皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第61話

 「『カイザー砲』エネルギー充填90パーセント、セーフティーロック解除、圧力、発射点へ上昇中。

 

 エネルギー充填100パーセント、敵目標へ軸線合わせ、ターゲットスコープオープン、電影クロスゲージ明度20。

 

 最終安全ロック解除、エネルギー充填120パーセント、対ショック、対閃光防御。

 

 『カイザー砲オーバーブラスト』発射!」

 

  次の瞬間、十分なエネルギー充填を終えて、総旗艦『ビスマルク』の先端に有る、超巨大なアダマンタイト製のドリルから凄まじいエネルギーが、所定の空間座標に溜まっていた魔力溜りに発射された!

 

 「ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!」

 

 発射された凄まじいエネルギーは、魔力溜りに突っ込むと、その威力を格段に増し、今にも開こうとしていた次元の穴に向かって行く!

 

 「キシューーーーーーーーン!」

 

 と空間が爆砕されて、次元の穴が閉じて行くと共に、その余剰エネルギーがスラブ連邦首都『エデン』の地表部分を激震させ、崩壊させて行く。

 

 その余剰エネルギー波は、我等帝国軍目掛けやって来ていた疑似魔獣共を、尽く薙ぎ払い一瞬の内に元のMMとなり、塵と化した。

 

     

          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 そんな風に冒頭から、尋常では無い状況から始まるステージこそが、『決戦! スラブ連邦首都『エデン』攻防戦』である。

 

 此のステージとなるスラブ連邦との最終決戦は、自分にとって連続ドラマやアニメーションで3番目に多く観た戦闘シーンなので、かなり細部な部分まで憶えている。

 

 「・・・懐かしいシチュエーションだな、あの頃はこんなに余裕の有る気持ちで決戦に臨めなかったものだったが・・・。」

 

 「・・・確かにな・・・、俺達格闘家達も帝都コリントで、場合によっては呼び出された『古きものども』の怪物達に帝国諸共蹂躙される可能性を考えながら、いざとなればクレリア皇后と産まれて来るアポロニウス皇太子殿下を連れて疎開する事を覚悟してたぜ!」

 

 「・・・其の際には、某始め剣王と拳王達は人々の為に、怪物達を相手に散る覚悟だったからな・・・。」

 

 と父上と拳聖様と剣聖様は、総旗艦『ビスマルク』の艦橋で、スラブ連邦首都『エデン』の地表部分が崩壊して行く場面を悠然と見ながら、過去の覚悟を思い出されていた。

 

 当時の状況は、確かに帝国にとって乾坤一擲とも呼べるギリギリの勝負だったのだ!

 

 此の当時は盟友たる『崑崙皇国』も混乱の巷に有り、周りの同盟国の戦力などは『古きものども』の怪物達にとっては、鎧袖一触でしか無かっただろう。

 

 やがて、システム『エキドナ』の使用端末と思われる17の巨大なMMの塊が蠢動し始め、其れ等も一つの塊に収束して行った。

 

 そしてガデッサで出現した怪物の一体、『バックベアード』を何十倍にしたくらいに巨大化した塊は、その100以上の黒い触手から帝国軍の陸上戦闘艦隊に光線を浴びせてくる。

 

 其れに対して、ロンが艦長役をする陸上重巡洋艦『バーミンガム』が、バリアーを張りながら其の4連装主砲で『超大型バックベアード』に攻撃しつつ、ケントが艦長役をする空軍旗艦『グラーフ・ツェッペリン』が、『光翼竜(ケツアルコアトル)モード』で出撃するアトラス殿とグローリア殿を援護している。

 

 そんな主力艦の動きに、『超大型バックベアード』の注意を惹かない様にする為、サクラとマリアが艦長役をするセリーナ・シャロン母上達の母艦たる陸上巡洋艦『ドレッドノート』『ジャンヌ・ダルク』は、牽制攻撃をしつつ、褒姒が乗るドリル・バイクが率いる戦闘バイク部隊と戦闘車両部隊を援護している。

 

 凄まじいばかりの、帝国軍とスラブ連邦の総力戦が眼前で行われる中、用意の整った剣聖様はセリーナ母上の愛機『ディアブロ』号に乗り、拳聖様はシャロン母上の愛機『ジャッジメント』号に乗り、褒姒と協力し合いながらヒュドラやヒュドラもどきそして『地虫(アースワーム)』等の大型魔獣に突っ込んでいく。

 

 そんな父上と自分以外の全員が戦いを始めていく中、父上と自分は或る一点を見つめている。

 

 そう、此れからなのだ、本当の敵が現れるのは!

 

 突然巨大地震が辺りを揺らし、信じ難い程の大きさを持ったドーム型の物体が、スラブ連邦首都『エデン』の跡地に迫り上がって来た。

 

 此れこそが『システム・エキドナ』、セリース大陸に於ける龍脈(レイ・ライン)の膨大なエネルギーを利用して、無限に増殖するMM(マイクロ・マシーン)の能力を使い不毛の大地の土壌を実り豊かな物に改善する、本来人類の為に古の神々が残せし大いなる遺産なのだが、『ラスプーチン』が或るアーティファクトを悪用する事によって、人類の存在を脅かすとんでも無い存在に成り果ててしまっている。

 

 そして、敵の首魁たる『ラスプーチン』が姿を現す。

 

 『ラスプーチン』はルーシア正教の司祭と思われる祭服を着ており、頭にも司祭帽を被っている。

 

 だが、その服装から出ている部分は明らかに人間の其れとは違い、『虫』それも蟻や蟷螂のそれと良く似ていた。

 

 「・・・・・バグス・・・・・!」

 

 父上は、一度経験しているにも関わらず、無限の憎しみを込めた言葉を吐かれた。

 

 きっと、以前教えてくれた父上の同僚や仲間達が、生きながら喰われていくシーンを思い出している事が、その態度から察せられた。

 

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