皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第62話

 「対外敵プログラム"武神アラミス"起動!

 

 モード『異空間からの侵略者』!

 

 『神人』の要請に従い顕現せよ!

 

 神鎧『ジークフリート』!!!」

 

 父上の神々(調整者)への祝詞の様な言葉が紡がれた瞬間!

 

 《其は、神々の大いなる遺産、如何なる者も傷付ける事能わず、不滅なる特異点、神々が祝福と共に鋳造せし神の鎧、汝の名は『ジークフリート』!》

 

 帝国民どころか惑星アレスの民にとっての、神々に次ぐ信奉の対象にして崇める存在『神人』が纏いし、無敵の神の鎧『ジークフリート』が各パーツに分かれ、父上の身体の部分に次々と装着して行く。

 

 父上の身体に完全装着した神鎧『ジークフリート』は、まるで歓喜するかの如く、七色の光を煌めき放ち辺りを照らす。

 

 そして静静と、空中に浮かび上がる父上に向かい、『システム・エキドナ』の頭頂部に存在している『ラスプーチン』という名の虫は、杖と覚しき物を振り上げて、『システム・エキドナ』に命令した。

 

 「空間爆砕!」

 

 と『システム・エキドナ』の声と思われる音が響き渡ると、父上の居る場所に向かいあらゆる方向からの、目に見えない圧力と思われる重圧が、襲い掛かって来た!

 

 しかし、当然父上には攻撃自体が届かない。

 

 「暗黒!」

 

 『システム・エキドナ』の声が再度響き渡ると、『システム・エキドナ』の周りに真っ黒い空間に開いた穴が、10個現れ父上に向かって飛んで行く。

 

 父上は、その真っ黒い空間に開いた穴に左手を翳し、

 

 「・・・集束・・・」

 

 と唱えると、真っ黒い空間に開いた穴は10個とも父上の左手に、吸い込まれる様に集まりそのまま掻き消える。

 

 此処で父上がAR空間を脳内のナノム・ネットワークで展開し、自分達と一緒に『戦略・戦術シミュレーター』に参加している、剣聖様と拳聖様に呼び掛けられた。

 

 「今から、息子のアポロには自分と同調させて、アポロが到達出来ていない武道の境地を体感させます。   

 どうかお二人には適切なご助言を願います」

 

 その言葉に戦闘バイクでの戦闘を終えて、後はNPCに任せた剣聖様と拳聖様は総旗艦『ビスマルク』の艦橋で頷かれた。

 

 そして予め調整されていた自分の専用コクーン(繭状のコックピット)は、父上と同調して自分は全ての人々の憧れにして尊崇の対象たる神鎧『ジークフリート』を完全装着した『神人』となった!

 

 《・・・こ、此の莫大な力の奔流は・・・?!》

 

 目眩がする程に神域まで高められた力は、とても人が制御出来る代物では無く、父上がワザワザ特別製の専用コクーンをレオナルドに調整させた意味が良く判った・・・。

 

 「其れでは行くぞ、アポロ! 『小周天の法』起動!」

 

 心構えが出来た瞬間、父上は基本の『小周天の法』を起動する!

 

 『小周天の法』とは体内に有る正中線に添う形で存在する7つの『チャクラ』を、気功法にて活性化し何段階も身体機能及び魔力の循環を引き上げる法だ。

 

 「続いて『心頭滅却』!」

 

 『心頭滅却』とは心を滅却した状態、つまり、心の中で湧き上がるさまざまな思いを取り払い、落ち着いた気持ちで物事に臨むこと、具体的には戦闘状態でも心を落ち着かせれる状態にする事だ。

 

 此処までは剣聖様と拳聖様、そして父上の教えで自分も会得していて、問題無く父上と同調出来た。

 

 「此れからがアポロには教授していない、拳聖と剣聖そして自分しか到達していない段階、『明鏡止水』!」

 

 『明鏡止水』とは「明鏡」つまり澄んでいて曇りのない鏡を見る心持ち、更には「止水」止まっているように見えるほど静かな水を見つめている状態を、激しく戦っている瞬間も精神(こころ)に描くと云う、本来有り得ない状態を作り出すそうだ。

 

 如何に武道の修練を積もうと、自分は拳王殿と剣王殿達が到達した『心頭滅却』までしか修められていない。

 

 其の上の段階たる『明鏡止水』まで、此れから父上達は連れて行ってくれるのだ。

 

 昼間の体験の場で調整した上で、夜中の今現在、関係者以外は居ない様にして、武道の真髄まで引き上げてくれると云う、父上達には本当に頭が下がる。

 

 「行くぞ、アポロ! 此れこそが『明鏡止水』! 到達して見せろ!」

 

 次の瞬間、精神の中で一切の光りが消え、信じられない程の静寂が辺りを包む・・・。

 

 《・・・こ、こんな状態を、今から強敵と戦うと言うのに精神状態に於いて保つのか・・・?!》

 

 【我が弟子よ、想念と身体の身体の動きを切り離し、戦闘する事に雑念となる思考を捨てよ!】

 

 剣聖様の声が、スッと精神(こころ)を過ぎる風の様に響き、

 

 【此の状態ならば、何も考えずとも自然な形で身体が動く筈だ、アラン様に全てを委ねて見ろ!】

 

 拳聖様の声が、精神(こころ)の中で反響した。

 

 お二人のアドバイスに従い、自分は父上に全てを委ねて同化する。

 

 父上は『神人』となって目眩がする程に荒れ狂い、神域まで高められた莫大な力を、『明鏡止水』の精神状態で少しも気負う事無く、ごく自然に力と同調しまるで流される様に動き出す。

 

 《本当に此の状態で戦えるのか?》

 

 どうしても心の片隅で思考しながら、自分は父上が『レーヴァテイン』と云う神器を招来し、『ラスプーチン』と云う名の虫と対峙するシーンを、やや呆然と体験する事になった。

 

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