皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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最終章 第17話

 (突撃部隊部隊長 ラウンズ筆頭 『劉備玄徳』)視点

 

 主君アポロニウス殿下が『古きものども』の首領格『ツァトゥグァ』を誘導して、此の超巨大なコクーン(繭)の大穴から引き離してくれた。

 

 ならば我々は主君の期待通りに、敵バグスの首魁が居ると思われる此の超巨大なコクーン(繭)の中心核に侵入し、滅ぼして見せよう!

 

 我々突撃部隊の構成メンバーで最強の、『竜機神(ドラグゴッド)』アトラス殿とグローリア殿が、揚陸艦をバリアーで保護しながら、其の神機とほぼ同格の力で魔法によるドリルを構築して、大穴を更にくり抜く様に直進して行き、とうとう外殻を潜り抜ける。

 

 其処は明るかった。

 

 どう考えても光源など無さそうなのに、中心核と覚しき辺りから柔らかい光が溢れ出している。

 

 今迄、ずっと圧力として伸し掛かっていた『P.K.(念動力)』も突如無くなり、奴等にとっても此処が特別な場所だと判る。

 

 だからこそ、周囲の警戒を厳にしながら突き進んで行く。

 

 すると、今迄全く抵抗無く進めていたのに、突然光が陰りだして何やら『P.K.(念動力)』ではないが、妙な雰囲気が漂い始めてきた。

 

 《・・・何だ・・・?》

 

 私だけでなく、他の突撃部隊の面々も此の妙な雰囲気に直ぐに気付き、一様に緊張感を漂わせ始めて己の機体に乗りこんだり、己の武器を手に持って点検をし始めた。

 

 やがて有り得ないことに、読経の様でもあり呪詛の様でも有る、おどろおどろしい声が空間に満ちてくる。

 

 其の奇妙な声が、やがて大声に変わって突然ブツリと途絶えた・・・。

 

 そもそもさっきの声は、誰がどんな目的で出したのだろう?

 

 まあ、此処は謂わば敵バグスの首領の体内と呼んでも良い場所だから、明らかに敵バグスの側が何らかの召喚をして、護衛か保護を求めたと思われる。

 

 其の想像通り、何かが押し寄せて来る予感が、他の突撃部隊の面々にも察せられて来て、全員が頷き合って出撃準備を整えた。

 

 我々が準備に入った段階で、ドラゴン達は『竜機神(ドラグゴッド)』であるアトラス殿とグローリア殿始め、『竜機人(ドラゴノイド)』100頭が出撃して行った。

 

 空間が揺らめいた・・・。

 

 我々突撃部隊の前方の空間が、歪む様に揺らめいて穴が空間に開いた。

 

 ヒタヒタと、空間に開いた穴から何かが押し寄せて来るのが、問答無用で感じられ其れに対処する為に、ドラゴン達は攻撃用フォーメーションをとった。

 

 其の攻撃用フォーメーションの名は『インフェルノ・カノン』!

 

 類似の攻撃方法の『レギオネル・カノン』と違い、広範囲殲滅攻撃では無くて一点に攻撃を集中させて、其処から傷口を広げながら被害を拡大させる攻撃手段だ。

 

 いよいよ、押し寄せてくる何かが穴に殺到して来る気配を感じた瞬間、ドラゴン達の『インフェルノ・カノン』が火を吹いた!

 

 空間の歪みから開いた穴に吸い込まれる様に、『インフェルノ・カノン』で放った魔法で作った地獄の炎『獄炎の業火』は、穴を通って来る筈だった何者かは、此方に来る前に焼き尽くされる!

 

 『インフェルノ・カノン』の状態で『獄炎の業火』を暫くの間放出し続ける事で、恐らくは相当な敵を焼き尽くせたので、かなり助かったと思われる。

 

 しかし、そんな風に大被害を敵に喰らわせた筈なのに、押し寄せてくる敵の数は減った様に感じない。

 

 やがて、『インフェルノ・カノン』が終わり敵の姿が見えて来た。

 

 見えて来た其の姿は、何と我々が知っている生物や魔物に酷似していた。

 

 一つ目の種類は、ヒキガエルと瓜二つで場違いにしか思えなかったのだが、良く観察すると背中にはコウモリの翼を背負い、体表には触手が無数に生えている。

 

 二つ目の種類は、スライムとよく似ている黒いタールのような不定形の姿をした魔物。

 

 三つ目の種類は、大まかな姿は人間に似ているが、頭部は蛇の蛇人間である。

 

 とてもでは無いが、こんな足場の無い空間戦闘に適した存在には見えないが、其れはどうやら偏見であった様で、怪物達はアッサリと空間を踏破して此方に向かい押し寄せて来た!

 

 だが、そんな事は百も承知だ。

 

 ラウンズの『機動武人(モビルウォリアー)』と『薩摩武士団』の『特化型パワードスーツ改』、そしてドラゴン達の『竜機神(ドラグゴッド)』と『竜機人(ドラゴノイド)』は、勇躍として揚陸艦から補給を受けた上で発艦する。

 

 そして、其れ其れが予め持てるだけ持ち出した、機雷タイプの魔法弾を周囲にバラ撒いた。

 

 此の機雷タイプの魔法弾は、敵が近付く度に分裂して機雷としての役割を果たし爆発するのだ。

 

 其れを360度にバラ撒いて、空間に開いた穴方向にだけ攻撃用の穴を設けて、敵の怪物共を呼び込んだ。

 

 案の定、あまり頭が良く無さそうな敵の怪物共は、機雷タイプの魔法弾にも殺到して来て被害を拡大していたが、流石に其処からは近付け無い事が暫くして判った様で、攻撃用の穴に群がって来た。

 

 そして想定通りに、我々は適当な攻撃方法で敵の怪物共を攻撃して行く。

 

 さて、奴等がこのまま間抜けな攻撃を繰り返して来るのを祈るとしよう。

 

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