ていないのは当然とも言える。
『オービタルリングⅡ』に有る専用の格納庫(ハンガー)で降りてから、そのままデータ取りの為にコクーン(繭)状の検査室に入り、様々な身体検査を行う。
「相変わらず頑健ね~、流石はアラン陛下のお子さんだわ!
アポロニウス皇太子よりも頑丈だなんて、同世代に敵無し何でしょうね!」
「大した褒め言葉になりませんよ! 兄貴は俺程度の魔力保有量を遥かに越えてるし、本気になれば身体能力を何倍にも引き上げられるから、俺なんて軽くあしらってしまえるんですよ!」
「・・・まあ、確かにアポロニウス皇太子と褒姒皇太女を、そもそも人間の枠に当て嵌めるのが誤りかもね・・・。」
「でしょう、それでも姉貴達相手なら五分で対抗出来る様になったから、漸く自信が付いたんです!」
「そう言えば、セラス・シェリスのお姉さん達はシレノス星系に向かったのよね?」
「そうですよ、其れ其れの『機動武人(モビルウォリアー)』を持って、兄貴が駐留しているアルカディア星系の後詰めとして、シレノス星系での作業の護衛をしています」
「そうなると、各星系の拠点を御兄弟全員で守備している事になるから、ルーファス皇子の首都本星である惑星アレスの守備任務は、その中でも最重要ね!」
「そうですね! 此の惑星アレスと周辺の資源衛星及び『オービタルリングⅠ・Ⅱ』の生産力、そして月で建造されて送り出されるオーバーテクノロジーの数々は、正に他の星系を保持する為に必須と呼べます!
此等を、遅滞無く各常用拠点に送り届けなければ、折角解放した『人類に連なる者』の同胞を守りきれません!
俺は、全力で此の守備任務を果たして見せます!」
「大丈夫よ。 その為にアラン陛下は新進気鋭の者達と壮年の軍人は派遣されたけど、帝国の重鎮は殆ど惑星アレスに残されているわ。
安心してね」
そんな会話を賢聖モーガン様としていると、やがて身体検査が終わり検査室を出た。
「ルーファス! どうやら『機動武人(モビルウォリアー)』での高機動運転で体調不良にならず吐かないで戻れた様だな!」
「マーカス! お前こそパワードスーツでの20対1の乱取り組み手で、吐かなかったか?」
「ああ、大分余裕を持って戦える様になったぜ!」
「そうか、ならこのまま剣王と拳王様の道場での修行だ! 付き合えよ!」
「いいぜ! 途中で倒れるなよ!」
「吐かせ!」
と親友のマーカス(兄貴の親友であるケント殿の弟)と拳をぶつけ合って、笑いながら兄貴の組織『キャメロット』の拠点である巨大スペースコロニーに行く為に、往来船に乗った。
エネルギーチューブで往来する船は、30分程で巨大スペースコロニーに着き、俺とマーカスは取り巻きと共に剣王と拳王様の道場に向かう。
此の取り巻きとは、兄貴達の『キャメロット』と『百八家』とは別に、俺やマーカスそして従兄弟達の親衛隊を自認する奴等で、何れは『キャメロット』と似たような組織名を名乗りたいらしい。
決して俺達を不快にする行動をとっている訳では無いので好きにさせているが、出来るなら兄貴の『ナイツ・オブ・ラウンド』の様な有能な騎士たりうる存在が出て来て欲しいものだ。
そんな事を考えながら剣王と拳王様の道場に辿り着き、礼をして山門を潜り更衣室で何時もの道着に着替え道場内の練習場に向かう。
しっかりとストレッチを行い、マーカスと何時もの様に組み手を始める。
いきなりマーカスが爪先を揃えた前蹴りを俺の正面にぶちかまして来たので、身体を捻りながら裏拳を顔に打ち込んでやった。
その裏拳を片手で弾かれ、そのまま肘を鳩尾に叩き込むと、それも簡単に両手を交差して受けられた。
今度は横回転しながらマーカスは回転蹴りを次々と放って来たので、俺は後ろにとんぼ返りして距離を取り、体重を乗せた横蹴りを喰らわせる!
「ドンッ!」
マーカスの腹に当たったと思ったら、アッサリと抱え込まれて上空に放り投げられたので、天井を蹴ってそのまま踵落としを頭に落とすと、前転されて躱される。
お互いに体勢を整えると、今度はがっぷり四つに組み合った。
力を込めて互いに投げ技を繰り出そうと隙を窺うが、相手の癖を嫌というほどに知り尽くしているので、中々技に持ち込めない。
仕方ないので互いに至近距離で使える技である、膝や肘で殴り合うが決定的なダメージを与えられない。
なので俺は奥義の一つを繰り出した!
肘で殴ると見せて、そのまま片手をマーカスの腹に当てて一気に力を込めて『徹し(とおし)』を放った!
「ゴッ!」
少し後退して堪えたマーカスは、両手を揃えて30センチメートルの距離があるのに突き放った
「ボンッ!」
少々間の抜けた音だったが、俺の腹に衝撃波が届く!
《発剄か?!》
つい先日拳王から学んだばかりの奥義を互いに繰り出し、お互いにたたらを踏んで警戒する様に見つめ合う。
「ポン、ポン、ポン」
と柔らかい拍手が鳴り、俺とマーカスが音の方向に振り向くと拳王『ミツルギ』様が居られた。
「「師匠!」」
俺とマーカスは、その場で膝を着き礼をすると拳王『ミツルギ』様は、
「やはり、良いなお前達は! その体格(俺とマーカスはお互いに190センチメートルある)と格闘技術は、アポロ達の世代以外では出色の才能だよ!
さて今日は、新しい奥義を教えてやろうじゃないか、準備しろ!」
その師匠の言葉に喜んで、俺とマーカスは着ている道着を直し、師匠の前で正座した。
そしてその日、俺とマーカスは新しい奥義二つを学ばせて頂けた。