皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第15話

 目覚めたら、僕の周りには弟妹達が纏わりついて眠っていた。

 

 嗚呼、迎賓館の特別広間かと納得して身体を起こそうとした。

 しかし、僕の身体に力が込められず、精々顔を動かす事しか出来ない。

 

 《此れは、どう云う事だ?!》

 

 途方に暮れて、相棒の星猫アルにナノムネットワークを介して通信すると、

 

 【起きたのか、アポロ!

 アポロが意識を失って、アラン陛下の腕に抱かれて部屋に入って来るなんて、赤ん坊の時以来だったから驚いたけど、寝息は落ち着いていたから大丈夫だと安心したよ。

 だけど、流石に此処まで無警戒なアポロは危ないから、サスケと一緒に警戒網を構築してるんだよ】

 

 【・・・其れは有難いな・・・。

 そのまま警戒網を維持してくれないか、僕も此処まで疲れた状態になったのは始めてで、心許ないよ】

 

 【了解したよ!】

 

 アルとのナノムネットワークを介した通信で大体の状況を察してから、魔力による回復を諦めて小周天の法で気功の循環による気力の回復をして、チャクラから生み出されるクンダリーニ(螺旋力)で起き上がる事が出来た。

 

 弟妹達を起こさない様に気を付けて、前と同じくシャワールームでシャワーを浴びて、サスケと星猫のアルに感謝して着替えてから父様達の居るフロアーに向かった。

 

 父様と母様ズが寛いでいるリビングには、同じく迎賓館に滞在している崑崙皇国の皇帝夫妻も居て、一緒に珈琲タイムを楽しんでいた。

 

 「お早うアポロ、良く眠れたんじゃないか?」

 

 「・・・ええ、人事不省になるまで意識を失って眠ったのは、生まれて始めてです・・・。」

 

 「そうね、アポロが生まれてからこんなに長く眠っていたのは始めてね」

 

 「赤ん坊の時も、本当に無警戒に眠った事無かったからねえー」

 

 「でも妹達が生まれたら、小さいナイト(騎士)みたいにしてたから可愛かったわよ!」

 

 と母様ズは、揶揄するように僕を評しているし、その様を見て李世民様と妲己様も微笑んでいる。

 

 「しかし、流石はアラン様のご子息ですな! 同じ状況の褒姒は未だにぐっすりと眠っていて、起き上がる気配が無いそうです」

 

 「この際、あの娘も徹底的に眠ってれば良いわ! 常に警戒し続けてたからストレスが溜まってただろうし、良い機会よ!」

 

 とご夫妻も自分達の長女に対して、揶揄している。

 

 「・・・父様、申し訳ないですけど、僕は父様がリミッターを解除した後の記憶が一切無いのですが、あの後何が起こったんですか?」

 

 「そうだな、きっとそうなるだろうとは予想していたので、多角的に動画を撮っているので、彼女と一緒にお昼にでも観ると良い。

 お前達は、昼食を食べたら帝国に戻るのだから、他人には観せずにな」

 

 そう言うと、後から合流した弟妹達を連れて、全員で迎賓館のビュッフェ・レストランに朝食を摂りに向かう。

 

 弟妹達は今日が最後なので日頃食べない、崑崙皇国の飲茶やアラム共和国のカレーを朝から頼み、存分に食欲を満たした。

 

 朝食の後父様は、コロシアムに出向いて武道大会の主催者として仕事を熟している間、母様ズは迎賓館に滞在する各国の来賓達との懇談をされている。

 

 僕達は、クラスメイトと合流して横断幕や応援用の機材を空港の飛空挺に運び入れて、各国の飛行魔獣やドラゴンと親しくしていた僕の騎竜『ミネルヴァ』に改めてカーゴを載せたりしていると、どうやら起き出してきた彼女『玉藻の前』とそのお付きと鉢合わせした。

 

 彼女は僕を見つけると、ダッシュして来て僕に近付くと顔を寄せてきて囁いてきた。

 

 「我の両親から聞いたんだけど、昨日の戦いの動画を2人で観なさいと言われたわ。

 もしかして、貴方も記憶が無いの?」

 

 「と、僕に聞いてくると云うことは、君も記憶が無いんだね」

 

 と聞くと、彼女は顔を紅潮させて、

 

 「そうよ、でも貴方もなら問題ないわ! さあ我も観たいから崑崙皇国の誇る飛行船『長城(グレート・ウオール)』内の特別客室に行くわよ!」

 

 と言うと、僕の手を引いて連れて行こうとするので、親友達に後の事を任せて崑崙皇国の誇る飛行船『長城(グレート・ウオール)』に乗艦した。

 彼女に案内されて特別客室に入り、CA(客室乗務員)から紅茶を頂き呼ぶまで入らない様にしてもらって、動画を巨大モニターで観る。

 

 僕と彼女の記憶が途切れる手前まで動画を早送りして、通常再生に戻した。

 

 双方の封印が解放され、僕と彼女はほぼ同時に項垂れていたが、突然炎の様に全身から気(オーラ)が吹き出して、周囲を圧っして行く。

 

 やがてその気が色を帯び始めて、彼女は金色に染まり、僕は紅色に染まった。

 

 意識を失っている僕達2人は、暫くの間気(オーラ)を出し続けていたが、徐々に炎の様に揺らめいていた気(オーラ)は形を取り始めた。

 

 彼女の金色の気(オーラ)は、背中から9本の尻尾の形になり、彼女を守る様に纏わり付いた。

 

 僕の紅色の気(オーラ)は、背中から12枚の翼の形になり、僕を守る様に包み始めた。

 

 その形のまま双方の気(オーラ)は膨れ上がり、激突した!

 

 「ドオオオオオーーーーンン!」

 

 その激突音が響く中、賢聖『モーガン』様と帝国魔法技官長『マリオン』様が歓喜に湧いた声を上げる。

 

 「月面からの観測データが、改修中の『戦艦イーリス・コンラート』から上がって来たわ!

 恐らく月に封印されている、『メタトロン』と『九尾』が感応したのよ!」

 

 「・・・どうやらその様です! 神機である『応龍』・『天照』・『ブラフマー』・『ガルガンチュア』も微弱ながら感応波を放出しています!

 恐らくは、他の神機も感応波を放出する筈なので、此れを頼りに不明の4機体も探せるでしょう!」

 

 そんな喜びの声を無視して、僕と彼女の気(オーラ)は其れ其れの形で攻撃し合っている。

 だが、流石にそんな膨大な魔力を放出し続ける事が出来る筈も無く、突然拡散するように気(オーラ)は形を失い、僕と彼女はコロンと転がる様に武舞台に倒れた。

 

 そんな僕達を父様は両腕に抱えると、僕はクレリア母様に渡され、彼女は妲己様に渡された。

 そんな2人を優しく見ながら父様は、

 

 「・・・今回はこんなものだろうな・・・。

 本人達に、そもそも魔力を物質化して戦う技能は習得させて無いし、闘争するつもりも無かったしな。

 だが、何れは年齢を重ねて行くに連れて、魔法の習得と共により魔力は先鋭化するから、攻撃性も増して行くだろう。

 今後も定期的に此のコロシアムで発散させて、成人して完全に己の魔力を自由自在に行使出来る様に指導して行く。

 その頃には、予定通りならば月へ橋頭堡を構築出来ているだろうから、本人達の愛機である神機に出会えるだろう。

 精進しろよ! 『アポロニウス』に『褒姒』!」

 

 そう言うと、父様は天井を振り仰ぎ手を翳した。

 僕には、月を見られているのだと想像出来て、其れは隣で観ていた彼女も同様らしく、僕と視線を合わせると頷いてくれた。

 

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