みんなで頂く昼食は、和気藹々と些かお行儀が悪いけど喋りながら食べていたが、旺盛な食欲であっという間に食べ終えて、その後直ぐに歯を磨いてから皇子宮の談話室に向かった。
「それじゃあ、改めて見せてくれるかい?」
と僕がサクラちゃんとケントに促すと、二人共得意満面でネックレスから己の神機のホログラフィー(疑似立体映像)を見せてくれた。
二人に命じられてホログラフィー(疑似立体映像)として顕現した『応龍』と『天照』は、今朝と同じく青と桃色に輝いている。
「此の2体が、ケントとサクラちゃんの神機で『応龍』と『天照』と言う。
そして朝にも話題にしたけど、マリアちゃんとロン君の神機が凡そ1週間前と2日前に発見されて、その神機の名称も確認出来たんだよ。
アラン父様によると、マリアちゃんの黄色に光り輝いている神機の名は『ブラフマー』と言い、今は休んでいるロン君の紫色に光り輝いている神機の名は『ガルガンチュア』と言うんだそうだよ!」
とマリアちゃんに報告すると、マリアちゃんは自分のネックレスを嬉しそうに撫でている。
「ロン君は、そもそも現地に家族で行っているから、既に知っていると思うよ!」
と現在『北アメリア大陸』に居るであろう、ロン君に思いを馳せた。
ロン君は親友5人の中では一風変わっていて、両親の影響なのか情報収集に最幼い頃から、異様な興味を示していて、今回の両親の旅にも半分我儘で付いて行ったのである。
お陰で彼の相棒の星猫イプシロンは、ケントの家に置き去りでケントの相棒の星猫ベータと兄弟一緒に居る。
ふと、ケントが僕の方を見て僕が首に掛けているネックレスを指さして、
「・・・そう言えばアポロの神機は、どうなんだよ?
賢聖様やアラン皇帝陛下から、アポロの神機の名前は教えて貰ってるんだろう?」
と尋ねて来たので、答えて上げた。
「確かに教えて貰っているけど、君達の神機と違う扱いなんだよ!
僕の神機の名前は『メタトロン』!
封印されている場所も判っていてね、あそこだよ!」
と僕は天井を指差した。
ケント始め、僕の話しを聞いていたクラスメイトが、思わず天井を見上げると不思議そうに僕を見返す。
意味が判らなかったらしいケントが、
「エッ、もしかして空の彼方って事は、『女神ルミナス』様達の居られる天国に有るって事か?」
と尋ねるので、
「いや、其処まで凄い所では無いけど、当たらずといえ遠からずと云う所かな。
みんなも良く夜空に見る事の有るお月様だよ。
お月様に僕の神機『メタトロン』は封印されているらしいよ!」
と談話室に集まっている全員に教えて上げた。
ケント始め、僕の話しを聞いていたクラスメイト達は「へーっ!」と驚いていたけど、彼らにとってお月様と言われてもピンと来ないどころか、天国と大差無い様にしか感じない様だった。
お昼休みも終わり、本日のレクリエーションであるマナー講習が始まってしまった。
専門講師の『ザード』子爵は、相変わらずビシッとした出で立ちで、教室に入るなりクラスメイト全員に対して恭しく頭を下げると、早速教壇に有るモニター起動スイッチを入れて、巨大モニターを起動させると過去の儀典セレモニーの様子を映した。
「・・・此の様に由緒有るベルタ王国の儀典を基本として、『人類銀河帝国』の儀典は整理され大陸の盟主として恥ずかしく無いマナーを、同盟国や友好国の規範となるべく示されなければなりません!
その中でも、如何に幼かろうと貴方方高位の皇族・王族・貴族・華族の方々は、他国に恥ずかしく無い様に・・・」
と相変わらず非常に堅苦しい説明と、クドい迄のマナーの重要性を説く姿は、クラスメイト全員をウンザリさせるには十分過ぎる程の威力だ。
1時間半の苦行とも思える時間を終えて、専門講師の『ザード』子爵が教室から去ると、クラスメイト全員は溜息をついて、其れ其れ次の講義部門に移動する。
僕は、親友達4人と共に拳聖様との修行を受ける為に、アスガルド城内に有る『武道館』に向かう。
此処は、親衛隊を始めアスガルド城で働く者達が、勤務時間の空いた時間を利用して訓練に勤しむ場所で有る。
「おおっ、来たな幼子共! 今日も揉んでやるぞ!」
と豪快な投げ技で10人組み手を熟している拳聖『ダンテ』様が、此方を見ながら声を掛けて来る。
僕達は何時もの通り神拳流の道着に着替えると、基本の柔軟運動をして練習に移る為の予備練習に入った。
此れをして置かないと、いざ無理な技を繰り出して身体に負担を掛けると、骨折の様な怪我をしてしまったりするからだ。
一通りの予備練習を終えて、正拳突きと歩法の組み合わせ、そして蹴りの反復練習を10セット行った。
程良い汗が吹き出し、身体も充分温まったタイミングで、拳聖『ダンテ』様がやって来た。
「どうれ相手をしてやろう! 先ずはサクラとマリアで、次はアポロとケントだ!」
と2人ずつの組み手を言い渡された。
つい2周間前まで、4人一斉に組み手させられていた事を考えると、結構な進歩だよなとは思うが、実際の所全然遊ばれているので、単に勝手にぶつかり合って怪我されるのが面倒になったと云うのが真相だろう。
「エヤー!」
「ハーッ!」
と結構な気合いを込めて、サクラちゃんとマリアちゃんは、拳聖様の左右から上段蹴りと正拳突きで襲いかかったが、クルンと両腕を円の形に回転させて拳聖様が受けると、簡単に二人は空中に浮かされた。
昨日までは此処で終わりだが、今日の2人は違った!
「「トウッ!」」
と、空中で身を撚ると2人同時の踵落としを拳聖様の頭上に落としてきた!
「オウッ」
拳聖様は嬉しそうに呟くと、其れ其れの踵落としを左右の手で掴み、そのまま1回展させて地面に降ろして上げた。
「中々良い攻撃だな、何処で覚えたんだ。 まだ踵落としを教えて無かった筈だが?」
と拳聖様が尋ねると、サクラちゃんが、
「父ちゃんに、拳聖様を唸らせる方法を教えてって、ねだったら私とマリアちゃんに教えてくれたの!」
とあっけらかんと種明かしして来たので、拳聖様はやや顔を強張らせて「・・・あの野郎・・・」と小さい声で呟かれている。
さあ、僕とケントで拳聖様に挑むぞ、女子達より頑張らなくちゃ!