あの後、特に問題無く帝都コリントに帰還し、僕達は其れ其れの自宅に戻った。
だが、3日前と異なり僕の内面はかなり変化してしまった。
かなり前から僕の両親達は、僕と彼女の魔力放出による神機の反応を伺う事と、2人の魔力の淀みを無くす為に一度限界まで放出する事を考えていたのだろう。
確かにあんな魔力の爆発的な放出は、他人が居る所でしてしまったら大変な大惨事だから、コロシアムの様な抑制出来る施設でないと危なかったんだろう。
ただ、僕の中にはあの魔法放出の感覚は残っているので、恐らくはあそこまで無茶苦茶に暴走させずに魔力をコントロール出来るだろう。
其の事を、久しぶりにAR空間で父様と賢聖『モーガン』様そして帝国魔法技官長『マリオン』様に伝えると、3人共大きく頷いて、
「やはり、やった甲斐が有ったな!」
「そうね、幾つもの収穫が有って、本当に良かったわ!」
「僕としても、新しい魔力の物質化現象を見れて、感動しましたよ!」
と三者三様に喜んでいる。
そんな中、僕は父様に向かい、
「処で父様、僕の頼みを聞いてくれませんか?」
「構わないぞ、アポロ。
まあ、大体は頼み事の内容は予想してるがな」
「恐らくは、その予想通りだと思いますが、今後僕の相手として父様が指定するドラゴンと、タイミングを測って対戦させて下さい!
他の者では、魔力の基礎保有量が違い過ぎるので、僕との比較が難しいと思いますので」
「予想通りだな、そしてその相手としてはお前の騎竜であるミネルヴァを、基本の相手として対戦では無く訓練し合うんだ。
互いに高め合って、より上の段階に進むんだ!」
「・・・判りました、『モーガン』様と『マリオン』様にも適切なご指導をお願いします!」
「了解よ、その替わりに様々な実験に協力してね」
「僕の新しい魔道具や新機体の実験と搭乗にも、協力してくれると助かるな!」
とどう聞いても、本人達の趣味や実益と思われる内容が盛り込まれているので、苦笑しながら頷いた。
父様が、作り上げたAR空間が閉じて、僕自身の『武道大会』は全て終了した。
此れからすべき事と目標も判ってきたので、僕の今後の行動指針は決まった。
さて、計画を立てて頑張って行こうか・・・。
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そして5年の月日が流れた・・・・・・
僕も小等部最終学年になっていた。
今日から夏休みなので、僕達のグループは1年前からの旅行計画通りに世界一周に向かう!
「準備は出来たか?」
「大丈夫だよ、兄ちゃん!」
「兄様、『アーガマ』に一週間前から手荷物以外は積んでるから、問題無いわよ!」
「兄上! 『アーガマ』には、僕用のプチPS(パワードスーツ)も積んでるんでしょう?」
「嗚呼、全員分のプチPS(パワードスーツ)は用意されてるから、いざとなれば魔物の大群に襲われても問題無い!」
「腕が鳴るな! 必ずこのセラス様が大物の魔獣を仕留めて見せる、シェリとルーも一緒に魔獣狩りしようぜ!」
「まあ、セラったら乱暴者ね! 色々な国に立ち寄るからショッピングして回りましょう!」
「そんな事より、各国の美味しい料理やお菓子を食べて回ろうよ! 中々帝都から僕達皇族は出られなかったんだから、この機会は逃せないよ!」
其れ其れの希望を述べまくりながら、アスガルド城の玄関口で待機していると、エラ皇女付き親衛隊長がやって来て、
「皇子方に皇女方、其れでは私の先導の元で『軍事ドーム』に有る軍用空港に向かいます。
既に、アラン皇帝陛下とクレリア皇妃陛下は来賓の方々と共に向かわれてますので、そろそろ出発しましょう!」
「了解しましたエラ親衛隊長! お前達行くぞ!」
「「「ハイッ!」」」
弟妹達の良い返事に満足して、僕達は玄関口に横付けされているリムジンに乗り込み、アスガルド城の職員が見送る中、『軍事ドーム』に有る軍用空港に出発した。
途中、ケント達のリムジンバスと合流し『一般ドーム』のみんなを分乗させて行き、『軍事ドーム』の軍用空港の客室ラウンジで式典が行われた。
まあ、式典と言っても内輪のもので、今回の旅に出向く生徒達の親御さんや関係者が、出席しているだけで特別TV放送が行われる訳では無い。
しかし、初の空戦対応揚陸艦『アーガマ』の初就航なので、軍人の出席者は多く特にケントの関係者は多い。
妹達と親友の女性陣達は、一月前に生まれた帝国魔法技官長『マリオン』様とその奥様である『カレン』女官長の一粒種『ジュリア』ちゃんにメロメロで、式典そっちのけで迷惑を省みずに遊んでいる。
まあ、非常に可愛い赤ちゃんなので気持ちは良く判るが、式典の後ろの席で騒いでいるから目立ってる。
だが、アドリブを入れながら父様とクレリア母様が式典を終わらせたので、顰蹙を買わずに済んだ。
だけど、きっと後で母様ズに大目玉を食らうから、妹達は覚悟してろよ。
早速、軍用空港に堂々と接舷している『アーガマ』に、僕等合計30名は乗り込んで行く。
空戦対応揚陸艦『アーガマ』は、数ある帝国の空中艦船達と違い、最初から空を飛べる様に作られていて、他が元は陸上艦船だったのと設計思想が異なるのだ。
この設計思想は、有名な『ドレイク』帝国艦船統括局長の愛弟子『トカレフ』帝国艦船技官が設計した、初の艦船と云う事実も関係あるのだろう。
そんな事を考えながら、僕は割り当てられた自室に手荷物を運び込んだ。