連続ドラマで観た事が有ったのだが、『牛種』と云う魔物は『蚩尤』の手先として、崑崙皇国を荒らし回り住民を虐殺するなどした、非常に凶悪且つ残忍な性格を持つ魔物だ。
ただ、超高性能ドローンの調査でそれ程の数が居ないのが判っているので、長安に駐留している軍だけで成敗出来そうだ。
だが、『饕餮(とうてつ)』の生き残りが行動して来た件と、『牛種』の生き残りが居た件は、何かの意味があるのでは?と考えてしまう。
そんな疑問を晩餐会を催してくれた『則天武后』様に直截的に聞いてみると、やはり則天武后様もその懸念を抱いているらしく、息子の『李世民』皇帝陛下に報告して軍隊の派遣を了承したんだそうだ。
僕達は、翌日長安の名所巡りをして、11年前の長安籠城戦の名残や、アーティファクトである『宝貝』の展示されている資料館を見学した。
崑崙皇国でも、連続ドラマや映画等で11年前の大戦を幾つもの種類で製作されていて、色々な史跡や資料館では過去の動画を流したりしていたから、帝国と現在の崑崙皇国皇帝一家は、民衆にとってとても好意的に思われている様だった。
次の日『則天武后』様の勧めに従って、予定では崑崙皇国第二の大都市『洛陽』には向かわずに、一気に現在の首都である『南京』に直接向かう事が決まり、長安での土産物を買ってから一路『南京』に出発した。
どうも、現在の崑崙皇国にとって商都に特化した『洛陽』には、物流拠点としての機能しか与えて居なくて、僕達が来訪しても対応が出来ない上に、重要な歴史展示物も今現在全て封印しているので見せられ無いらしい。
まあ、僕としても単に『洛陽』は『南京』に向かう途中の都市と云う以外の意味が無いので、寄る必然性が無い。
という訳で、別の名所である『泰山』や『少林寺』を巡りながら『南京』を目指す。
雄大な『黄河』を上空から見下ろしながら、『泰山』や『少林寺』を遠目に見つけて、アーガマの艦橋から望遠に確認すると云う、現地の人に迷惑を掛けない見学をして行く。
「つまらないわね! 折角あの有名な武術の聖地『少林寺』に降りれないなんて!」
「・・・サクラちゃん・・・、仕方無いわよ。 あたし達が無理に立ち寄ると、『泰山』や『少林寺』にとっては迷惑な上に、修行僧ばかりなので免許皆伝された人は殆どいないそうよ」
「その通りだよ。 現在は『少林寺』も首都の『南京』に本部を移していて、本山には幼い修行僧ばかりなんだって。
其れに、サクラちゃんは僕と『褒姒』が武道大会でやった余興(非公式にエキシビジョンマッチと言われてる)を、『南京』に行って正式な試合としてやろうと約束してるんでしょ、きっと褒姒の事だから色々な対戦相手を用意してくれてるから、楽しみにしていたら良いじゃない」
「そんな事よりアポロ! 僕とケントを連れて里帰りさせているケントの神機『応龍』を祀っている寺院に、なるべく早く一緒に行ける様に取り計らってくれよ!
僕の神機『ガルガンチュア』に出会う前に、色々と調査したいんだよ!」
「おい、ロン! 俺の神機『応龍』はお前の実験材料じゃ無いからな!
確かに、お前の神機『ガルガンチュア』は少し特殊で、アメリア大陸から動かせなかったけど、今回の旅でお前自身がガルガンチュアに認めて貰えば、帝都コリントに持って帰れるかも知れないんだから、持って帰れたらお前の神機を実験材料に使えよ!」
「だから、無事僕の神機『ガルガンチュア』を持って帰る為に、ケントと神機『応龍』の感応を調べたいのさ。
僕達が成人するまで、自由に動かせない様にプロテクト(封印)しているなんて、神様(調整者)達もとんだお節介だよね!」
「まあ、仕方無いじゃないかロン。 神機ってやつは僕達が想像するよりも凄まじい代物で、まだ子供の僕達では精神が崩壊しかねない程の威力の攻撃力が有るらしいから、先ずは僕達が個別に所有しているプチ・パワードスーツを練習機として習熟するようにって、僕達の師匠である賢聖『モーガン』様も仰ってたじゃないか!」
「それだよ、アポロ! 何で貰ったプチ・パワードスーツには、武器を取り付けられるアタッチメントが装着されて無いんだよ!
それさえあれば、僕もフラストレーションを溜めずに済んだのにー!」
「まあ、諦めろよロン! 俺に言わせればプチ・パワードスーツは兵器じゃないから、あれを使って縦横無尽に動き回らせられる様にと云う、賢聖『モーガン』様の夏休みの宿題だと俺は思うぞ。
大体、クーガー君のサイズに合わせて貸し出しているお前は、その宿題をこなせれるのかよ?」
「フフンッ! ご心配なく。 当然僕は自分自身でしっかり乗りこなせる訓練を、クーガー君の訓練の後でやっているよ!」
そんな感じで、親友達とやいのやいの騒いでいたら、崑崙皇国で『黄河』と並ぶ二大大河『長江』が見えて来た。
此の『長江』でも11年前に水戦が行われて、剣王『カイエン』様と拳王『ダルマ』様が、妖怪達と死闘をしたのだったなと、連続ドラマを思い出しながら独白した。