皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第7話

 凡そ、6時間の空の旅を終えると、徐々に見えて来たザイリンク公国の公都に向けて、飛空艇とミネルヴァは下降して行った。

 

 公都から若干郊外の場所に作られた空港には、帝国航空会社『エンパイア・エアー』が就航させている、『飛空艇』が世界各地からやって来ていて、『飛空艇』だけで10隻が停留している。

 

 そんな空港にミネルヴァが降りて来たので、驚かれるかと思ったが、崑崙皇国の皇室専用巨大飛行船『長城(グレート・ウオール)』と日の本諸島の飛行船『天の鳥船(アメノトリフネ)』そしてアラム聖国の飛行船『ラクシュミー』の周りには、珍しい飛行魔獣達が護衛に付いていた。

 

 逆に、イレギュラーでミネルヴァが付いて来ただけだし、通常の飛空艇で有る帝国の方が、何だか見窄らしいと感じてしまった。

 

 《まあ、陸上艦船や航空戦力が圧倒的な帝国が、ただの飛空挺を豪華に所有する必要が欠片も無いといった処か》

 

 そんな事を考えて、ミネルヴァから降りて空港職員に導かれて、空港のラウンジに案内された。

 

 「兄ちゃん! こっちこっち~!」

 

 とセラが、大きく手を振って僕達を呼び、親友達と母様ズの所に向かう。

 シェリとルー君は、長いフライトで眠ってしまったらしく、クレリア母様とシャロン母様の胸の中で抱かれている。

 

 僕達が向かおうとすると、僕達の懐に全員居た星猫兄弟達が一斉に飛び立ち、結界を張り巡らした!

 

 《ムッ!》

 

 僕もほぼ同時に警戒し、周りを見回し気配を探る。

 瞬間移動の様に、僕の前にセリーナ母様が現れると、直ちに構えを取り荷物搬入口を見据えた!

 

 其処には、様々な手荷物クラスの大きさのカバンやバッグが、空港内に搬入されている状態が見えた。

 しかし、何か異変が有った様には見えないし、一瞬だけの気配だったので、セリーナ母様もどの手荷物かは、特定出来ない様だ。

 

 特に敵対心や殺意というよりも、どちらかというと興味を覚えた程度の気配だし、今は完全に気配が無い。

 

 セリーナ母様と目配せして、星猫兄弟達にも結界を解かせて、其れ其れの相棒の肩に降りる様にナノム通信で命令し、クレリア母様とシャロン母様が目を合わせて来たので、無言で頷きあった。

 

 「兄ちゃんと母様達、どうかしたの?」

 

 とセラが聞いて来て、親友達も僕とセリーナ母様そして星猫兄弟達が、突然の緊迫状態に入った事に驚いている。

 

 「いや、ちょっとした違和感に、過敏な対応をしてしまっただけだよ!

 セラ、驚かして悪かったね」

 

 と答えて、職員の手続きが終わったのを確認したら、直ちに迎賓館に向かうべくラウンジから直行のリムジン(華族等が利用する専用車両)に分乗した。

 

 「・・・で、アポロ何があったんだよ?」

 

 と親友達と乗ったリムジンは、運転席と客席が防音で遮蔽されているので、ケントが先程の行動への説明を聞いて来た。

 僕が答えようとすると、ロンが僕を遮ってケントに答えた。

 

 「・・・ケント・・・、君は気づかなかったみたいだけど、アポロは当然としてサクラちゃんとマリアちゃんも、薄々気付いてるみたいだし、僕もマリオン師匠謹製のセンサー(メガネ型)で把握してたよ」

 

 と言うと、そのセンサーを顔から外して空間にモニター画面を投射してみせた。

 

 《相変わらず、凄い魔法技術だな!》

 

 とマリオン師匠の、明らかにオーバーテクノロジーを見せられて呆れていると、一つの厳重に包装された旅行カバンが示された。

 

 「此の旅行カバンの包装紙を良く見てくれよ!」

 

 とロンに促されて、親友全員で目を凝らすと、その包装紙が光学迷彩で覆われていて、本当は御札(符術士が使用する符)が何層にも渡ってグルグル巻きに旅行カバンを覆っている事が判った。

 

 《・・・此れは、凄いな・・・。》

 

 と心の中で呟いていると、他の面々も顔を顰めて唸っている。

 

 「此の大袈裟な封印具合は、既にこの惑星アレスからは根絶された筈の、『古きものども』に匹敵する厳重さだよ。

 更に此れを見てくれ!」

 

 そしてロンがモニターを指さしして地図に、移動経路を浮かばせた。

 するとそれは空港から出ると、一直線に僕達が目指している迎賓館に到着している事が判った。

 

 「フム、どうやら此の不審物は僕達の近くに有る様だね。

 しかし、マリオン師匠の言うとおりだよ!

 研究室に閉じこもっていたって、新しい発見と出会いは起こり得ない、研究者は積極的に外に出て、新たな知見を得るべく行動すべし!

 正に卓見だね。 僕は君達と一緒に行動して色んな事件に巻き込まれる度に、マリオン師匠の言葉が身に沁みるよ」

 

 と何とも複雑な気分になる事を、興奮しながら言ってくる親友に若干辟易しながら、考えを進めた。

 

 《あの気配は、別に危害を加えようとした訳じゃなくて、興味が惹かれた、或いは面白そうだ、といった感じであって、明らかに意思を持った存在の思考が垣間見えた、とすると僕が此処に滞在している間にも、何らかの接触が有るかも知れない。 気を付けて行動しよう》

 

 と思考しながら、もう少しで着きそうな迎賓館を見ながら、不審物を持っていった国の人々を思い返した。

 その特徴的な衣服を身に纏った人々の国の名は、『日の本諸島』と言い、現在は帝国の直轄領にして、先月まで父様が滞在していた地である。

 

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