「キシャーッ!」
と叫びながら、スラブ連邦の軍隊がMM(マイクロ・マシーン)の塊となって数十体の『ヒュドラ』が、マジノ線の最終防衛戦に突進して来る!
自分は、当時の現『カイン少将』の代名詞と呼べる戦闘バイク『ドリル・バイク』に乗り、戦場を疾駆して行く。
褒姒は、当時の父上が搭乗していた現『紅龍王妃グローリア』殿の『機龍(ドラグーン)』モードに搭乗して圧倒的な火力で敵を屠っている。
ケインは、当時の現『ケニー大将』が搭乗していたドラゴンの『ガイ』殿に乗り、空を飛んで戦場の空を飛翔する。
サクラとマリアは、当時のセリーナ・シャロン母上達が駆っていた、専用戦闘バイク『ディアブロ』号と『ジャッジメント』号に搭乗し、そのホバー機能を存分に活かして凄まじい速度で敵に斬りつけている。
ロンは、父上の座乗艦である当時の旗艦『ビスマルク』で艦橋の戦闘指揮官として、戦場の状況把握と適切な魔導砲撃を敵に浴びせて行く。
其れ其れの仲間達が、望んだ役割と機体に乗る事で当時の戦場を味わう事になった。
《此の当時の忠実な再現度のお陰で味わえる凄まじいばかりの臨場感! そして肌をひりつかせる緊張感の凄さ! なんというギリギリの戦いなんだ! なのに此の直ぐ後に全長5キロメートルを誇る『テュポン』と戦うというのか!》
当時の父上達が、どれ程の覚悟とギリギリの勝負を挑んでいたのか、本当の意味で良く判った。
自分の乗る戦闘バイク『ドリル・バイク』で、NPCの戦闘車両の先頭を軍団魔法『イフリート2』を展開させて、『ヒュドラ』に対して並走しロンに要請する。
「ロン! 自分の横に居る『ヒュドラ』に『ヴァルキリー・ジャベリン弾』を叩き込んでくれ!」
「了解だ!」
その直ぐ後に曲射された『ヴァルキリー・ジャベリン弾』で、『ヒュドラ』のバリアーが解除されたので、自分の乗る戦闘バイク『ドリル・バイク』とNPCの戦闘車両が、至近距離での魔法砲弾入のバズーカ砲を狙いも定めずに乱射する!
「ガアアアアアアーーーーッ!!」
と吠えながらヒュドラは前方と後方に有る、其々の蛇の口から光線の様なブレスを吐いてきた!
「ドドドドドドドドッ!」
自分の戦闘部隊が展開している軍団魔法『イフリート2』を、その光線の様なブレスが大いに震動させる。
ヒュドラから吐かれた光線の様なブレスはかなりの威力だろうが、物理・魔法両面に対して軍団魔法『イフリート2』は防御力に於いてかなりの強度を誇るので、『テュポン』の攻撃でもなければ貫通させる事は出来ない!
ヒュドラのトドメを刺すべく自分は、『ドリル・バイク』の文字通り主武器である先端のドリルを、最高速で回転させてファイアーの魔法をドリルに込める。
《喰らえ!》
と脳裏にその思いを言葉に浮かべて、並走していたヒュドラ目掛け、一気に方向転換しヒュドラの身体中央の土手っ腹に突っ込んだ!
「ズガガガガガガガーーーッ!」
そのアダマンタイト製のドリルは、凄まじい貫通力を見せて遅滞無くヒュドラの身体を貫いて行った!
ヒュドラの身体の半ばを越えた辺りで、ヒュドラの身体を構成していたMM(マイクロ・マシーン)が、アッサリと崩壊してしまいそのままドサッと地面に崩れ去った。
そう言えば、此奴等の身体を構成している体組織は、全てMM(マイクロ・マシーン)だったなと思い返して、同じ要領でサクラとマリアの戦闘バイクも次々とヒュドラの身体を崩壊させて行っているのが見えた。
やがて全てのヒュドラを倒して、NPCである自分の部隊の損耗率を確かめてから、次の戦闘相手である『テュポン』に備える。
しかし、当然だが『テュポン』に対して自分やサクラとマリアの戦闘バイクでは、とてもでは無いが戦える様な相手では無い!
此方の最高戦力である『機龍(ドラグーン)』モードとなったグローリア殿と、それを補佐するドラゴンの『ガイ』殿達こそが、主戦力となる。
やがて、先程崩壊したヒュドラや他のスラブ連邦の怪物どものMMを吸収した、『テュポン』が地平線に有る山を乗り越えて姿を現す!
《で、デカすぎる!》
幼い頃から、連続ドラマやアニメーションで見尽くした『テュポン』が、此の『戦略・戦術シミュレーター』の雛形では、実際の敵として自分達の敵として出現したのだ!
《こ、此の威圧感! よくぞ父上達はこんな化け物相手に、グローリア殿に搭乗してたとは云え生身で正対できたな!》
自分もこれ以上どころか、惑星レベルの巨大な敵と戦っているが、あくまでも『神機』という絶大な能力を持つ存在越しでしか相対していないからこそ出来る事であって、生身で巨大な敵と対面してはその圧倒的な迫力に気圧されてしまうのが、何とも情けなく感じてしまう。
《・・・父上・・・、それにケントの父君であるケニー殿・・・。 貴方方が如何に偉大だったか、漸く本当の意味で知ることが出来ましたよ・・・。》
その思いを抱いていた次の瞬間、偵察用に周囲の空を飛んでいるNPC操縦の簡易型ドローンとヘリコプターが、『テュポン』のモノと思われる極太の光線で破壊された。
「ドオオオーーーーン!!」
轟音が辺りを揺らし、続いて、
「ピカッ! ピカカッ!!」
と光が瞬き、100条もの光線がワイバーン隊とヘリコプター部隊に襲いかかり、今度はワイバーン隊50騎とヘリコプター部隊100機体が攻撃に巻き込まれて、様々な箇所を破損したり何機かのヘリコプターは爆散してしまった!
《なんて威力なんだ!》
知っている話しなのに、凄まじい戦慄が我が身を襲い。
恐怖で身が竦んでいる事が良く判った・・・。
《・・・此れが当時の帝国が戦い抜いた戦場なのか・・・。》
自分が如何に甘い戦場しか体験していなかったか心底納得してしまい、知らず知らずの内に滂沱とした涙が溢れていた事に、後でコクーン(繭状のコックピット)から出て反省会で見直すまで、その時は全く気付かなかった。