皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

53 / 188
第一章 第45話

 『八幡太郎(はちまんたろう)義家』殿の次に紹介されたのは、小柄で僕と背格好が変わらない3歳くらい年上の15歳くらいの若者だ。

 

 「此の中央に居るのが、私の孫に当たる者で『源 義経』と申す者で、通称は牛若丸(うしわかまる)と言われて居ります。

 見ての通り、若干小柄なのですが、それ故にこそ素早い行動が得意で、特注のパワードスーツも小回りの利く格闘専門の機体を操ります。

 常々、アポロ皇子の格闘動画を観ていて、何時かお会いしたいと私に申して居りましたが、今回その願いが期せずして果たされました!」

 

 そう、『源頼光』様は嬉しそうに、僕に牛若丸(うしわかまる)殿を紹介してくれた。

 

 僕も彼、パワードスーツを降りた牛若丸(うしわかまる)殿の身の熟しを拝見し、かなり出来る若者だと感じていたので会話してみたいと思っていた。

 

 牛若丸(うしわかまる)殿は、目を輝かせて僕を見てきて、『源頼光』様の許可を取り、僕に近付くと握手を求めて来たので、片手を差し出すと両手で握手して来た。

 

 「うわあ、本物のアポロ皇子なんだー! ああ、感動し過ぎて何を言って良いのか判らないよー!

 すいませんアポロ皇子! 俺は『源 義経』と申しますが、人は『牛若丸(うしわかまる)』と僕の幼名で呼んでいます。

 俺は、幼少より身軽なのが自慢で、鞍馬寺と云う武術を専門に扱う修行寺に預けられ、徹底的に鍛え上げて貰う事で、相当な高みに至れたと慢心していましたが、ある時、お祖父様から二つの動画を見せられたのです!

 その一本目の動画には、アポロ皇子のお父様である、アラン皇帝陛下の一般には出回っていない格闘シーンがこれでもかと云う程に詰まっていました!

 その動画には、神話で描かれる神々の闘いを彷彿させる。 正に神人の闘いが収められていました!

 呆然として俺が感動していると、お祖父様は二本目の動画を指し示し、アラン皇帝陛下の息子である貴方の『世界武道大会』の様子を編集した動画であると言われました。

 その過去3年間の演武シーンと、『褒姒』様とのエキシビジョンマッチの様子は、俺の慢心を叩きのめしてくれました!

 俺より年下なのに、俺より高みに至っている者が存在する!

 この事実は、俺がまだまだ高みに登れると教えてくれたのです!

 ああ、アポロ皇子! どうか俺へ一手指南してくれませんか?」

 

 と、若干、支離滅裂ながら、熱意だけは思いっ切り伝わる申し出に、僕は快く頷くと、

 

 「どうも有難うございます『源 義経』殿。 しかし、僕はあくまでも只の小等部の学生に過ぎないので、あまり持ち上げないで下さい。

  それに、僕の方こそ貴方の佇まいから、相当な実力者だと感じたので、是非にもこの『日の本諸島』の滞在期間中に試合を申し込みたいと思っていました。

 お互いに同じ思いなら、本日の午後にでも試合を致しましょう」

 

 と答えたので、『源 義経』は大変喜ばれて、午後の対戦を約束すると引き下がり、隣に居た『八幡太郎(はちまんたろう)義家』殿に「羨ましいだろう! 叔父御!」等と話し掛けている。

 

 最後に『源頼光』様が紹介されたのは、例の巨大な鬼の式神を操っていた陰陽師で、どうやら源家では無い様子だった。

 

 「此の者の名は『安倍 晴明(あべ の はるあきら )』、『日の本諸島』の誇る陰陽師の頭である、『賀茂忠行』殿の直弟子にして、将来を嘱望される天才です。

 鬼の式神の名は、『前鬼』と『後鬼』と言って数々の魔物を抑えてくれて、然も『安倍 晴明(あべ の はるあきら )』が居なくても活動してくれる、非常に優れた式神です」

 

 その『源頼光』様の説明を受けたが、僕の瞳は彼の瞳の奥に煌めく魔力の渦に釘付けになってしまった。

 

 まるで、深い闇の深淵を覗いている気分になったが、同時に煌めく知性の光を閃かせているのを確認し、僕は努めて平静に話し掛けた。

 

 「どうも、初めまして『安倍 晴明(あべ の はるあきら )』殿。

 僕はアポロニウスと申します、今回は帝国でも有名な『葛城山の大穴』を、殆ど損害無く維持し効率良く運営している実態を見せてもらおうと参りました。

 その秘密の一端を担っているのが、貴方だったんですね!」

 

 その僕の言葉に、じっと僕を見つめていた『安倍 晴明(あべ の はるあきら )』殿は、

 

 「初めましてアポロニウス皇子! 師である『賀茂忠行』様から帝国には、僕達の扱う『陰陽道』とは別の体系を持つ魔法技術が有り、その魔術を極めた魔術師の中には我々を凌駕する方々が居られると聞いて居ます。

 『賢聖モーガン』様と『賢王マリオン』様、そして帝国の皇帝にして最強の神人『アラン皇帝陛下』!

 そしてその3人が太鼓判を押していて、然も僕と同年齢である存在、帝国の次代を担う皇太子にして『世界武道大会』の小等部優勝者!

 アポロニウス皇子! 僕は貴方と出会う為に、来年度から帝国の中等部に入学する予定でしたが、図らずもその前に出会えました!

 僕はこの運命に感謝致します!」

 

 と両手を合わせた、独特の挨拶をされたので、僕も同様の動作で挨拶を返した。

 

 此れが、僕と後の円卓の騎士(ナイト・オブ・ラウンズ)の二人、『戦闘の芸術家・九郎判官義経』と『陰陽の天才・土御門晴明』の出会いであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。