皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第9話

 昨日ザイリンク公国に着いて、その夜前夜祭が行われて選手の紹介等が有ったのだが、僕達子供達は先に迎賓館の特別大部屋に行き、珍しく全員同じ大部屋に泊まれる事に大はしゃぎした弟妹達が、母様ズがいない事も手伝って枕投げを提案して来て、程々のガス抜きをさせてやろうと、価値ある調度品を全てお付きのメイド達に片付けさせると、僕VS弟妹達+星猫のアルで枕投げ(問題ないように償却期間が切れたゴミに近い枕)を始めた。

 

 時折、朝の起床挨拶で僕を襲ってくる妹達と違い、始めて兄である僕に挑む事になる弟は、大興奮して3歳児とは思えないレベルで僕目掛けて、本人にとってかなり大きい枕を信じ難いレベルで次々と投げて来る!

 

 「ウキャーーー!!」

 

 とまるで何かの動物の様な嬌声を上げて枕を投げまくる弟は、僕だけで無く妹達にもぶつけて来て、警戒していなかった妹達は、思いっきり高東部に枕をぶつけられて広間に敷き詰められた布団に、顔面から突っ伏していく。

 

 「「やったなぁー! ルー君!」」

 

 セリフの割に、笑いながら妹達は僕には凄まじいスピードで投げていた枕を、緩やかな放物線を描くスピードでルー君に投げる。

 

 そんな姉達の手加減を理解しているのかいないのか、ルー君は空中でヒラリととんぼ返りして避けると、空中でその枕を掴んで妹達に投げ返した。

 

 しかし、そのスピードは僕に対してと違い、かなり手加減しているのが判った。

 

 《弟よ、姉に対してと兄に対しての扱いが、あまりにも差があるぞ!》

 

 と、些か兄弟間の差別を感じて、心に傷を負いながら、程々に弟妹達が満足するまで枕投げをしてやって、ガス抜きを終えたら暴れまわった広間の後片付けを、兄弟全員で始めて枕と布団を整理して、一緒に眠る体制を整えて、全員でザイリンク公国迎賓館の自慢の大浴場に向かう。

 普通どの様な国でも、迎賓館というものは格式を大事にしているが、元々ザイリンク帝国の皇城だった物を改装した経緯があって、この迎賓館は無駄に広い。

 なので、本来は迎賓館に無い施設が沢山有る。

 この大浴場も、『日の本諸島』の温泉を模倣している。

 

 僕と弟は親衛隊の隊員達と一緒に男風呂の暖簾をくぐり、弟に父様から学んだ温泉等の入り方とルールを教えて、兄弟水入らずで大浴場を満喫し、互いの背中の洗いっこをして楽しく過ごせた。

 

 大満足して妹達と合流すべく、他の国の人々は入らない帝国専用のラウンジに向かっていると何故か、ラウンジに辿り着く途中の遊技場で人だかりが出来ている。

 

 何だか嫌な予感がして、弟と顔を見合わせて直ぐに遊技場の中に入った。

 まあ、大体の予想はついていたが、妹達と親友達の女子が太鼓のリズムゲームと、エアーホッケーで遊んでいる。

 

 かなり淑女にあるまじき掛け声を上げて、サクラちゃんとセラがエアーホッケーを、幼児用の台に乗って凄いスピードのラリーを繰り返しているし、マリアちゃんとシェリが太鼓のリズムゲームで、女の子では大人気のアニメ『魔法少女ヒーラーズ・エンジェル』の音楽に応じて、太鼓を叩いてリズムを合わせている。

 

 「セラちゃん本当に凄いね! 私と五分でラリー出来る子供は、滅多にいないんだよ!

 次回はダブルスで、セラ・シェリチームと私・マリアチームでやろうよ!」

 

 「サクラちゃんも流石ー! 明日の夜はダブルスでやるの賛成ー!」

 

 とエアーホッケー組は喋りながらゲームを続け、太鼓のリズムゲーム組は、

 

 「此れ、新しい曲が入って無いよ! シェリは今年のオープニングが好きなのにー!」

 

 「あたしも、今年の曲の方が好きー! 何だか古い(と言っても5年前位)ドラマの主題歌ばかりだから、此の迎賓館には、あまり子供が泊まらないんだろうね!(当たり前だ! 本来迎賓館とは国賓がよばれるのだ)」

 

 と好き放題吐かしている。

 

 「・・・ほら、お前達そろそろ遊戯はお終いだ!

 もうそろそろ、父様達が帰ってくるぞ!

 サクラちゃんとマリアちゃんも、近くのホテルに帰らないといけないから、車で帰ってね」

 

 と僕は迎賓館の職員に依頼し、二人を送迎車で送って貰い、弟妹達を枕投げをしていた特別大部屋に戻り、歯磨きとパジャマに着替えさせると敷き直して貰った布団に、4人全員で寝転んだ。

 

 久々の子供だけの寝床、それに旅先という事もありみんな中々寝付けないので、お兄ちゃんの僕が色々とお話しをしてあげる。

 

 20分程お話しをして上げると、最初に弟が寝息を立て始め次に妹達が寝てしまった。

 

 やれやれやっと静かになったかと、独り言ちていると脳裏に昼間起こった様々な出来事を反芻する事になった。

 

 飛空挺の代わりにミネルヴァで此処までフライトした事、空港での不審物を見つけた事、崑崙皇国の長子にして皇女『褒姒』こと『玉藻前(たまものまえ)』との出会い。

 

 中々、濃い1日であった。

 

 そして、明日の『第七回 世界武道大会』の小等部本戦を思い、僕は漸く眠気を感じ深い眠りについた。

 

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