皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第55話

 「つまりサスケ、此の『レオナルド・ダ・ビンチ』という人物を、招聘してみては? と言うのがお前の提案なんだな?」

 

 「その通りです、話が主! 現状はレオナルドにとって非常に不遇の日々と言えますが、其処から脱却するには惑星アレスでは同年代の同等レベルの天才は居ないと考えます!

 確かにアラン皇帝陛下やその同年代の方々は、優秀な方々も多いのですが、レオナルドにとって親の世代に当たる上に、文化面と軍事面と云う畑違いの分野の才能なので、接触する機会も無くてこのままでは、貴重な才能を上手く引き出せない可能性が非常に高いと愚考します。

 ならば、いっその事此の惑星アルカディアにレオナルドを招聘し、我が主を筆頭に天才と呼べる方々が大勢居る『キャメロット』と『百八家』との交流を図られては如何でしょう?」

 

 「ふむ、自分は天才な訳は無いが、確かに『キャメロット』と『百八家』には様々な才能が溢れている上に、自分と同世代が多いからな!

 良かろう! 『オクタヴィア・ローゼンバーグ』嬢を通して『レオナルド・ダ・ビンチ』殿を招聘してみよう」

 

 「有り難う御座います、我が主! 早速『オクタヴィア・ローゼンバーグ』嬢への都合の良いタイミングを調査してみます!」

 

 そのサスケの返答を聞き、頷いてから自分は『神威』内の会議室に向かった。

 

 本日は例のワームホールの解析結果を確認し、利用方法を模索する会議である。

 

 幾つかの腹案を携えて、意気揚々と自分は『神威』内の会議室での会議に臨む。

 

 

 

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 レオナルドを招聘する為に『オクタヴィア・ローゼンバーグ』嬢と折衝し、快く本国に通達してもらい暫くの間、軍務で『神機』を駆って様々な演習を行っている。

 

 そして1週間毎の休みに、『ローゼンバーグ・ランド』では無く本国から送られてきたMMORPG版を、惑星アルカディアに有る『ローゼンバーグ・ランド』を運営している『オクタヴィア・カンパニー』にお邪魔させて貰ってプレイしている。

 

 「此れは本当に凄いな! まるで『魔の大樹海』で実際に魔物狩りを実体験してる様に感じるどころか、親父とお袋が当時乗っていたワイバーンに乗って竜騎士になれたり、軍団魔法を行使した場合の臨場感を味わえるなんて、軍の最新シミュレーターすら遥かに越えているぜ!」

 

 「そして此の、実際に生身で戦っているかのような感覚! 本当に経験を積んでいるみたいでシミュレーターから出ても、ナノムに記録されているから非常に役に立つわ!」

 

 「それに此の魔法の種類の数を見てくれ! 此の頃に編み出されていた魔法をほぼ全て使用できていて、魔物や魔獣の特殊能力に基づく攻撃まで有るなんて凄すぎるよ!」

 

 「見てよ、此のエフェクトの良さと各種武器の操作性! 然も攻撃範囲まで実際の戦闘と遜色無い様に纏められてるから、武器を落として格闘戦に移った際の違和感がまるで無いわ!」

 

 「そうね、『ローゼンバーグ・ランド』での『シャイニングスター・アドベンチャーロード』では、あくまでも『魔の大樹海』と街道でのフィールド戦闘だったけど、此のMMORPG版では街や村そして王都、更に屋内戦闘まで有るわ。

 此の分だと水上や砂漠そして山地での戦いまで用意されてそうだわ!」

 

 仲間が専用のシミュレーターから降りて、感想を大興奮して述べ合う中、『ローゼンバーグ・ランド』で家族連れで『シャイニングスター・アドベンチャーロード』を体験して来た、『キャメロット』と『百八家』の面々がAR空間での感想も入って来た。

 

 やはり、彼等も日頃の軍務での戦闘シミュレーターを凌駕する出来に、驚嘆を隠しもせずに興奮した感想を述べている。

 

 《此の分だと、もしレオナルドがやって来たら大歓迎されそうだな》

 

 その時に彼をどの様に遇するのか? どれ程の予算を付けて軍事用の戦闘シミュレーターを製作して貰うのか? 人員をどれ位与えて開発して貰うのか? を軍師やラウンズそして七虎大将の面々と協議して於いた。

 

 そして3ヶ月の時が流れた・・・。

 

 

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 其の日、惑星アルカディアの近傍の宇宙空間に有る入国管理宇宙ステーションに、かなり大型の『オクタヴィア・カンパニー』所有のカーゴシップが入港して来た。

 

 『スターロード』を利用してシレノス星系を経由して、やって来た物流を主目的で開発された大型カーゴシップは一つの都市をカーゴスペースに積載可能な程に、途轍も無く大きい。

 

 入国管理宇宙ステーションで様々な検疫チェックを受けて、漸く惑星アルカディアに入国出来るのだが、そういったプロセスを最優先させて行い、惑星アルカディアに向かわずに直接『神威』にやって来る一団が有った。

 

 『神威』の厳重な気密室を通って重力スペースに通された一団は、専用のスタッフから『神威』での注意事項を聞かされながら、団欒室に迎えられて歓待を受けていた。

 

 諸々落ち着いた頃に、自分と艦隊司令官の『岳飛』殿で出迎えに向かうと、『オクタヴィア・ローゼンバーグ』嬢とお付きのSPそして一人の異様な男が目に入った。

 

 いや、別にその男が妙な格好をしていた訳でも奇抜な行動をしていた訳でも無い。

 

 しかし、その纏っている空気感が他の人間と此の男を、まるで別種の生物で有るかの様に隔絶させて居た!

 

 先ず眼差しが尋常では無い! 人を見た瞬間その人間を奥底から覗き込もうとするかの様な集中した眼差し、そして眼光が人間のそれを遥かに越えている。

 

 殆どの人間が此の男を前にしたら、怯んでしまって目を逸してしまうだろう。

 

 しかし、自分は真摯に此の男の目を見交わして、此の男の奥底をこそ探ってみたいと思い、無礼に過ぎるが挨拶もそこそこに互いに見つめ合った。

 

 暫くの気不味い時が流れ異様な雰囲気に団欒室は支配されたが、唐突にその異様な雰囲気は消え去った!

 

 何故かと言うと、男が目を閉じて非常に長い深呼吸を始めたからだ。

 

 やがて男は落ち着いたのか深呼吸を止めて、今迄が嘘で有ったかの様に柔和な顔をして、にこやかに挨拶をして来た。

 

 「大変失礼を致しました! どうしても天下に並ぶ者の無いアポロニウス様を、念願かなってご尊顔を拝せると知らされてから、是非正面から見る事に固執してしまい此の様な失礼を働いてしまいました!

 遅れ馳せながら申し上げます! 私はレオナルド、『レオナルド・ダ・ビンチ』という者です!」

 

 此れが、不世出の大天才『レオナルド・ダ・ビンチ』と自分の初顔合わせであった。

 

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