皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第二章 第4話

 「アポロニウス皇太子殿下! スターヴェークへのご帰還御目出度う御座います!

 我等、帝国臣民にしてスターヴェーク公国臣民は、大変感謝致します!」

 

 と土下座しそうな勢いで、元宮内庁長官、現スターヴェーク公国公城維持管理局長の『ロベルト老』が出迎えてくれた。

 

 「・・・ロベルト老・・・、3ヶ月前も全く同じ出迎えを受けたんだけど、そんなに大袈裟に出迎えられると、こっちも気軽に帰れ無くなるよ。

 もう少し砕けて対応してくれないかな?」

 

 「そうですな、なるべく頻繁に来て頂く為にもなるべく平易に致しましょう!

 ですが、アポロニウス皇太子殿下がこの様に多くのご友人達を、故郷であるスターヴェーク公国に連れて来てくれるとは、此のロベルト、精一杯の饗応をしたいと思いますので、是非受けて頂けないでしょうか?」

 

 「・・・其処までする必要は無いよ。 そうだな、みんな若いから食事の量は多くして、スターヴェーク公国の郷土料理を出してくれれば、其れで良いよ」

 

 「・・・了解致しました! 確かに現在この公城の維持管理している者は、老人が多いのでスターヴェーク公国の郷土料理を料理人も作る事に慣れていますので、大量に作る事も出来ます!

 直ちに依頼しておきましょう!」

 

 そう僕が話したので、ロベルト老も肩の力を抜いて応対し始めた。

 其れに、此処スターヴェーク公国公城で勤めている者は、半ば余生をゆっくりと勤め上げてそのまま引退して貰う老人ばかりなので、あまり変わった料理を出させるのは無理だと判っている。

 

 「・・・さて、それまで公都で買い物や見物をして来るから、寝室の用意と大浴場の準備を頼むよロベルト老・・・。」

 

 「承りました! 護衛騎士の方々も居られますし、此の公都での犯罪等は10年間全く有りませんので、安心してお過ごし下さい!」

 

 とのロベルト老の返事に僕も頷いて、友達と連れ立って公都に見物に出向く事にした。

 

 今日迄で地上世界とは切り離されて、明日からは静止軌道衛星に有る『宇宙ステーション』に約1ヶ月滞在する事になるから、なるべく無重力でも問題無い買い物をしなくてはいけないのだが、流石の僕も始めての経験なので、父様とセリーナ・シャロン母様達にアドバイスを頼んだんだけど、にこやかに笑いながら父様達は、何事も経験だと言ってアドバイスしてくれなかった。

 

 《・・・きっと、僕がオロオロする事を期待してるんだろうな・・・》

 

 どうも、赤ん坊の頃から僕が落ち着いていたので、狼狽える僕と云うシチュエーションを見たいと、父様達は常々期待しているフシが有る。

 

 別に、僕は特に意識していないが、家族内では一種の賭けまで行われているから、本当に迷惑な話しだ。

 

 まあ、大凡の予想は出来るからなるべく固形物で、然も壊れにくい物に限り、あまり大き目で無い土産物を用意しようと考えている。

 

 友人達の中でも、男性陣は僕と同様に考えているらしく、自分達用にはインナースーツとは別の下着類やタオル類を買い込んでいる。

 

 問題なのは女性陣で、自分達用には帝都で流行っている最新作とは完全に趣向の違う、ゴシック調(中世風)のドレスや靴、更にはアクセサリー類を買い漁っていて、『宇宙ステーション』に滞在している人達用に様々な種類の『ケーキ』や『果物』を多数買い込んでいる。

 

 僕は、やや呆れながら女性陣が姦しく喋りながら、楽しそうに買い物をしている姿を横目に、男性陣と明日から滞在する『宇宙ステーション』での無重力とは、どんな状態なのかと云う話題に討論し合った。

 

 何でも、無重力を経験して帰国している『魔法科学局』の職員からの情報では、宇宙では上下感覚が無くなり体調も狂いがちなので、生活習慣を無重力に慣らさなければならないらしい。

 

 僕の友人達は上は高等部3年生で、下は僕と同年齢なので中等部1年生だから、まだ職や軍人には着いていないので職業柄の知り合いは居らず、あくまでも親の世代の知り合いしかいない。

 

 この点を今回の体験滞在から変更して、自分達独自の人脈を築いて行こうとみんなで考えている。

 その為にも、『宇宙ステーション』に滞在している、優秀な『魔法科学局』の職員との個人的な人脈を構築する為の土産物を何にすべきか、良い案を出そうとするのだが、中々良い案が出てこない。

 

 あーでもないこーでもないと男性陣が悩んでいるのに、女性陣は殆ど何も考えていないのか、自分達の好みで決めて明らかに自分達用の私物まで買い始めた。

 

 あの辺の決断力は流石だと、些か羨ましく思いながら、無難な処の『クッキー』や『焼き菓子』を休憩中にでも食べて貰おうと考え、スターヴェーク公都でも老舗のお菓子屋さんで、日持ちするタイプを選んで貰ってスターヴェーク公国公城に帰った。

 

 ロベルト老は外出していると云う事で、あの大仰な挨拶を受ける必要が無くなり、かなりホッとしながら男女別の大浴場にみんなで向かい、明日からは風呂に入れないと云う覚悟を決めて、最後の湯船を楽しんだ。

 

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