皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第14話

 学生部門の表彰式も終わり、迎賓館でエラさん始め学生選手達の慰労会が行われた。

 

 ただ、学生なので当然酒類は禁止(帝国では18歳以下は飲酒禁止なので、武道大会も準拠)だから、ジュースやお茶類が飲料だし、子供と呼べる年齢の者が多いので、香辛料の強い食べ物も除外されている。

 だから、僕達や弟妹達も問題無く参加できたし、あまり大人は参加しなかったから思いっきり楽しめたし、慰労会が終了したら弟妹達と親友達は、エラさんと共に大浴場と例の遊戯室に向かった。

 

 僕はちょっと父様に呼ばれていると説明しみんなと別れると、迎賓館前の送迎車両に一緒に参加していた母様ズと乗り込み、2時間前までいた『コロシアム』に向かう。

 

 そして専用のゲートを抜けてコロシアムの裏口から送迎車両を入れると、他にも2台の送迎車両が既に着いている事に気付いた。

 そのまま、送迎車両から母様ズと共に降りてコロシアムに入り、案内された特別な部屋で帝国軍人が着る『インナースーツ』に良く似た物を着せられた。

 

 着替え終わるとまた案内されて、そのまま長い廊下を進み武舞台に向かった。

 

 僕がやって来たのとほぼ同時に、対面から武舞台に上がってきたのは、僕と似た服装に身を包んだ彼女『玉藻の前』だった。

 

 なんとなく予期していたから意外では無かったが、幾つかの疑問点が有るので武舞台で審判役の様に佇んでいる父様にそのまま聞いてみた。

 

 「・・・父様・・・、大体この時間にコロシアムに来る様に言われた段階で、僕が戦う事は何となく判っていましたが、その戦う理由と意義、そしてその相手が彼女『玉藻の前』なのは何故か、教えて戴けませんか?」

 

 「お前が疑問に思うのは当然だし、その相手として彼女な理由を説明しなくてはならないと思う。

 だが、理屈抜きの処ではお前は判っているのだろう?

 此れは必然であり、そしてその相手は彼女しか有り得ないという事実を!」

 

 「・・・・・・・」

 

 そう、僕は心の奥底で判っていた。

 此の戦いはある種の必然であり、しなくてはならない戦いなのだと!

 

 父様が説明を始めた。

 

 「アポロに褒姒よ、お前達は此の惑星アレスに於いて殆ど有り得ない存在だ!

 何故なら、その幼い身体にも関わらず保持している魔力、そして一度に引き出せる魔力係数は生物として君臨するドラゴンのそれを遥かに凌駕する。

 本来ならば、魔力の暴走でその幼い身体は消し飛んでいても可怪しくなかったが、此処に居る賢聖『モーガン』殿と帝国魔法技官長『マリオン』の開発した『負荷魔法』、そして諸々のアーティファクトを使い、その魔法力を抑えて来た。

 しかし、其れ等全てを駆使しても、少しずつ抑えきれない魔力はその身体から漏れ出している。

 お前達は、その子供とは思えない程の精神力で何とか制御しているが、何時かキャパシティーを越えたま魔力は大爆発しかねない危うさを常に抱えている。

 ならば、邪魔も無く今まで出来なかった、魔力の全力解放とその上限を見極める為の場として、最適な場所である『コロシアム』を利用する事にした。

 コロシアムはアーティファクトそのもので、その機能により選手の能力を抑える効果を持つ。

 当然其れは体力だけでなく魔力にも及ぶ。

 お前達に本当の意味で魔力を全開させるには、やはり闘争でしか有り得ない!

 本当は、大人が相手してやるべきなのだろうが、私が相手したとしてもお前達の魔力に対抗し得ないので、いなしてしまう事しか出来ずに真の意味で全力を出させれないだろう。

 幸いお前達には、ほぼ同等の存在として眼の前の存在がある。

 全力を出してみせろ!」

 

 と父様は僕達を焚き付け、向きを変えて制御室に居ると思われる、賢聖『モーガン』殿と帝国魔法技官長『マリオン』に指示を出した。

 

 「モーガン殿・マリオン、魔力抑制20分の1から始めよ!」

 

 「「了解!」」

 

 次に武舞台の周りに居る母様ズと、崑崙皇国の皇帝夫婦『李世民』様と『妲己』様に向き直ると、

 

 「其れではそろそろ始めるが、己の子供の真の実力を把握するのは親の務めであると思うので、どうか心安んじて見守って頂きたい!」

 

 その言葉に、両親達は頷いている。

 

 最後に僕達2人を見て、父様は、

 

 「さあ、恐らくお前達は生まれてから一度として全力を出した事が無いので、親として私と李世民殿が外部から助けてやろう、李世民殿! 準備は宜しいか?」

 

 「大丈夫! 任せてくれ!」

 

 と李世民様が応じられ、直ちに作業を開始した。

 

 「褒姒、始めるぞ! 

 『龍脈封印システム』解除! 解放『九尾』!! モード『金毛白面の者』!!!」

 

 【其は、遥かな過去『古きものども』によって滅ぼされた者達の恨みの念が結晶した力の塊。

 代々の巫女(末喜・則天武后・華陽婦人・若藻・藻女・妲己・他)が、己の身体に封印し浄化し続け恨みの思念を昇華し、良き魔力の塊に变化したる。

 時満ちて、魔力の塊自我を持つに至り『九尾』と名乗るが身体を維持する能わず、日の本諸島にて『殺生石』に封印する事で安定す。

 其の因果と魔力の行使者として、母となりし妲己の身に宿りし赤子に転生した者、汝の名は『褒姒』!

 殺生石の所有者にして、《古きものどもを屠る者》!】

 

 ナノムネットワークに一気に流れ込む、褒姒こと『玉藻の前』の真実!

 その由来の凄まじさに僕は面食らっていたが、そんな心情を一切無視し父様は僕のリミッターを解除した。

 

 「アポロ、開始するぞ!

 『龍脈封印システム』解除! 解放『メタトロン』!! モード『ルシファー』!!!」

 

 【其は、遥かな過去『古きものども』と戦い、汚辱に塗れ本来の光から堕天しても尚戦い続けた者。

 魂すら砕かれても神人アランの子として転生し、本来の光に立ち返る者、汝の名は『アポロニウス』!

 汝こそは、《明けの明星にして暁を掲げる者》!】

 

 その時、僕の中の何かがブツリと云う音と共に千切れた!

 

 次の瞬間、身体の奥底から湧き上がったのは、正に力の化身とも言うべき魔力の奔流!

 

 そして僕の意識は途絶えた・・・。

 

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