(ケント視点)
漸くアポロが、本格的に戦術訓練に顔を出してくれ始めた。
此処8ヶ月もの間、アポロは『戦略・戦術シミュレーター』で得られた、敵バグスを殲滅し得ると思われる、或る感覚を完全に行使出来る様に、試行錯誤を必死に繰り返していたのだが、結局自分だけでは解決出来ずにいた。
其のアポロの手助けをすべく、アラン皇帝陛下とクレリア皇后陛下がワザワザ此の惑星アルカディアに来られ、拳聖様と剣聖様が協力してくれて『戦略・戦術シミュレーター』でも最高難易度の『決戦! スラブ連邦首都『エデン』攻防戦』を、ハードモードで挑んだ上に様々な枷を課した状態に自身を追い詰めて、一切の妥協無く神鎧『ジークフリート』を纏い『神人』となったアラン皇帝陛下と同調させた結果、何とアポロは本来会得する予定だった『明鏡止水』という段階の上で有る、『鏡花水月(きょうかすいげつ)』にまで到達して見せやがった!
全く天晴な話しだが周りからしてみれば、22歳にして剣聖様と拳聖様の領域を越えるなんて、殆ど神域に至っているとしか思えないぜ。
試しに軍務の合間に格闘技や剣術で挑んでみたら、此れまでも勝てなかったのは同じだが、まるっきり段違いで構えも取らずにいなされてしまい、一切触れる事も出来なかった。
後から動画再生しても、有り得ない事にアポロは一切動かずに、俺達が勝手に転んだり全然見当違いの場所に剣を振っている様にしか見えない。
どうしようもないので、拳聖様と剣聖様がアポロと試合してくれたのだが、剣聖様は竹刀(練習用の竹で出来た剣)を構えて対峙し双方が交差すると、剣聖様の竹刀だけがバラバラに解けてしまい、拳聖様は『虚ろ固め』という新技で悶絶させられていた。
とうとうアポロは名実共に、アラン皇帝陛下に並ぶ帝国で最高峰の武人になったのだ。
だと云うのに、未だにアポロは毎日の鍛錬を欠かさず、遥かなる神々(調整者)の頂きを目指しているらしく、ドラゴン相手の千人組み手や、魔力等を使用しない軌道上からの落下受け身等の、耳を疑う様な特訓をしてやがる、殆ど人外どころか生物の枠すら越えてるぜ。
そして、そんなぶっ飛びまくったアポロの元で、最近とんでもない奴等が俺達の『キャメロット』と『百八家』以外に組織されやがった。
その名は『サツマ武士団』!
何で突然こんな組織が出来たか説明するぜ。
何でも此の惑星アルカディアに於いて、我々が来る前に敵バグスの降下兵を剣だけで一刀両断しまくった一種異様な部隊が有ったそうで、その部隊の奴等の集う魔法学校に向かい仲良くなった様なんだ。
最初に聞いた時は、聞き間違えたのか? と聞き返したが、どうも聞いた通りらしい。
そもそも此の惑星アルカディアを始め、他の星系では魔法そのものが存在せず、惑星アレスから魔法を教える専門の『魔法学校』を、直ぐに『龍脈』を活性化出来た惑星アルカディアで開校する事が出来たのだ。
シレノス星系の避難民は惑星アレスで魔法を学校で学ばせていたが、他の後から解放した3星系の人々の中でも魔法を学びたい人々は惑星アレスと此処惑星アルカディアに二分されて、新しい魔法養成所である『魔法学校』で学ぶ事になった。
本星の『学校』では科学技術と魔法技術を均等に子供達に教えるシステムだが、此の『魔法学校』では出来たばかりだし子供達だけでは無く、大人にも魔法を教える場所なので、正に玉石混淆の混沌とした学びの場になってしまっていたらしいぜ。
そんな『魔法学校』の名は、『ホグワーツ魔法魔術学校』と言う。
『ホグワーツ魔法魔術学校』は本来、4つの寮で寮生の共同生活をさせながら、短期で魔法を学ばせる方針だった。
4つの寮とは、グリフィンドール・ハッフルパフ・レイブンクロー・スリザリンと云う名前に分かれていて、其れ其れの寮単位で競争させてより魔法を学ぶ意欲を向上させようと考えられた。
だが、此処にとんでもない異物達が放り込まれた事で、その根底が脆くも瓦解してしまったそうだ。
その異物とは、先述した敵バグスの降下兵を剣だけで一刀両断しまくった一種異様な部隊。
此奴等は、あまりにも剣術に対しての思い込みが激しく、魔法を女々しい技術と断じてしまい、一切の魔法習得をしようとせずに、先の4つの寮に入ろうとせずに独自に『サツマ寮』として一つの塔を占拠してしまった。
此の事態に、『ホグワーツ魔法魔術学校』の『アルバス・ダンブルドア校長』は帝国に、何とかしてもらおうと考えて、此奴等の元の上官である『帝国航宙軍レオンハルト大尉』に依頼されたのだが、此奴等はレオンハルト大尉の説得に応じずに居た。
仕方無くレオンハルト大尉は、此奴等を無力化する為に軍事力を行使しようとしたんだけど、此の事態を聞いたアポロがたった一人で解決しようと乗り出したそうだ。
まあ、如何に奴等が敵バグスの降下兵を剣だけで一刀両断出来る猛者だろうと、アポロに勝てる筈もなくアッサリと制圧されてしまった。
それはそれで良かったんだけど、奴等はたった一人で寸鉄も帯びず自分達を叩きのめしてしまったアポロを、軍神として崇め奉り始めてしまい、『サツマ武士団』と言うアポロのみに忠誠を尽くす集団を作ってしまった!
ただ、何故か此奴等の生き様に共感した人々が『ホグワーツ魔法魔術学校』に、『サツマ寮』を残す事を望み、アポロも魔法を蔑視せずに学ぶ事を条件に『サツマ寮』の存続を認めた。
何とも理解し難い話しだが、現実に新しい組織が出来たのは事実なので、受け入れるしかないんだろうな。