皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

5 / 188
序章 第四話

 僕とケントは女子達と違い、敢えて攻撃に行かずに拳聖様が動いてくれるのを待つ。

 

 その様子に拳聖様は面白そうに、僕に向かい正面から近づいて来る。

 

 「ドンッ!」

 

 といきなり拳聖様が、足を振り下ろして道場の堅い専用畳を踏み鳴らして来たが、僕は構えを取ったまま動かない。

 

 「フム」

 

 拳聖様はその様子にニヤリと笑うと、両腕を広げて僕を捕まえようとして来た。

 

 「ハッ!」

 

 と気合いを発して、その拳聖様の両手を左右の正拳突きで留めると、拳聖様の顎目掛けて昇竜脚を仕掛けた!

 しかし、当然ながら拳聖様は簡単に顎を反らせてそのままバック転すると、後ろから拳聖様に襲いかかろうとしていたケントを上から抱え込み、肩車してケントを1回展させ、眼が回ったケントを道場の堅い専用畳に座らせる。

 

 残ってしまった僕は、ケントとの目論見が外れてしまったので、正面から堂々と攻撃する事に決めた!

 

 「デヤアアーー!」

 

 ありったけの気合いを込めて、僕は横回転しながら中段と上段の回転蹴りを放ち、最後に胴回し回転蹴りを拳聖様の腰の辺りに放った!

 

 拳聖様は何やら本当に嬉しそうに僕の蹴りを捌いて、最後の胴回し回転蹴りは両腕で抱え込むと、空中に投げられた!

 

 しかし、何時もの様にやられっぱなしになる訳には行かない!

 

 先程見たばかりの女子達の踵落としを、アレンジして空中で体勢を整えてから、拳聖様の頭頂部目掛け叩きつけた!

 

 「ポン」

 

 と軽い音で右足の踵落としは、簡単に手で受けられたが、其れは囮だ!

 

 「ドンッ!」

 

 決まった!

 本命の左足の踵落としは、見事に拳聖様の右肩に叩き込めた!

 

 だが、やはりまだまだ僕の蹴りでは軽すぎた。

 アッサリと左足も手で掴まれると、グルンと両足を支点に回転させられて、簡単に三半規管を揺らされると、直ぐに目を回されてしまい、道場の堅い専用畳に寝かされてしまった。

 

 5秒後に僕はフラフラしながらも座り直してから、4人全員で正座して拳聖様に、

 

 「「「「ありがとうございました!」」」」

 

 と礼をした。

 拳聖様も正座して僕達に向けて頭を下げると、恒例の講評をしてくれた。

 

 「うむっ、大分ただ攻撃するのでは無く、考えた攻撃の組み立てが出来る様になったな。

 物事全てに渡って、ただ流されるままに繰り返すのでは無く、思考して行く事を旨とせよ!

 正直、幼子の相手など弟子の拳王の奴に任せようかと、アラン様に依頼された時は考えたが、今はお前達の成長が楽しくてしょうがない!

 今後も精進して俺を喜ばせてくれ!」

 

 と講評すると、僕達の組み手を見学していたアスガルド城に勤務しているお弟子さんの所に向かわれた。

 

 「惜しかったよなあ、アポロ、せっかく肩に蹴りを当てれたのに、そのまま捕まっちゃうとはなあ!」

 

 とケントは残念がったが、僕はそうは思わない。

 どう考えてもその後の技を持たない僕にはあれで精一杯で、あれ以上はどうしようも無いのだから。

 そんな風に思っていると、サクラちゃんとマリアちゃんが頬を膨らまして、僕に詰め寄って来た。

 

 「アポロあんた、私とマリアちゃんが昨日あんなにガンバっておぼえたカカト落としをマネしたわね!

 許さないんだから!」

 

 「あたしたちが、おたがいに同時に出せるように、タイミングをガンバってあわせてたのに、一人で二人ぶんの両足でカカト落としするなんてズルいーーーー!」

 

 僕に非難轟々のクレームである。

 

 些か辟易した僕は、此れから行く場所に丁度ご機嫌を取れる物があるのを思い出した。

 

 「判ったよ、其れじゃあ今から空軍ドームに行く事が決まっているから、その時に良い物をプレゼントするよ!」

 

 と提案すると、

 

 「「ホントに良い物なの?」」

 

 と非常に失礼な事を言って来た。

 

 「本当だよ、疑われるなんて心外だな!」

 

 と憤慨して答えると、やや疑わしそうな顔を二人ともしながら、僕に言って来た。

 

 「そんな事言ったって、アポロとケントは良い物だと言って、私とマリアちゃんに以前プレゼントしたのは、カブトムシの幼虫だったじゃない!

 ビックリしたから取り落としたら、相棒のガンマとデルタが調子に乗って私とマリアちゃんの頭に乗せたから、あの後髪の毛を洗うの大変だったんだから!」

 

 「そうよ! 他にも誕生日プレゼントにヘビの皮なんてプレゼントしたりしたじゃない!」

 

 なんて非難してきた。

 

 「何で価値が判らないんだよ!」

 あれは黄金カブトムシの幼虫で、『魔の大樹海』でも希少な昆虫の王者なんだぞ!」

 

 「そうだそうだ、ただのヘビの皮なわけないだろう。

 あれこそ、ビッグブルーサーペントの皮で、ハクセイにするほど貴重なモノなんだからな!」

 

 と僕とケントは、その希少性と価値を力説したが、全然意に介さず。

 

 「「そんな事知らないもーん!」」

 

 と同時に言い放ってくる。

 

 そんな事を言い合いながら着替えて、教室に戻り終業の挨拶を全員でしてから、僕達親友4人はアスガルド城の専用車両に乗って今日のお付きの親衛隊2人も乗り込み、おやつを一緒に食べながら空軍ドームに向かう。

 空軍ドームの受付で、来訪した理由と目的を説明すると、空軍の軍人さんがやって来た。

 僕も何回か会っている、キリコ中佐と云う陸上空母『ドライ』の艦長さんだ。

 

 「おおっ、アポロニウス殿下にケント君そしてお嬢さん方、ようこそいらっしゃいました!」

 

 と迎えてくれて、乗ってきたジープ2台に分乗して全員でドラゴン専用の区画に向かう。

 

 ドラゴン専用の区画に着くと、丁度訓練を終えたドラゴン達が休んでいる休憩所に入る。

 此処は、ドラゴン達の食堂も兼ねているから物凄く大きくて、超巨大なモニターや様々な物がドラゴン用のサイズなので、巨人の国の紛れ込んだ気分に来る度になってしまう。

 

 近くに居たドラゴンに、目的のドラゴンである『ミネルヴァ』を呼んで貰う事にすると、ドラゴン同士のテレパシーで呼んでくれる。

 

 その間、僕達は周りに居るドラゴン達に、最近の訓練内容や何処の配属地に行く予定なのか?等の話しに花を咲かせた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。