皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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最終章 第3話

 『超過重貫通弾』と『レギオネル・カノン』の2大攻撃によって、ワームホール出口に布陣して近付いた敵バグスの大軍団の一部は崩壊し、十分な範囲の宙域がワームホール出口に出現した。

 

 其の宙域に十分な余裕を以って、我等『殴り込み艦隊』は躍り出た。

 

 但し『神威』を中心とした『殴り込み艦隊』は、完全不可知化の隠蔽魔法を全艦隊に施していて、敵バグスの大軍団は反応していない。

 

 同じく完全不可知化の隠蔽魔法を施している自分の『神機メタトロン』を含む『神機』達は、崩壊させた敵バグスの大軍団の残留物を縫う形で、動いていない敵バグスの大軍団に接敵した。

 

 「やるぞ! 皆準備は良いな!」

 

 「「「了解!!」」」

 

 自分が仲間達全員に確認し、予定通りの行動に入る。

 

 『神機メタトロン』は、いきなり完全不可知化の隠蔽魔法を解くと、抱え込めるだけ抱え込んだ100個の『疑似ブラック・ホール爆弾』を、一気にばら撒き直ぐ様にシフト(位相差ジャンプ)させて、敵バグスの大軍団の密集している要所で爆発させた。

 

 此の『疑似ブラック・ホール爆弾』とは、中心に中性子の核が有り其処にタイミングを合わせて、周りに配置した中性子が凝縮する様にぶつかり、限り無くブラック・ホールに近い質量を持つ事になる。

 

 そんなものが、敵バグスの大軍団の100箇所で発生した!

 

 「ズーーーーーーーンンン!!」

 

 凄まじい重力の嵐が、敵バグスの大軍団の内部で荒れ狂う!

 

 此の攻撃で恐らく、10億に達する敵バグスの艦隊は奈落の底に落ちて行ったが、当然此の程度の敵バグスの艦隊の被害は、兆単位の敵にとってはあまり気にもしていないのだろう。

 

 動揺も無い様子で『神機メタトロン』付近に参集して来た、敵の機動兵器が殺到して来る。

 

 《・・・ふむ、想定通りだな・・・。》

 

 想定通りの敵の行動に、含み笑いを浮かべながら自分は、敵の機動兵器が追撃して来る速度に合わせて、逃走した。

 

 当然敵の機動兵器だけでなく、敵バグスの大軍団から遠距離攻撃が自分に集中してくるが、そんな普通のビーム攻撃やミサイル攻撃では『神機』にとっては止まっているも同然だ。

 

 余裕で回避しながら出来る限りの敵集団を、予定された地点に誘導する。

 

 《到達!》

 

 予定された地点に到達した瞬間に、完全不可知化の隠蔽魔法を発動させて行方を晦まして、次の担当であるケントの『神機応龍』が姿を現し、周囲で隠れている他の『神機』達と一緒に、『神機メタトロン』を見失って立ち往生する敵集団を猛撃した!

 

 追ってきた敵の機動兵器の類は覆滅する事が出来たので、先程の自分の『神機メタトロン』が行動した内容をなぞる様に、ケントの『神機応龍』が抱え込んだ『疑似ブラック・ホール爆弾』を一気にばら撒き、『神機メタトロン』が特定の場所にシフト(位相差ジャンプ)させて爆発させる。

 

 そして、自分の時と同じく追って来る敵の機動兵器を誘導して、予定した地点に到達すると交代して、追って来た敵を覆滅したら、『疑似ブラック・ホール爆弾』を一気にばら撒く。

 

 此れこそが、散々『戦略・戦術シミュレーター』で様々な条件を設定して考案された、遥か昔の薩摩軍法の必殺戦術『釣り野伏せ』を基本とした、帝国航宙軍版『釣り野伏せ』だ!

 

 『釣り野伏せ』とは、野戦において全軍を三隊に分け、そのうち二隊をあらかじめ左右に伏せさせておき、機を見て敵を三方から囲み包囲殲滅する戦法である。 まず中央の部隊のみが敵に正面から当たり、偽装退却つまり敗走を装いながら後退する。これが「釣り」であり、敵が追撃するために前進すると、左右両側から伏兵に襲わせる。これが「野伏せ」であり、このとき敗走を装っていた中央の部隊が反転し逆襲に転じることで三面包囲が完成する。

 

 基本的に寡兵を以って兵数に勝る相手を殲滅する戦法であるため、中央の部隊は必然的に敵部隊とかなりの兵力差がある場合が多く、非常に難度の高い戦法である。

 

 此の戦術を我々は、宇宙空間で実施するに当たり、平面では無く3次元での立体的な行動と、敵バグスの誘引方法をシミュレートして、より有効な方法を模索した。

 

 最悪、少しも誘引できずに、只々、我々が狂騒するだけの可能性も有ったが、『疑似ブラック・ホール爆弾』を開発出来た事によって、敵バグスに我々を放置していると無制限に被害が拡大すると思わせる事に、どうやら成功した様だ。

 

 『神機』6機による6回の『釣り野伏せ』を行い、『疑似ブラック・ホール爆弾』を全て使い果たし、徐々に我々はワームホール出口に戻って行った。

 

 『疑似ブラック・ホール爆弾』と云う、超威力の攻撃手段が無くなった『神機』達は、凄まじい数の敵バグス大軍団に包囲されながら、ワームホール出口に飛び込んだ!

 

 其の『神機』達の逃走を追うべく、ワームホール出口に殺到してくる敵バグス大軍団に対して、満を持して完全不可知化の隠蔽魔法を施したまま布陣していた、『神威』を中核とした『殴り込み艦隊』の主砲が火を吹いた!

 

 「ドドドドドドドドドドーーーーーーーンン!!!」

 

 無音の宇宙空間でも、空間を揺らす宙震が起こり一点集中の主砲による砲撃は、殺到してくる敵バグス大軍団を殲滅した。

 

 此処までが、第1段階の予定行動で有り、後は臨機応変に敵バグスの行動に対処して行く事になる。

 

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