皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第47話

 (人類銀河帝国 第二皇子にしてルドヴィーク大公『ルーファス・ルドヴィーク・コリント』殿下)視点②

 

 散々身体で覚えろとばかりに、師匠(拳王『ミツルギ』様)から二つの奥義『鉄山靠(てつざんこう)』と『鬼剄(きけい)』を何度も喰らってとてもではないが歩けない状態になったので、俺とマーカスは取り巻き連中が頑張って交代交代でヒールを掛けてくれたお陰で、漸く歩いて併設されてる病院に辿り着いた。

 

 「此れだけ何度も耐えて喰らい続けたのだ、技の要点も完璧に掴めただろう!」

 

 とまるで悪びる様子もなく師匠は、カラカラと笑いながら技の説明を始めてくれた。

 

 何とてっきり神拳流と思っていた二つの奥義は、親父が伝授してくれたコリント流奥義なのだと言われてしまった。

 

 呆然としている俺とマーカスに、にこやかな笑顔で師匠は且つて親父に教授された際に、何度も俺と同様に技を喰らい心底此の奥義の恐ろしさを身体に刻み込んだと、染み染みと昔を思い出してるかの様に説明された。

 

 「剣王のシュバルツと共に、アラン陛下と格闘技と剣術の研鑽をし合って、現在の帝国格闘技の基本体系と剣術技術の基本形を作り上げたんだよ!

 今でもあの頃を思い出す度に熱くなるぜ! 神拳流と神剣流そしてコリント流の良い部分を抽出し、削げる部分を削ぎ落とし、幾つもの段階を設けてその段階をクリアする事で次の技を習得出来る様にして行った。

 そして後から合流して来た剣聖と拳聖、そして他の剣王と拳王達とも相談しあう事で現在の帝国格闘技と帝国剣術の基本形が完成した。

 今現在も磨きを掛け続ける事でより進化して行き、発展をし続ける帝国の総合格闘技がこうやって出来上がったんだ!

 歴代の武道家の技術が集約されている事実! 本当に俺は幸せだよ、此の時代に生を受けて来れた事がな・・・。」

 

 かなり取止めが無いような論旨だったけど、きっと師匠の心情が諸に出ている言葉なんだろうな。

 

 大分病院で休んだので調子も回復し、マーカスと別れて『オービタルリングⅠ』に有る『天空城(ウラノス)』に戻り、親父とお袋と共に夕食を摂る。

 

 「大分扱かれた様だな、ルーファス」

 

 親父は夕食後のリビングで寛ぎながら、俺の本日有った報告を聞き面白そうに感想を述べて来た。

 

 「全くその通りですよ、でも此れが自分の身に付くと思えば本当に有り難いので、感謝しか有りません!」

 

 そう言うと、親父の横で報告を聞いていたお袋が、やや呆れながら、

 

 「それにしても、貴方もマーカス君も頑丈ね。 普通奥義と云えば『一撃必殺』として申し分ない技で、そもそも何度も喰らう代物では無いのに、何度も喰らった上にミツルギ殿から良く耐えたと言われるなんてねー」

 

 と俺の頑丈さを褒めているんだか、呆れているんだか判別着かない風に評し、

 

 「でも、此れで良いのかも知れないわね。 私の伯父であった先代のルドヴィーク辺境伯も身体が大柄で正に武人と云うべき御方だったから、その後継者として貴方は望み通りの男児と言えるわね。

 きっと天国で喜んでるでしょう!」

 

 と結論づけられた。

 

 先代のルドヴィーク辺境伯とは血縁上俺の大伯父に当たる人物で、例の世界中どころか他の星系国家でも観られる様になった『人類銀河帝国建国志』や、子供用のアニメーション及び小説等で出演して来る、最初の重要人物の一人で、正に正義の武人にして後の帝国への礎を築いた尊敬される英雄でもある。

 

 身体つきも、ナノム・ネットワークを利用した且つて実際に会った人々の記憶再現で、映像化された動画で俺よりは若干小さいが185センチメートルの大柄で筋骨隆々の体躯を誇る人物であった。

 

 俺も親父と兄貴の次に尊敬する人物なので、その後継者として恥ずかしく無い人間になろうと努力している。

 

 「さて、お前も士官学校を卒業して『機動武人(モビルウォリアー)』のテストパイロットを主任務としているが、皇室の男児として軍務の実務処理もこなせなければならない。

 幸い私やクレリア、そしてセリーナとシャロンが後方勤務の軍務をしているから、現在は実務処理は問題無い。

 しかし、将来はお前も自分の手足となる幕下の人材を育てねばならないぞ。

 そう言った意味では、お前の兄であるアポロは運が良くて、友人達がそのまま幕下になった。

 なのでルーファスよ、お前には幾人かの廷臣を付けようと思う。

 誰か要望する人物はいるか?」

 

 そう言われたので、俺は是非欲しい人材として帝国軍の重鎮のご子息達と、肝心の人材としてマーカスと将来の幕下としてマーカスの従兄弟達(賢王マリオン様とカレン女官長の2人の子供)を希望した。

 

 そんな話をしていると、お袋が、

 

 「・・・もうそんな年齢になるのね・・・カレンの子供達も・・・。

 私も歳をとったものね・・・、息子達も独り立ちして、自分の戦場に向かっているなんて、あの頃は想像もしていなかったわ・・・。」

 

 しんみりと呟く様に独り言を述べたお袋を、何も言わずに親父は抱きしめて上げている。

 

 こんな場には、子供は居ない方が良いだろうと気を利かせて、俺は自分の自室に戻って明日の軍務を思い早々に眠りに落ちた。

 

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