皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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最終章 第9話

 (通称『殴り込み艦隊』宇宙要塞艦β、主砲管制官『トロワ』)視点

 

 俺の担当している主砲4門は、現在ワームホール出口の東方面の上部の防衛を担当している。

 

 3門は聖魔法の弾頭を使用し、押し寄せて来る圧倒的な数の怪物共を浄化して行き、残りの1門はタイミングを測ってバリアー弾を撃って、他の3門の装填時間を稼ぐと云う、ルーチンワークを繰り返している。

 

 恐らくは此の方面だけで5億程の怪物共が攻撃して来ていて、凄まじい波状攻撃を加えて来る。

 

 ありとあらゆる姿形の怪物共は、唯一共通する虚ろな眼球をギョロギョロと動かしながら、途轍も無い悪意を振り撒き様々な攻撃をして来た。

 

 大体の怪物共はビームを吐いて来るが、種類によっては瘴気を吐いたり、体表から棘や鱗の様な物を飛ばして来たり、液体の様な物を吹き出したりしている。

 

 当然、そんなバリエーション豊富な怪物共との戦闘経験豊富な帝国航宙軍は、対策を講じていてバリアーはありとあらゆる攻撃に対抗出来る複合的な遮蔽能力を保持している。

 

 なので、バリアーは余裕を持って維持出来るのだが、流石に長時間のバリアー機能の保持は出来ない。

 

 段々と弾頭の消費が激しくなって来て、補給を受ける必要が出てくる。

 

 どうしても30分程の補給時間が要る段階に至り、宇宙要塞艦βの艦長に俺は補給を要請し、艦長は総旗艦『神威』にその間の防御と攻撃を願った。

 

 其の願いに従って、我等の援軍に来たのはドラゴンの一部隊である、ドラゴン軍団の『竜機人(ドラゴノイド)』100機が派遣されて来た。

 

 其のドラゴンの一部隊の部隊長は、『サバンナ』と云う歴戦の雌のドラゴンで、的確な戦況判断でドラゴン達を配置して怪物共を蹴散らして行った。

 

 30分の補給時間を終えて、再び戦闘を開始出来る様になり、宇宙要塞艦βは先程と同じくワームホール出口の東方面の上部の防衛に入る。

 

 そしてその補給時間を稼いでくれたドラゴンの一部隊に感謝を送ると、部隊長の『サバンナ』殿は、

 

 「どう致しまして、お互い頑張りましょうね!」

 

 と、ナノム・ネットワークを通して返事してくれた。

 

 正直な処、今でも人間では無い存在が流暢に言葉を喋り、意思を伝え合えている事実に違和感があるが、其れは貶める意味合いでは無く、寧ろドラゴンを尊敬しているので、恐れ多いと云う感情からだ。

 

 俺の故郷であるエアリアル星系第3惑星ザイルは、新たなる『人類銀河帝国』が解放してくれた、3つの星系の一つなのだが、其の星系には第4惑星にサティクと云う名前の原始惑星が有る。

 

 凡そ90年前に、前『人類銀河帝国』が調査して発見されたのだが、此の原始惑星には人類世界でも珍しく恐竜が絶滅せずに生存していて、『サティロン』と名付けられた恐竜はナノムによる処理をする事で、人類との意思疎通が可能となったのだが、流石に『人類に連なる者』を越える知性は持っていなかった。

 

 しかし、新たなる『人類銀河帝国』の発祥の地である、惑星アレスには『サティロン』を遥かに知性面で凌駕するドラゴンとの意思疎通を可能として、更には共に戦ったり文化面(主に魔法技術)での高め合いをする事で、非常に良好な関係を築く事に成功している。

 

 真に素晴らしい話しで、諸々の事情が片付き余裕を持てたら故郷に戻り、最先端の『ナノム玉』技術を使用して、『サティロン』と話してみたいと思っている。

 

 俺がドラゴンを尊敬していると云うのは、新たなる『人類銀河帝国』の建国物語を知った事と、例の『戦略・戦術シミュレーター』を訓練として熟して行く内に、どれだけドラゴン達が献身する事でバグスの背後に居る『古きものども』の野望を、挫いてくれたかを実感する事が出来たからだ。

 

 そんな事を思いながら、ルーチンワークの攻撃を敵バグスの怪物共へ繰り返していると、明らかに怪物共の波状攻撃の回数が減って行き、やがて撤退し始めた。

 

 《どうやら、他の戦場でバグス共がピンチになったのだな!

 後は他のワームホール出口防衛で、同様に撤退して行っていたのなら、追撃戦に移れるだろう・・・。》

 

 と推測し、艦長も其れを見越して補給艦に補給を申請し、補給艦も前線にやってきて補給してくれる。

 

 我等の乗る宇宙要塞艦βが補給を受けて居る間に、敵が攻撃して来ない事を確認して、『殴り込み艦隊』は全軍に補給と交代での休養を取る様に命じてきた。

 

 其れもその筈で、既に此の時、防衛戦を開始してから一日以上が経過していて、常に緊張しながら戦闘を繰り返していた俺達は、何時の間にか疲労困憊していたのだ。

 

 タンクベッドと云う、少ない時間で疲労が取れる上に魔力を充填してくれる機材を、交代で使用して全員が気力と体力を万全に整えている間にも、『殴り込み艦隊』は艦隊の損傷等を確認しながら、防衛戦用の布陣から攻撃用の布陣へと切り替えて行った。

 

 そして其の後は、敵バグスの大軍団の中心で大暴れしていた、ラウンズの『機動武人(モビルウォリアー)』と『薩摩武士団』の『特化型パワードスーツ改』の部隊を収容して、追って来る敵バグスの大軍団に猛撃を加える事で、十分な戦果を上げて粛々と元のワームホール出口に陣取った。

 

 後は、俺達の主君たる『アポロニウス皇太子殿下』が、無事に帰還する事を信じて待つまでだ。

 

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