「此れで何度目の攻防だ?」
「多分、36度目だね!」
「くそ! 本気かよ?! 此方はこんなに消耗して傷だらけなのに、あちらは殆ど傷付いて無いじゃねえか! 此処まで耐久力に差が有るなんてな、大した化け物だぜ!」
「仕方無いわよ、奴等『魔神機』は『宇宙大怪獣』を1000体も吸収してるのよ、相応の力を備えていると見て良いわ!」
「・・・だとすると、長期戦は不利になるだけね・・・。」
「なら短期戦を見据えて、切り札の一つを切りましょうよ!」
仲間との会話で、此れまでの遠距離と近距離での攻防戦を経て、全員がほぼ同じ意見を思っている事を確認して、自分も切り札の一つを切る事にした!
「良し、やるぞ! 『神機』全機は此れより『リミットブレイク(限界突破)2』の状態に突入する!
各々の身体も、同様に引き上げろ!」
「「「了解!!」」」
次の瞬間、『神機』全機は既に全力状態の出力のリミッターを解除し、10倍に限界を再設定しフルドライブ状態の出力に固定した。
其れ其れの特性に応じて輝いていた配色が、一様に金色に変わり機体全体が凄まじい気(オーラ)で燃え立つ!
此の状態こそが、『リミットブレイク(限界突破)2』!
通常時の神機は、ほぼ内包しているエネルギー総量は惑星に等しいが、『リミットブレイク(限界突破)2』状態ならば、恒星の十分の一程に達する事になる。
そんな状態の『神機』の能力は、当然其れに応じて全てが10倍となり、破壊力と防御力に至っては各部の総計が重なる事で数十倍に跳ね上がる。
但し、当然ながらリスクも存在し、凡そ10分間の『リミットブレイク(限界突破)2』で、『神機』は急激にパワーダウンしてしまいその能力は通常時の十分の一程に低下し、その状態は20分間は続く。
そして其の後も1時間は、『リミットブレイク(限界突破)2』は使用出来ないと云う、デメリットが存在する。
つまり、一度使用したなら明確に敵の魔神機へ、決定的な被害を与えなければリスクはたちまち神機の側に跳ね返り、一気に窮地となってしまう。
しかし、現在のままだとジリ貧この上ないのも事実であるので、やるしか無いと云う決断は致し方無い。
『リミットブレイク(限界突破)2』状態の神機達は、其の凄まじい出力状態で魔神機に対して、一気に詰め寄ると全機一斉に各々の武器で斬り掛かり、そのまま魔神機の上に跳躍する!
そう文字通りに、上に跳んだのだ!
宇宙空間に於いて上下を問うのは些か可怪しいのだが、自分と仲間達の感覚としてはその通りである。
そして神機達全機は各々の足を伸ばして、魔神機5機の内の一機に標的を絞り込み、技を繰り出した!
「『螺旋脚(らせんきゃく)』!」
そのまま神機達全機で一緒に旋回して、そのまま回転し続けて魔神機5機の内の一機に蹴りを放つ!
しかし、魔神機の凄まじい耐久力により、当たり前の様に受け止められた。
だが、当然ながらその事は想定済みで、此処からが螺旋脚(らせんきゃく)の本領発揮だ!
「「「トルネード!!!」」」
魔神機の一機に蹴りを受け止められた体勢で、神機達全機はその持てる魔力を全開にして、物理現象を完全に無視する回転をし続ける!
あまりの回転に、周囲に魔神機の残り4機が展開して攻撃して来るが、其の全てを弾き飛ばしてしまう。
「ドガッ!」
轟音が神機の内部を揺らし、次元を貫く勢いで回転した結果として、螺旋脚を喰らわせた魔神機一機の土手っ腹に大穴を開けるのに成功した!
そしてそのまま突き進んだ神機達全機は、勢いを殺さずに残りの魔神機4機から遠ざかり、残りのエネルギーを注ぎ込む事で堅固な防御壁を作り出す。
実際の処、シフト(位相差ジャンプ)すれば魔神機4機からの攻撃を受けなくて済むのだが、そうすると魔神機達は所在の判っている『殴り込み艦隊』の場所に戻り、その圧倒的な攻撃を『殴り込み艦隊』に浴びせて来ると思われる。
そうなると、『殴り込み艦隊』では魔神機の強烈無比な攻撃の前に、耐えられずに崩壊するだろう。
そんな事になれば、全ての目論見が崩れ去る。
そう、現在の帝国航宙軍が有利の様に見える戦況は、薄氷の上に有るだけで、少しでも踏み外すとたちまち奈落の底に落ちてしまう、非常に脆い代物なのだ。
なので敢えて、魔神機4機からの猛撃を此の状態で、我等の乗る神機達は耐える必要が有る。
想定通りに堅固な防御壁を組んだ我等の乗る神機達に、魔神機4機はその尋常では無い圧倒的な攻撃を繰り出してきた。
何とか、その圧倒的な攻撃を暫く耐え忍んで居たが、やはりそれ程の間耐えきれず、徐々に堅固な防御壁は削られて行き、とうとうバリアーを張っている我等がピンポン玉の様に弾き飛ばされる!
《・・・やはり・・・こうなったか・・・、だがこうなる事を予想して、俺は父上と拳聖様そして剣聖様との特訓で、『鏡花水月』を会得したのだ! 今こそ其の成果を見せる時!》
次の瞬間、仲間達のバリアーから俺の『神機メタトロン』だけを切り離し、たった1機のみで魔神機4機と相対した!
当然其の様な好機を魔神機が見逃す訳もなく、当然の様に俺の『神機メタトロン』に攻撃が集中する。
《・・・『鏡花水月』・・・》
絶体絶命の窮地に陥った俺は、まるで静寂の中で澄み切った湖面を眺めている境地に達する・・・。
眼前に迫る攻撃を見つめて、その中に力の流れを見いだして、其処にエネルギーで創造した手を差し込んで力の流れを逸して、大きく楕円を描かせて魔神機に叩きつけた!
全く想像もして居なかったのか、魔神機4機は諸に攻撃を喰らい、明らかに混乱している。
まあ、驚くだろうな・・・。
まるで、己の身体から意識が飛び出し、遥かな別の視点から戦場を俯瞰して居るような気分で、魔神機4機を見下ろしている。
さて、此処から修行の成果をもっと見せてやろう。