父様の長い話しは、いよいよ佳境に入って来た。
「此の『バグス』の宇宙艦隊の数を聞いて驚愕し、弱気になる事は当然だと思いますが、絶望する事は無いのです。
何故ならば、我等には神々(調整者)が残してくれた大いなる遺産である、神々(調整者)の乗機たる『神機』が譲り渡されているからです。
『神機』とは、『バグス』を使役している存在である、『古きものども』の主神クラスを葬る為に神々(調整者)が建造したもので、その攻撃力は惑星を軽く破壊出来る上に、各種の能力は神々を思わせる代物だ。
此の『神機』は、現在8機が発見されていて、メインパイロットも6人が神々(調整者)によって選ばれている。
惑星アレスに住む全ての人々よ!
神々(調整者)は、此の次元に於いて重要な惑星アレスを守護する為に、此の『神機』を我等に与えて下さった。
しかし、『神機』はそのあまりの攻撃力の高さから、『バグス』による接敵攻撃や地上降下攻撃には不向きであり、然もその攻撃を『バグス』は得意としております。
此れ等の事実と驚異を鑑み、帝国は3日後の新学期からの学校教育に於いて、宇宙工学や宇宙物理学そして天体観測学を中等部の学習プログラムに盛り込んで参ります。
また、高等部には3年後から正式な形での航宙学部を設立予定ですので、その前段階の学習カリキュラムを必須科目として教育して参ります。
そして、士官学校では既に存在している航宙軍を更に拡充した上で、現在訓練しているパワードスーツでの地上戦闘訓練・降下訓練に加えて、宇宙空間機動訓練を『宇宙ステーション』を基礎ブロックとした基地の外周部に建設した、軍事衛星にて行います。
我が帝国民よ! 此の帝国の取り組みに理解と協力を望みます!」
そう言って父様は、御自分の考えと帝国民への協力を望んで放送を終えたが、続いて放送を引き継いだ人物がモニターに現れた。
「全世界のルミナス教徒に通達します。
私は『ゲルトナー枢機卿』。 今回演説するに当たり『ヨハネ・パウロ15世教皇』猊下から、正式に代理演説するように申し付けられました。
先程、『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』陛下が述べられた、重要な提言と協力を求める文言に、ルミナス教は全面的に賛成し協力する事を宣言致します。
我がルミナス教はご存知の通り、長らく西方教会と東方教会とに別れて、同じ宗教であるにも関わらず啀み合い、更には国同士で争わせるという、宗教団体としてあるまじき行いをして参りました。
其れも此れも、全ては東方教会の裏に存在していた『古きものども』の計略でした。
『古きものども』は『女神ルミナス』様を始め『神々(調整者)』を貶める為に、偽りの教義でアラム聖国の民を騙して、正統なルミナス教を信奉する人々を弾圧して参りました。
つまり、『女神ルミナス』様を始め『神々(調整者)』の敵対者である、『古きものども』は既に我等の住む惑星アレスに侵略行動を開始していて、我等ルミナス教は帝国に協力して、地上世界に於いては『古きものども』は根絶出来ました。
しかし、『古きものども』は我等の住まう惑星アレスを侵略するべく、あの宇宙の彼方からやって来ようとしています。
我等ルミナス教徒は、此の様な企てを許す訳には参りません!
全世界のルミナス教徒よ! 此れは我等ルミナス教徒にとっての生存を賭けた聖戦に他なりません!
人類銀河帝国に全面協力して戦い抜こうではありませんか!」
と『ゲルトナー枢機卿』は、まるで檄を飛ばす様に演説された。
そして更に続いて放送を引き継いだ人物がモニターに現れた。
「全世界の皆さん! 私は『崑崙皇国皇帝 李世民』で有ります。
今回の『人類銀河帝国皇帝 アラン陛下』の提言を受けて、我が崑崙皇国は全面的に協力し、更には崑崙皇国に於いても帝国と同じく、宇宙工学や宇宙物理学そして天体観測学を中等部の学習プログラムに盛り込んで参ります。
そして、高等部以上の学生と士官学校の生徒は、『宇宙ステーション』での無重力訓練と、帝国軍での軍事訓練の体験学習を必須とします。
此の様な帝国への全面協力をする理由は、12年前の『蚩尤』との大戦が根底に有ります。
既に『蚩尤』の正体は、外宇宙からの侵略者たる『古きものども』の一味である事が判明しています。
つまり、我が崑崙皇国は外宇宙からの侵略者たる『古きものども』からの侵略を受けていたのです。
此れは挑まれた戦争であり、崑崙皇国は挑まれた戦争を回避するつもりは毛頭なく、帝国と手を取り合い敢然と立ち向かう所存であります!
崑崙皇国民は奮って此の戦争に臨んで頂きたい!」
そう『崑崙皇国皇帝 李世民』様は宣言されて、引き結んだ。
父様と『ゲルトナー枢機卿』そして『崑崙皇国皇帝 李世民』様による全世界への放送を受けて、人々は当初は当惑していたが、1日程経つと混乱も徐々に収まり、自分達の住む惑星アレス以外にも人の住む惑星が存在する事実と、明確な敵が存在する事を認識し、帝国から供与された情報を読み漁り、今後の帝国の動きに注視する事となった。