「つまり、あの物理的にも魔法的にも説明が着かない現象は、アポロ自身でもどの様に編み出したか説明出来ないのかよ!」
「・・・嗚呼、一応はイメージだけは出来ていたので、そうなってくれると良いなとは思っていたけどな・・・。」
「だけど、あの行動の所為で吾が折角見せ場だと思って、アラン皇帝陛下の当時の戦い方に添う形で頑張ったのに、全てアポロのアドリブに持ってかれちゃったわ!」
「そうね、アポロがワザワザ、グローリアさんに乗らずにドリル・バイクに乗ると言い出したから、何か目論見が有るとは感じてたけど、まさかこんなに常識外れの事を考えていたとはね!」
「でも、こんな全ての論理(ロジック)を無視して、それまでの行程を無視した結果のみを抽出して見せるなんて、世界の常識を覆し過ぎだよ!」
「此の『戦略・戦術シミュレーター』の雛形を、外部から観測してたスタッフや基礎を作り上げたレオナルド始め開発者達も、何が起こったのか今現在必死になってログを見直してるそうよ」
と反省会を行ったが、やはり自分がやった行動の内容に対する疑義ばかりになってしまった。
結局は今の段階では、何も判らない事だけが周知されて反省会は終わり、その日は散会した。
そして翌日から、仲間達は其れ其れの『神機』にダウンロードした『戦略・戦術シミュレーター』の雛形で、幾つかの戦場データを過去の帝国軍のライブラリーから呼び出し、様々な立場となって実践する訓練を行っている。
その間自分は、現在、惑星アルカディアで道場を開いて新しい道場生(殆どがアルカディア住民で、ごく僅かに解放した3つの星系の住民)を鍛えている、拳聖様と剣聖様そして『ミネルヴァ』と共に、先日出来た自分の感覚だけで力の流れを掴み誘導する技術を、モノにする為の特訓を行っている。
かなりの回数、『ミネルヴァ』が吐く光線のブレスを己の手の平だけに張った魔力の薄い膜のみで、躱しつつ流れを逸らすべく試しているのだが、中々都合良くは上手く逸らす事が出来無いでいる。
「映像を見させて貰ったが、あの神技は格闘家や剣術家が理想とする究極の境地を実現化させたもので、ある意味此の神技を常に使用出来るなら、どの様な窮地や敵に囲まれていようと恐れる必要が無くて、全ての攻撃や天変地異が襲って来ようとも、その力の流れを逸したり反転させて攻撃して来た敵や天変地異を返してしまう事が出来るのだ」
「だが、人間には其処まで神の境地に到れるには、本来の人間のあらゆる性質、つまり生理的な欲求や現象を無視する必要が有り、完全にその状態を持続するのは無理なので、簡単に言うとON/OFFのスイッチを上手く切り替える必要が有るんだ」
拳聖様と剣聖様が、概念的な説明をした神の境地、『明鏡止水(めいきょうしすい)』・『無念無想(むねんむそう)』をモノにすべく、何度も何度も『ミネルヴァ』が吐く光線のブレスを己の手の平だけに張った魔力の薄い膜のみで、躱しつつ流れを逸らす作業を繰り返した。
しかし、躱す事は出来るものの流れを逸したり、更には反転させたり吸収する事が出来ない!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それから半年が経った。
そんな特訓を必死に何ヶ月も頑張って行ったのだが、拳聖様と剣聖様も己自身が其の境地に至れていないので、適切なアドバイスを教えられずに全員が行き詰まってしまっていた。
そして、以前から予定されていた父上とクレリア母上の、惑星アルカディアへの公式訪問される日が訪れた。
その日、『人類銀河帝国』の皇帝夫妻がアルカディア星系への公式訪問、及び最前線慰労訪問と云う事で、様々な公式行事が順次行われていく。
当然、自分は名目上とは云え『アルカディア軍事同盟代表』の立場であるので、公式行事全てに出席して『人類に連なる者』としての連帯感を深める事に協力する。
1日目の全ての公式行事を終えて、父上とクレリア母上を惑星アルカディアの政庁に併設する迎賓館に迎えて、寛いで貰うロイヤル・スイートルームに案内した。
漸く、2年振りの家族直接対面が叶い、此のロイヤル・スイートルームにある歓談室で親子水入らずの時間が持てた。
「本当に久しぶりだなアポロ! 此処と惑星アレスは距離が有りすぎて、AR空間での疑似直接会話が出来なくて、超FLT通信によるメールでの遣り取りしか出来なかったからな・・・。」
「全くよ! 2年振りの家族直接対面なんて、此れだけ科学技術が発展したと云うのに、早く銀河系内のタイムラグ無しの通信が出来る様にならないかしら!」
そう言いながら、惑星アルカディアの名産である菓子類を摘みながら、父上とクレリア母上は会話をし始めたが、自分は若干己の脳裏を占める悩み事の所為で、会話を上手く切り出せない。
「どうした、アポロ。 何か悩み事かな?」
「何だか、公式行事中も心此処に在らずといった様子だったから、心配してたのよ?」
やはり、如何に久しぶりとはいえ実の両親だけに、自分のちょっとした様子の変化で何か可怪しいと察してしまった様だ。
「ハイ、実は・・・」
こうして、自分は此処半年に渡る悩みを両親に打ち明けた。