皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第41話

 改めて、僕が剣王『カイエン』様と拳王『ダルマ』様と稽古試合を行う事となった。

 

 見取り稽古を、褒姒達と門下生に見せて学ばせる事にしたのだ。

 

 先ずは剣王『カイエン』様と僕との剣術に於ける稽古試合となったので、僕と剣王『カイエン』様二人共木刀での対戦となった。

 このレベルの技量だと、袋竹刀で稽古する必要がないので有り難い、久しぶりに思う存分実力を発揮するつもりだ。

 

 審判役となった拳王『ダルマ』様が、合図を出した。

 

 「始め!」

 

 僕と剣王『カイエン』様は、神剣流の様々な型を互いに繰り出し、流れる様な技を熟す。

 一連の動きを終え、一礼をしてから観戦している皆に話し掛けた。

 

 「皆、これからは型では無く、実戦形式の試合を行う。

 特にクーガー今から僕は、剣聖・剣王で最高の速度の剣技を誇る『カイエン』様とのスピード勝負となる。

 視力を魔法で強化し、しっかりと見届けろ!

 他の方々も、何とか目で追って頂きたい!」

 

 と宣言して、剣王『カイエン』様に向き直り、

 

 「父様との過去の試合は動画で拝見させて戴きました。

 どうぞ、あの速度以上で稽古をつけて下さい! 僕は最大16分身出来ますので、其処まで速度を上げて結構ですのでお願いします!」

 

 と僕が申告すると、剣王『カイエン』様は喜悦の顔をして、嬉しそうに言葉を紡いだ。

 

 「嗚呼、本当に嬉しいですぞ! 貴方のお父上であられるアラン皇帝陛下に、神剣流奥義『影法師』の限界8分身でアッサリと対応されてやり込められ、その後で『ナノム玉2』の服用による『循環魔法』の強化と身体の強化、其の上での研鑽により私が辿り着いた16分身!

 其の境地に今年12歳の貴方が辿り着いている事実!

 素晴らしい! 本当に素晴らしすぎます! ならば稽古と言わずに試合として受けましょう!」

 

 そう答えた剣王『カイエン』様は、明らかに稽古の域を越えた『循環魔法3』を発動させた。

 

 やや想定外な成り行きだが、下手に中途半端なレベルで応じると大怪我をしそうなので、剣王『カイエン』様と同レベルに『循環魔法3』を発動させ、各関節に掛かる負荷を最大限緩和出来る様にした。

 

 その練り上げた魔力に、周囲の門下生達が圧倒される中、僕と剣王『カイエン』様は一気にトップスピードで交差した!

 

 「ガガガガガガガガガッ!」

 

 二人の木刀が、魔力でコーティングされる事で耐久力を増大させて、折れず、砕かれずに剣戟を繰り返す。

 そして、徐々に残像が試合場に残る状態となり、更にはその残像が交差し合う!

 

 その数はドンドンと増えて行き、やがて試合場を埋め尽くす様な、16対16の争いとなった!

 そしてその伯仲した剣戟に技を重ねる事を双方共に決断し、此処で双方が奥義を繰り出した!

 

 「コリント流究極奥義『メテオ・ストリーム』!」

 

 「コリント流奥義『エターナル・ストリーム』!」

 

 奇しくも双方が繰り出した奥義は、同じコリント流!

 何故なら、神剣流奥義『影法師』は影分身を作った事で完成しており、それ以上の技を乗せる事は、ほぼ不可能である。

 然も、神剣流は基本、気を溜めて一撃を放つ技が多く、スピードが乗っている現在、奥義は絶対に重ねられない。

 しかし、コリント流は基本的にコンボを重視するので、連続技の繋ぎを主眼にしている処が有る。

 なので、双方がコリント流奥義を重ねたのは、至極当然だったのだが、やはり此処で僕は生きてきた年数の差を実感した。

 

 剣王『カイエン』様が放った奥義は、コリント流究極奥義『メテオ・ストリーム』!

 

 対して僕が放った奥義は、コリント流奥義『エターナル・ストリーム』!

 

 この奥義だって、父様では無くセリーナ母様からの徹底的なシゴキで、つい先日習得したばかりの僕の最高の奥義だが、やはりコリント流の究極奥義であり、最強の『メテオ・ストリーム』とは格が違った。

 

 5手目までは打ち合えたが、繋ぎの技の完成度に於いて明らかに差があり、途端に防御せざるを得なくなり、最後は完全に打ちのめされてしまった。

 

 試合上に片膝を着いて、「参りました」と敗北を認めた僕を、審判役の『ダルマ』様が抱え起こすと、直ちに『ヒール』を行い癒やしてくれた。

 

 「「「おおおおーーー!!」」」

 

 と歓声が起こり、僕も一旦『カーラ印の治癒促進ドリンク』を飲むべく、試合場から降りて椅子に座り汗を拭ってドリンクを飲みながら、クーガーに僕と剣王『カイエン』様の試合で何を掴んだか聞いてみた。

 

 「オイラが把握できたのは、アポロ様と剣王様が緩急を付けて超加速の移動を繰り返し、残像の残る動きを重ねる事で相手を幻惑しあい、然もワザと作り出した残像の影に重なって見せて、残像が動いている様に見せる事で、虚と実を巧みに操る技とした事と、移動に掛かる負荷が最も掛かる関節部分が魔力でコーティングが何重にもされている事が見えました!」

 

 「うん、その通りだよ! 僕はその通りだけど、剣王『カイエン』様はかなり効率的に分身されていて、恐らくは僕の消費した魔力の3分の一くらいしか、使用していないだろうね。

 そうですよね剣王『カイエン』様!」

 

 その僕の問い掛けに、剣王『カイエン』様は苦笑しながら、

 

 「その通りだけど、本当にアポロ皇子は冷静だな。 しっかりと対戦している相手の魔力消費量も把握しながら闘っているとは・・・。」

 

 やや呆れながら苦笑している。

 さて、次は拳王『ダルマ』様との格闘戦を楽しむか。

 

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