(帝国忍軍頭領 猿飛佐助[通称サスケ])視点
我が主『アポロニウス皇太子殿下』、現アルカディア軍事同盟代表様のご命令で、例のアトラクションの主要開発者を調査するにあたり、久し振りに惑星アレスの『飛加藤』前帝国忍軍頭領に連絡をとる。
と言ってもあまりにも距離があるので、超距離用FLT通信での詳細メールを送る事となった。
すると意外なことに詳細メールでは無く、途中のシレノス星系で連絡を中継した帝国忍軍の幹部が直々に返答を携えてきた。
「『飛加藤』様からの詳細メールと、添付された動画ファイルの資料が此方です!」
と我々帝国忍軍の惑星アルカディアのアジトで、俺が配下の下忍に指示を終えて、資料を作成しようとデスクの端末に向かおうとしたタイミングで、女忍者が姿を現した。
「・・・楓(かえで)か、久しぶりだな・・・。」
「はいっ、1年振りとなります」
「・・・セラス・シェリス姫様方の護衛任務ご苦労だったな・・・。」
「いえ、姫様方がご幼少の頃からの任務ですので・・・。」
そう言って手渡してきた資料を、室内のAR空間で展開し詳細な内容を吟味しながら、楓に細かいシレノス星系での現状の報告も受けて行く。
「ふむ・・・、かなりの惑星フォーミングの進行度だな・・・。
この分だと、後1年後には人が入植出来て『龍脈』の活性度を確認出来るな。
活性度を確認出来れば、先ず植物を植え付けて行って、徐々に動物を入植させて魔力の循環を確認することになるから、後3年もすれば他星系の人々も入国出来る様になるだろう」
「そうですね、それを見越して惑星アレスで生活している元シレノス星系の避難民は、元のシレノス星とシリウス星に帰還した時に植える予定の植生に合致した、惑星アレスの動植物を育てているようです」
「順調な様だな・・・。 処でさっきから見させて貰っている此の資料動画は驚きだな!
此の様な天才が何時の間にか現れて居たのか・・・。」
「惑星アレスでも、驚嘆されてますよ。 元々は戦争孤児でナノムの恩恵を受けたのは約10年前で、ナノムを摂取する前から優秀な子供だったのですが、『ナノム玉』を服用してからは著しい程の才能を発揮致しまして、現在文化面に於いて此れほどの知名度を得た人物は居りません!」
「考えて見ると、帝国はどうしても現在バグスとの戦争状態に有る為に、やや軍事面での人材を優遇する姿勢がずっと続いている。
そう言った意味では、文化面での天才を見い出す方向性をとっていなかったからな・・・。」
「しかし、此処まであらゆる方向での天才ならば、直接軍事に関わっていなくても、間接的に帝国航宙軍の役に立つ才能を示せるのかも知れませんね」
「・・・そうだな、実際に俺も例のアトラクションを体験したのだが、とても子供用のシミュレーション型体験アドベンチャーとは思えない程の完成度で、子供が熱中するのは勿論大人にも大人気だそうだ」
「然も本国では、もっと細かい設定のMMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)をナノム・ネットワークを介して行われていて、凄まじい大人気だそうです」
そのゲームの動画も資料に有り、緻密な絵柄は当然、リアルな世界観に限りなく近づけている技術のお陰で本当に没入感が凄まじい。
恐らくは、相当なデータを当時のシャイニングスター・メンバーや軍人にリサーチを行い、ナノム・アーカイブや帝国のメインデータ・バンクも参照している筈だ。
つまり此の開発者は、ただ単に天才なのでは無く、凄まじいまでの集中力とその持続力及び偏執狂と呼べる拘りを持つ常人離れした存在である。
「・・・処で此の開発者は今現在、『ローゼンバーグ・ランド』の専属プログラマーのままなのか?」
「いえ、『シャイニングスター・アドベンチャーロード』とその発展形のMMORPGを制作している時点では、確かに『ローゼンバーグ・ランド』の専属プログラマーだったのですが、その運営を『ローゼンバーグ・ランド』の運営会社に委託した後は、のんびりと彫刻や絵画を作成する悠々自適な生活をしているらしいです」
「まあ、此れほどの事業を委託した段階で、個人での収益は生涯賃金で考えても一般人を遥かに越えて居るだろうからな・・・。」
そう言ってから、やや違和感を覚える。
此れほどの才能を持つ者が、個人的な芸術作業だけで満足出来るものなのだろうか?
方向性は違うが、此の者を凌駕し得る別の天才を主に持つ者として、主が現在の立場を全て放棄して隠者としての人生を歩む姿を夢想しても、途轍も無い違和感が付き纏いしっくり感が無い。
あくまでも俺の感想だが、もしかすると此の者は自分に匹敵する才能に出会えず、不満を抱えているのでは無いか?
そんな想像をしながら、楓に此の者の名前を資料に載っている物で間違い無いのか確認した。
「その通りです。 此の者の名はレオナルド。
『レオナルド・ダ・ビンチ』と申します!」