皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第25話 (ケントの背景)

 [マリア視点]

 

 

 昨日、あたしとサクラちゃんを捕まえようとしたならず者達は、案の定反ナノム主義者の犯罪者どもで、女子供を拐かして高値で売り飛ばす様な連中だったの。

 元々、帝国情報局のルーシア支部では、ある程度の情報を得ていたのだけど、公式な捜査権を持たないので手を付けかねていたんだって。

 

 でも、あたしとサクラちゃんを拉致しようとした行動を、ルーシア王国の上層部が認識してルーシア王国警察が重い腰を上げたので、昨夜にアジトを襲撃する事になってかなりの誘拐犯と囚われていた女子供が解放されて、本日の朝から合同捜査本部が立ち上がり、本格的な実態調査が始まるんだって。

 

 「・・・やはり、ルーシア王国にも蔓延っていたのか・・・。」

 

 朝食後のミーティングをアーガマのラウンジで、紅茶を飲みながらアポロは呟く様に溜息と共に独白してる。

 帝国では、ほぼ100%の普及率で国民が『ナノム』の恩恵を受けているので有り得ないが、周辺各国では未だにナノムの普及率が50%程度の国家があり、近代化しきれていない辺境が存在するわ。

 理由は簡単で、ナノムを受け入れると事実上帝国の管理下に入ってしまい、全ての行動が筒抜けになってしまうので、悪事で懐を満たしていた犯罪者や賄賂をとって生きていた連中からしてみれば、『ナノム玉』は悪魔の玉にしか見えないからね。

 

 その後、ルーシア王国王宮から正式にアポロを始めあたし達全員が招かれ、『アナスタシア女王』から感謝の御礼と迷惑を掛けた謝意を述べられたけど、正直あたしやサクラちゃんにしてみれば良い旅のちょっとした気分転換でしか無いから、アナスタシア女王から詑びられるの面映ゆいわね。

 

 宮廷料理の美味しい料理を晩餐会で堪能したんだけど、初めて食べさせられたクーガー君はテーブルマナーが判らなくて四苦八苦してたわ。

 

 だから、大食漢なのにあまり食べれなかったらしくて、アーガマに帰ってから夜食のボルシチを大量に掻き込んでるから、余程テーブルマナーは肌に合わないみたいね。

 

 翌日になり、アナスタシア女王達から見送られて、ルーシア王国の南方にあるカザフ侯国に向けて出発したの。

 カザフ侯国は、かなり大きな国土と膨大な地下資源のお陰で、スラブ連邦にある程度対抗出来てたから、それ程国土は荒らされて無くて、カザフ侯国首都『アスタナ』は帝国の友好国になってもあまり変化は無いみたい。

 

 「・・・乾いた土地ね・・・。」

 

 隣で空からカザフ侯国の国土を、展望室から見渡して感想を呟いている。

 遠くに砂埃が立っていて、良く見ると野生馬の群れが数百頭走っている様子だ。

 

 「あれ? 何か可怪しくない、馬たち何かに追われてるみたい!」

 

 サクラちゃんが、身を乗り出して野生馬の群れの後方を確認していると。

 

 「ビーッ! ビーッ!」

 

 とアーガマの船内にアラーム(警戒音)が鳴り響いたわ。

 

 「アーガマより、緊急警報! 現在地から右舷斜め30度前方に、野生馬を追跡する怪物の群れを確認しました。

 怪物の正体は、姿格好から『饕餮(とうてつ)』と確認しました。

 このままの進路を『饕餮(とうてつ)』が進むと、人家を襲う可能性が高いと思われる。

 アポロ皇子の命令により、『饕餮(とうてつ)』を殲滅します、戦闘体制に移行!」

 

 その放送を聞いてあたしは、サクラちゃんと一緒に格納庫に降りて行き、アーガマに乗っている戦闘部隊の出撃を見送ったの。

 

 アーガマの戦闘部隊PS(パワードスーツ)20機と戦闘車両30台の内、半数が高度10メートルから次々と出撃し、着陸した瞬間に戦闘態勢のまま疾走し始めて、野生馬の群れを大きく迂回して『饕餮(とうてつ)』の群れに横槍を突いたわ。

 

 『饕餮(とうてつ)』の群れはとても驚いたみたいで、最初こそ躊躇したみたいだけど直ぐに獲物が逃げてしまった腹いせなのか牙を向いて、戦闘部隊に襲いかかったの。

 

 だけど、数百匹くらいの魔物に毛が生えた程度の怪物が、帝国の精鋭戦闘部隊に傷を付ける事だって難しいわ。

 案の定、アッサリと殲滅して捕縛した1匹以外の『饕餮(とうてつ)』は、魔石も取れないので魔法で焼き尽くして土魔法で焼け残った残り滓も埋めてしまった4の。

 

 それにしても、滅んだと思っていた『饕餮(とうてつ)』の生き残りが数百匹居たと云うことは、まだまだこの辺りにいっぱい生息してるんじゃないかしら?

 

 そんな不安を抱えたまま、カザフ侯国首都『アスタナ』に向かってアーガマは順調に進んで行ったわ。

 

 『饕餮(とうてつ)』を退治した翌日、カザフ侯国首都『アスタナ』に着いて指示された空港に辿り着いたら、空港にカザフ侯王『ダラム5世』以下のおえらいさんが、沢山出迎えてくれたわ。

 

 着陸したアーガマのタラップから、アポロを先頭にあたし達が降りていくと、カザフ侯王が進み出て、

 

 「ようこそ、『触れ得ざる者』アラン皇帝陛下の息子にして帝国の皇太子殿下!

 我々、カザフ侯国民は、『触れ得ざる者』アラン皇帝陛下のお陰で、今日を生きている事実を忘れた事は1日たりと忘れた事は御座いません!」

 

 と最敬礼して来たので、アポロが慌ててカザフ侯王を立ち上がらせて、

 

 「どうぞ、その様に堅苦しい対応をせずにいてください。

 我々は、共に此のセリース大陸で暮らす同じ仲間です。

 其れよりも、例の『饕餮(とうてつ)』の事でお話しが・・・。」

 

 「有難うございます、アポロ皇太子殿下!

 そうですな、帝国のお陰で辺境の人々が危機にあった事を知り、驚愕しておりました。

 早速、侯王宮においで下さい!」

 

 そう言われたので、あたし達は用意された車両で侯王宮に向かったの。

 




 人物紹介②

 ケント

 本名『ケント・マグワイア』

 父:『空軍司令長官 ケニー・マグワイア』伯爵

 母:『空軍副司令長官 ミーシャ・マグワイア』伯爵夫人

 生年: コリント朝元年 11月11日

 現在は帝国第一小等部の6年生にして生徒会副会長

 アポロの親友達の内でも、随一の仲良しで密かにアポロの第一の忠臣と自認している。
 
 相棒は、星猫のベータ。

 剣聖・拳聖・賢聖がアポロと一緒に個人的な師匠である。

 親の影響で、空を飛ぶ全ての物に興味が有り、中等部からはドローン研究会に所属するつもり。

 将来は、神機『応龍』のメインパイロットとなる為、大切に保管していた崑崙皇国では注目の人物でもある。

 かなり高いレベルで、剣術と格闘技を修めているが、本人はあくまでも空軍に将来は入る予定なので、剣聖・拳聖は非常に残念に思っている。
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