(『薩摩武士団』団長、島津義弘)視点
我等が主『アポロニウス殿下』と其の同僚方が、敵バグスの魔神機(主の相棒である星猫のアル殿が、奴等の正体を『殴り込み艦隊』全軍に教えてくれている)を巻き込んで長距離シフト(位相差ジャンプ)して、遥か彼方で神々の戦いに移行した。
本当に不甲斐ない話しだが、此の神域の戦いに際して我等は主の部下であるのに、主の盾になるどころか関与する事が一切出来ないである・・・。
仕方無い事とは重々承知しているが、本来なら我等の立場なら例え敵バグスの魔神機によって、一瞬で蒸発させられようと主の攻撃に移る一瞬を稼げれば本望だった。
しかし、そんなレベルにすら立てないほどの隔絶した差が有るのは、痛い程に理解している。
ならば、予め主から命令されている軍務を果たすのが、部下としての当然の務めであろう。
そしてその軍務とは、我々『殴り込み艦隊』が此の『虚無(ヴォイド)』宙域に来る為に利用したワームホールの出口を維持した上で、敵バグスの大軍団が確実に意図してくる包囲殲滅戦を、逆に好機として戦力を削り捲くる事だ。
その体制を『殴り込み艦隊』は既に構築しているので、敵バグスの大軍団がやって来るのを手ぐすねを引いて待つ。
想定通りに、敵バグスの大軍団の極一部(それでも50億隻程)が、堂々たる布陣で我等『殴り込み艦隊』に迫って来る!
《・・・望む処だ、そもそも我等『薩摩武士団』はたかがバグスの地上部隊と、刺し違えて死ぬつもりだったのだ!
其れを主が、そんな望みは間違いだと指摘してくれて、我々の意識を大きく引き上げてくれて、敵バグスの大軍団を相手に少しでも手傷を負わせて、我等『人類に連なる者』の此れから生まれてくる生命に対し、脅威を除外しておくのが我等が必死に覚えた『示現流』や薩摩軍法の意義であると、主は諭してくれたのだ。
実際に主達は、神機を縦横無尽に動かして薩摩軍法の『釣り野伏せ』を、敵バグスの大軍団に対して見事に仕掛けて、かなりの被害を負わせているのだから、当然我等『薩摩武士団』は必ず同様に『示現流』と薩摩軍法を活かした戦術を披露して見せる!》
そんな思いを抱いて、自分は特訓し直して獲得した『特化型パワードスーツ改』のコックピット内で、武者震いした。
此の『特化型パワードスーツ改』とは、新しい『人類銀河帝国』のパワードスーツの上位機種を、更に刀状のエネルギー・ソードを持たせる事で、『示現流』の動きを可能とするパワードスーツである。
その特殊なパワードスーツを、『薩摩武士団』の80名全員が搭乗していて、一つの部隊を成している。
然も、主は我等『薩摩武士団』を一つの攻撃手段として運用する事を、二人の軍師『諸葛亮』殿と『安倍晴明』殿に命じて、ラウンズの方々が駆る『機動武人(モビルウォリアー)』の部隊と同様に、攻撃部隊として規定してくれた。
なので、我等は『殴り込み艦隊』がワームホール出口で堂々と布陣している中、完全不可知の隠蔽魔法を使用して、『殴り込み艦隊』からかなり離れた場所で待機している。
暫くして、『殴り込み艦隊』への有効射程距離に近付いた敵バグスの大軍団は、遠距離攻撃の主軸たるビーム攻撃を『殴り込み艦隊』へ仕掛け始めた。
だが、当然ながら幾重にも施された魔法防御陣や、科学的なバリアーのシールドは一切の被害を、『殴り込み艦隊』に与える事は出来ない。
案の定、業を煮やした敵バグスの大軍団は、3年前のワームホールでの戦い同様に、機動兵器や怪物の類を繰り出して来る、其の数は凡そ100億を越えていて、此奴らだけで我等の銀河系は蹂躙されそうな数である。
其の事を恐らく判っているのだろう、機動兵器と怪物達は一切攻撃せずに『殴り込み艦隊』の魔法防御陣とバリアーを解除するべく、まとわり付き始めた。
当然、そんな事を許す訳も無く『殴り込み艦隊』は、奴等に有効な聖魔法を主とした魔法攻撃を斉射する。
次々と機動兵器と怪物達は、『殴り込み艦隊』の至近距離での聖魔法攻撃を受けて、ドンドンと消滅して行き問題無く殲滅出来そうだ。
そんな中、敵バグスの大軍団50億隻は、『殴り込み艦隊』を包囲殲滅すべく半円形に布陣しようとしている。
其の行動は、『戦略・戦術シミュレーター』でうんざりする程訓練して来た、謂わば馴染み深いパターンでも有る。
満を持して、我々『薩摩武士団』の『特化型パワードスーツ改』とラウンズの『機動武人(モビルウォリアー)』は、完全不可知の状態で敵バグスの大軍団50億隻の中心で実体化して、其々が搭載できる限りの魔法爆雷弾を解き放った!
次の瞬間、凄まじい数のバグスの艦艇が動きを止めて、漂流し始めた。
お陰で敵バグスの大軍団は、上手く『殴り込み艦隊』を包囲する事が出来ずに、混乱し始めた!
我等が使用した魔法爆雷弾の名は、『神雷(しんらい)』!
予めロン殿の神機が作り出す魔法爆雷を弾体にして置いて、凄まじいスピードで拡散する雷撃『神雷(しんらい)』を解き放つのだ!
目論見通りに、敵バグスの大軍団が混乱している事に、今迄の様々な出来事を思い出し、溜飲を下げながら我々は次の行動へと移って行った。