皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第50話

 「アポロ~、かなり此のシミュレーションは敵バグスの設定強すぎないか?

 『神機』に匹敵する機動兵器がそこら中から湧き出して来るじゃないか?!

 とてもじゃないけど、逃げ回るだけで精一杯だよ!!」

 

 「その通りだよ、然も敵の首魁を取り巻いている親衛部隊は、『メタトロン』の数十倍に設定しているから、絶対に1VS1では勝てない!

 なので、『神機』部隊全機での連携攻撃と作戦を練り上げて、独自の『戦闘教義(軍事ドクトリン)』を生み出して様々な戦闘パターンを、身体に叩き込んで置くんだ!

 その中でも、最も多用すると思う戦術の『釣り野伏せ』が此れだよ! 囮役はとても重要だからしっかり務めてくれよ!」

 

 「判ってるよ、だけど此れはフリでは無く本気で必死に逃げてるんだよ! 誘き寄せる地点に向かうのも難しいぜ!」

 

 「頑張れ、ケント! 次は自分が更に強い敵バグスの設定で挑むから、多分ボロ負けするだろうけど、みんなで自分の悪い面を洗い出してくれよ」

 

 「嗚呼、その際には徹底的に問題点を見つけてやるよ!」

 

 「頼んだよ! だけど今はケントの悪いところを指摘してやるよ。 ほら注意散漫だから回り込まれそうだぞ!」

 

 「おっと、ヤベえーヤベえー、気を抜けねえぜ!」

 

 そう言って、ケントは集中して己の『神機』である『応龍』のコックピットで、擬似戦況軍事シミュレーションを熟して行く。

 

 他の『神機』メインパイロットも、一緒のプログラミング内で擬似戦況軍事シミュレーションでの役割通り、或る地点で待ち構えている。

 

 予定通りにその場所まで『応龍』が到達し駆け抜けて行った瞬間、隠蔽していた他の『神機』は『応龍』を追っているバグスの機動兵器軍団へ横撃を加える。

 

 その攻撃で不意を突かれたバグスの機動兵器軍団は、目標を自分の乗る『メタトロン』に切り替えて迫ってくる。

 

 その際に『メタトロン』だけは隠蔽魔法を解きワザと狙われやすくし、他の『応龍』を含む『神機』は隠蔽魔法を展開し、次の地点へ先回りする。

 

 此の『釣り野伏せ』という戦術は、『統制のとれた撤退』をしつつ敵にはやられて慌てて潰走していると思わせねばならず、更には囮役を交代交代する精神的負担は相当なものである。

 

 然も今回プログラミングした敵バグスの機動兵器軍団は、一体一体を『神機』よりも強くしていて自分が相手している相手に至っては殆ど『宇宙大怪獣』と同等に設定した。

 

 その攻撃力と防御力は半端では無く、牽制のビーム攻撃が掠めるだけで『メタトロン』のコックピット内は冗談抜きに激震する。

 

 「此の強さは異常だよ、アポロ~! 表示モニターがまともに見えない!」

 

 「アルよ良い事じゃないか、此れで一つ問題点が洗い出せた! 如何に『神機』とはいえ同格以上の敵にはモニターを目視している暇や余裕は無く、脳内でのAR空間を駆使しながらでないと、戦況把握は無理だと判った!

 さあ、最大戦速でのジグザグ機動を繰り返すぞ!」

 

 「うわぁ~、衝撃緩衝ダンパー最大値! 僕を守り抜いて~!!」

 

 「『メタトロン』、慣性エネルギーを吸収しながら急発進急加速も織り交ぜろ!」

 

 【了解!】

 

 星猫のアルと『メタトロン』に途中から脳内でのAR空間で指示し、臨場感溢れる囮役を熟し、

 

 予定地点で他の『神機』に迎撃させると、次の囮役である褒姒の『九尾』が隠蔽魔法を解いて逃げ回り、自分と他の『神機』達は次の迎撃地点に向かう。

 

 都合此の訓練を10セットしたのだが、終わる頃には自分を含めて全員が足腰立たない程疲弊してしまった。

 

 如何に今まで『神機』のポテンシャルのお陰で、余裕の有る訓練しかしていなかったと思い知らされた。

 

 『神機』よりも性能の低い機動兵器を駆使し、様々なバグス軍団の怪物や怪獣どもに立ち向かっている帝国航宙軍の方々には頭が下がる。

 

 何とか、彼等の前でも面を上げれる様に努力して行こう。

 

 そう覚悟を決めて『神機』から降りてみたが、そのままへたり込んでしまい情けなく思っていると、救護班の人々がやって来て争うように、自分と他の『神機』メインパイロット達を隣の救護室に運び込んで『ヒール』等の回復魔法で癒やしてくれた。

 

 「・・・有り難う、かなり楽になったよ。 ナノムでの平衡感覚回復が追いつかない程の疲労は久しぶりだよ。

 多分、拳聖様と剣聖様による本気の特訓以来だろうな・・・。」

 

 「正直な処、外部モニターで見させて貰いましたが、あんなにコックピット内でシェイクされていたのに、外傷も無く多少の内臓器官の震動障害で済むなんて信じられませんよ!」

 

 「嗚呼、其の辺は武道の心得が有るからね、当然最小の被害で終わらせる技術を駆使しているよ」

 

 「通常の帝国軍人ナノム保持者では、死んでしまうレベルですよ! 本当に帝国軍格闘技段位最高峰の御方は凄いんですね!」

 

 ヒールで内蔵器官への震動障害を癒やしてくれる、救護班員を労いながら会話する。

 

 此の救護班員は、惑星アルカディア出身者で率先して自分の組織『キャメロット』に志願し、優秀な成績を修めて此の『神威』で救護班に所属している。

 

 何で、他の救護班員と争ってまで自分の救護をしたいと願ったかは判らないが、余程自信が有って自分を癒やしたいと思ったんだろう。

 

 実際、魔法技術を学んで1年と経って無い筈だが、見事な回復魔法の手際だった。

 

 さて、みんなも回復しただろうから、ミーティングの為に会議室に向かうとしよう。

 

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