皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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序章 第一話

 皇子宮の広間には既に、クレリア母様と弟のルー君、そしてパジャマから着替えたセラとシェリの妹達が、ちょこんといった感じで着席している。

 一番遅かった僕は、朝の挨拶と共に遅かった事を詑びたが、鷹揚にクレリア母様は受け流し、メイド達に食事を運び入れる様に命じて、立体プロジェクターを起動させると、此処に居ない筈のアラン父様とセリーナ・シャロン両母様を出現させる。

 

 全員が揃った処で、アラン父様が朝の挨拶を告げて来た。

 

 「みんなおはよう。

 父さんとセリーナ・シャロン両母様は、遥か遠い『北アメリア大陸』に居て時差が有るから、父さん達は夕食なんだけど共に擬似的な食事は摂れる。

 親子の団欒を楽しもう。

 其れでは『頂きます』!」

 

 「「「『頂きます』!」」」

 

 とみんなで唱和して、食事に移った。

 

 僕の朝食は、5歳と云う事で殆ど親達と内容に差がない食事だが、4歳の妹達は若干まだ幼児食で、まだ2歳にならない弟のルー君は離乳食だ。

 

 僕は、片焼き目玉焼きの脇に添えられたベーコンを見ながら、父様達の食卓に上っているステーキを見て質問する。

 

 「・・・父様達が食べておられるステーキは、もしかして前に話題にしていた、『アメリア・バッファロー』のお肉ですか?」

 

 と尋ねると、父様はオニオンスープを飲み終え、答えてくれた。

 

 「そうだよ、アポロの言う通り『アメリア・バッファロー』の肩肉だよ。

 以前に説明した通り、『南北アメリア大陸』には『人類に連なる者』は一切居なかった所為で、此処は魔物や野生生物の宝庫でね。

 特に『北アメリア大陸』は此の『アメリア・バッファロー』の天国の様な所で、色々な魔物と野生動物を調べてみたが、此の『アメリア・バッファロー』は有力な食肉として、放牧して量産が決まったんだ」

 

 との説明に、まだステーキは食べれないが、ハンバーグは食べられる様になった僕と妹達は、

 

 「父様、勿論ハンバーグは試してみたんでしょう?」

 

 と言うと、ニコッと笑って僕達にクラウド上に記録した、ハンバーグに処理して食べている動画を見せてくれた。

 

 アラン父様と専属の料理人30人が、『南北アメリア大陸』で魔物や野生動物を狩って魔石や肉類を調査している、大陸最大の冒険者ギルド『疾風』のギルド長である『カール』おじさんとそのギルドメンバー1000人に振る舞っているシーンが動画になっていて、その一場面でハンバーグを美味しそうに食べているシーンが有ったのだ。

 

 「「とうさま、かあさま、ズルいーーー!」」

 

 と同時に妹達が、理不尽な抗議を立体プロジェクターの父様とセリーナ・シャロン両母様に浴びせる。

 

 弟のルー君も、大好きな姉二人が大声の抗議を上げたから、

 

 「とうちゃま、かあちゃま、ズルーーー!」

 

 とにこやかな笑顔で、抗議?を上げる。

 多分姉二人の真似をしたのだろう。

 その発言と共に、両手を振り回し始めた弟を、隣に座るクレリア母様が嗜める様に柔らかく諭して、離乳食のリゾットをスプーンで口に入れると、弟は美味しそうに食べ始め、何を抗議?したのか忘れた様だ。

 

 そんな可愛らしい3人の抗議?に、セリーナ・シャロン両母様が、

 

 「抜かりは無いわよ!

 もう直ぐに、私達と一緒に狩りの練習をしていた『ミネルヴァ』ちゃんが、今日の夜には帝都コリントに着くでしょうから、持たせたお土産の中に貴方達用の『ハンバーグ』を10キログラム有るから、アスガルド城のシェフ長に料理して貰いなさい!」

 

 「他にも、『南北アメリア大陸』の珍しい果物を持たせて有るから、みんなで楽しんでね!」

 

 と答えてくれたので、妹達は歓喜の声を上げ、弟も再度歓喜の叫びを上げる。

 そんな喜びの声が上がる中、父様は僕に向き直ると、

 

 「・・・アポロ。

 何でも、コリント流剣術を学びたいと、剣聖『ヒエン』殿に願い出られた様だな・・・」

 

 と尋ねられて来た。

 其れに対して僕は、

 

 「はい、父様に以前諭された様に、まだ身体が出来上がっていない時に剣術を学ぶのは、百害あって一利無しと説明されましたが、既にコリント流格闘術の基礎は拳聖『ダンテ』様から学んでいますし、せめて身体に負担の無い歩法だけでも学びたいと考えました!」

 

 「・・・フム、歩法だけでも学び基礎を身に着けたいと言うわけか・・・」

 

 と父様は顎に手をやって、推敲する様に思考された。

 すると、此れ迄発言を控えていたクレリア母様が、クスクスと笑いながら父様に報告する。

 

 「フフフ、アラン、どうも先日『サクラ』ちゃんと『マリア』ちゃんが、親から教わった剣術を演武して見せてくれて、その姿が凄く格好良かったらしくて、私に興奮気味に報告して来たの。

 きっと、その所為よ!」

 

 と真実をバラしてしまった。

 ただ、別に隠す必要も無いので、僕は堂々とその通りだと頷いていると、父様は、

 

 「・・・うーん、『サクラ』ちゃんの母親で有る『オウカ』殿と、『マリア』ちゃんの父親で有る『シュバルツ』殿が教えている『神剣流』は、4歳くらいから修練に入るから、既にある程度型を披露出来るのか・・・」

 

 そんな風に呟かれると、僕に向き直り、

 

 「・・・アポロ・・・、申し訳ないが、お前には『神剣流』から剣術を学ばせる訳には行かない!

 ただ、その代わりに、一週間後に私が予定通り帰還した際に、お前でも学べるコリント流剣術の歩法と体幹移動術、更には気功法を指南してやろう!」

 

 と約束してくれた。

 

 《エッ、まさか気功法まで?!》

 

 と予想以上の収穫に驚いていると、

 

 「じゃあ、私がコリント流剣術の歩法の師匠ね!」

 

 「それなら、私が気功法を教えて上げるわ!」

 

 とセリーナ・シャロン両母様が手を上げて立候補してくれた。

 お二人の厳しさを思い出し、思わず引き攣ってしまった口元を、食事の終わった妹達が両頬を指で突付いて来て、お二人から誤魔化せたと思う。

 

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