皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 第52話

 「此れより、『人類銀河帝国皇帝アラン陛下』による、重要な発表が御座います!

 帝国民は、なるべく手を止めてご清聴いただけます様に!」

 

 と、帝国国営放送による正式な父様の特別番組が、放送された。

 夏休みも後3日と云う、学生としては若干休みが終わるので嫌な気分と、夏休み中に会えなかった友人達と会える様になる楽しみな気分とが攻め具合、何とも不可思議な気分を味わっているタイミングでもある。

 そんなあやふやな気分のまま、僕は3日後の新入生代表としての挨拶に、思いを馳せていた時に父様の特別番組が始まったのだ。

 

 「・・・といった形で、帝国と同盟国の国家プロジェクトである『軌道エレベーター』は成功し、現在は『宇宙ステーション』を基礎ブロックとした基地は完成致しました・・・」

 

 動画による説明を加えながら、教養番組の様に現在『スターヴェーク公国』の公都に建造されている、『軌道エレベーター』を俯瞰する形で父様は解説して行く。

 

 そして舞台は宇宙空間に移り、父様は惑星アレスを取り巻く形の円環状のリングを、仮想動画を見せながら説明する。

 

 「・・・此の様に、惑星アレスを取り巻く形の円環状の『オービタルリング(静止軌道円環)』には、太陽エネルギー収束プラントと超巨大粒子加速器が設けられる事になり、その莫大なエネルギーは半永久的な形で、惑星アレスの民の生活の基盤となります。

 しかし、此の『オービタルリング(静止軌道円環)』はそれだけの為に、建造されている訳では無いのです!」

 

 突然、父様の口調は変わり、明らかに重要な言葉を紡ぐ事がモニター画面を通しても伝わった。

 そして、父様はゆっくりと穏やかな口調で話し始めた。

 

 「・・・我等が帝国の正式名称は世界中の方々がご存知の通り、『人類銀河帝国』となっていますが、実は此の『人類銀河帝国』の成立年月日は、皆様が知っている15年前などでは無く、帝国暦二千二百七十三年と云う遥か昔から成立している、銀河規模の星間国家なのです。

 そして私は、『人類銀河帝国』の構成星系に当たる『トレーダー星系第4惑星ランセル首都タスニア』に生を受けて、長じて宙兵隊員だった父に憧れ第1032航宙軍学校宙兵科に入学・卒業し『人類銀河帝国』の軍人となり、宙兵隊に所属して幾つかの戦闘経験を積み、現在の『宇宙ステーション』の基礎となっている、『新造弩級戦艦[イーリス・コンラート]』に乗って此の星系にやって参りました。

 ただ、不幸な事故が重なってしまい、[イーリス・コンラート]は大破し、私と他2名以外のクルー(乗組員)は命が絶たれてしまいました。

 そして、私含む3名は此の惑星アレスに降り立つ事となり、諸々の出会いや状況の変化、そして皆様の協力のお陰で此の惑星アレスに『人類銀河帝国』を存立させる事が出来ました。

 ですが現在の処、『人類銀河帝国』の本部である『アデル政府』とは連絡がつかない状況が続いていますので、便宜上此の惑星アレスを中心とした宙域は私アラン・コリントが、宙域の最高司令官である総督となっております。

 放送を聞いて、納得のいかない方々は当然居られると思いますが、此れはある意味緊急避難的な側面が有るのです。

 何故ならば、『人類銀河帝国』には千年以上に渡る、不倶戴天の敵が存在するのです。

 その敵の名は『バグス』。

 『人類銀河帝国』にとってのみならず、全ての人類にとっての大敵であります!

 その性、残虐にして無惨。 にも関わらず人類程では無いにしても知性を持つ知的生命体なので、人類から奪ったのか他の知的生命体から学んだのか判りませんが、星を渡る手段を確立させています。

 そして、此処が問題なのですが、『バグス』は我等人類を食すのです。

 その理由は、今まで判然としていなかったのですが、私アランが皆様もご存知の通り、且つて存在して滅ぼした『スラブ連邦』の首魁たる『ラスプーチン』を倒した際に判明したのです。

 彼等『バグス』は、我等人類の様な知的生命体の遺伝子情報を食べる事で取り入れ、且つ脳幹部分を食べる事で知的生命体の知的情報を集積する事が出来るのです。

 そして、その事を『ラスプーチン』と融合していた『バグス』から知る事が出来たのと同時に、恐るべき計画を知る事が出来ました。

 現在、この惑星アレスを含む銀河系に向かって、凄まじい規模の『バグス』の宇宙艦隊が押し寄せて居るのです!

 その規模は、未だ全容が把握仕切れませんが、私が『ラスプーチン』との戦いの過程に於いて空間を裂いた時に見た先遣艦隊の規模だけで、2億4千万と云う艦隊構成でした。

 どう考えても、本隊は其れを遥かに凌駕する規模だと思われます。

 但し、それらが此の宙域に侵攻して来るには、かなりの年月が必要な程の距離が有ります。

 ですが、明確な意思の元で侵略しに来る敵が居る以上、我等は座して死を迎えるつもりは有りません!」

 

 父様の長く、そして戦慄すべき話しが更に続いて行く。

 

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