「あの時は、本当に全員で泣いちまって、お前だけが残った事を恨んじまったぜ!」
「そうよそうよ、あの後直ぐに神機の裏技を教えられて、みんなでやれば良かったじゃんと、気付いたけど戻る方法が無くて、当惑しちゃったわ」
「まあ、そんな状況でも善後策を用意していた、アラン皇帝陛下は本当に流石だね! 『戦略・戦術シミュレーター』の特訓時に全てを想定してたんだ!」
「その辺を聞いていたのに、秘密にしてた師匠(剣聖様・拳聖様)は本当に人が悪いわよ! 暫くの間、アポロが死んでしまったと、凄く嘆いてしまったのに!」
「全くよ! 吾なんて後追いする事を覚悟して、全ての葬儀を終えたら墓前で死ぬ方法を幾つも考えていたんだから!」
一人ややとんでもない事を言っているが、自分の無事帰還した事に憎まれ口を叩きながらも、仲間達全員が喜んでくれた。
自分が帰還した事で、直ちにワームホール出口に『殴り込み艦隊』は入り、ほぼ全ての探査プローブを此の『虚無(ヴォイド)』空間に配置して、ワームホール出口を閉じてアルカディア星系への帰還の途に着いた。
今回の遠征は望外の戦果を得られた。
敵バグスの中枢たる『巣(ネスト)』と『司令バグス(仮称『新種のバグス』は此の名称となった)』を葬った事で、明らかに残ったバグスの大軍団は統制を欠いており、恐らく今後は混乱の巷になる事は予想が着いた。
此方としては、行動可能な『神機』全ての全壊と、それ程用意出来ない武装の数々を全て使い果たしてしまったので、当分の間、遠征する事は出来なくなったので此の敵バグスの状態は有り難い。
戦況と結果は直ぐに惑星アルカディアに有る帝国航宙軍司令部に伝え、自分と『殴り込み艦隊』の幕僚達と軍師2人が参加する会議を帰路の間も定期的に行い、当初の予定通りワームホール入口にも迎撃システムを構築し通常空間に戻った。
通常空間に戻ったので、普通にAR通信で軍務以外の私的な会話が出来る様になり、家族や友人達とAR通信で遣り取りを始めた。
家族からは直ぐに自分の無事を寿がれ、仲間達や『殴り込み艦隊』全員の死者が出なかった事を称賛された。
「・・・良く頑張ったわねアポロ。 貴方が相当な覚悟で遠征に出たので、私はアランに時折泣き言を言って、大分困らせてしまったわ・・・。」
そんな感じでクレリア母上は、自分にとって返答に窮する言葉を投げかけて来て、其の言葉から実はもう少しで自分が死ぬ間際であった事実を、父上が伝えて居ない事も察せた。
次に妹達からのFTL通信がメールで送られてきた。
「兄貴、流石だね! 細かい内容は後から報告されるんだろうけど、結局一人も死なずに遠征はおわったんだってね! 私とシェリスは兄貴の遠征が成功裏に終わったから、予定通りに近隣の星系に救援艦隊を派遣して、幾つもの星系を解放して来るよ!」
「お兄様、無事のご帰還おめでとうございます! まあ、お兄様なら当然の結果でしょうけど、流石に今回の遠征は私としても心配してたんですよ! ですが予定通りの結果を受けて私とセラスは、セリーナ・シャロン母様達と共に、未だバグスが残して行った地上部隊や機動兵器に苦しんでいる各星系を助けに参りますわ!」
と2人の元気なメールを受け取り、妹達へFTL通信での返事を送った。
次に弟のFTL通信がメールで届く。
「兄上! 遠征の大勝利おめでとうございます!
まだ詳細な報告は来ていませんが、きっと激戦を戦って来られたのでしょうね!
惑星アレスを預かっている身としては、兄上に後背の憂いを残させない為に、頑張って居ります。
ただ、父上と母上が惑星アレスにご帰還したら、是非、自分にも救援艦隊を率いて他の星系を救いに行ける様にお口添えして頂ければ幸いです!」
思わず苦笑してしまった。
だけど、弟の気持ちを考えると、希望を叶えるのも吝かではない。
今迄、弟が常に自分が前に出て遠征や新しい帝国領での様々な行動をする度に、本来気を配っていなければならない惑星アレスを守ってくれて居たので。
此の弟の希望は聞いて上げたいと思う。
他にも、師匠達(拳聖様・剣聖様・賢聖様)や剣王・拳王・賢王の方々からの祝電も届いて来た。
きっと惑星アルカディアに有る自分の執務室には、膨大な祝電や祝辞が届いている事だろう。
まあ、秘書兼御庭番衆の長となっているサスケが、上手く処理しているに違い無い。
段々と、本当に勝利して帰還したのだなと実感して来る。
暫くの間は休息させて貰い、其れを終えたら自分は妹弟達が良い形で動ける様に、後援する事を主にして、解放される各星系に『スター・ロード』を設置するインフラ整備に注力しようと考えた」。