「アポローーー! 久しぶりーーー!」
と間延びした声?(ナノムを介したAR通信)を、量産型の『雷電装備』を装着した状態で『ミネルヴァ』は、宇宙空間から僕を見つけて丁度帰還途中だったらしく、僕達が見ている発着ゲートに帰った来た。
量産型の『雷電装備』を専用換装装置で外すと、重力の効いたドラゴン用の居住区画に入って来た。
「皆さーーーん、宇宙ステーションにようこそーーー! 無重力には慣れましたかーーー?」
と最近の口調らしい間延びした声で、僕達に『ミネルヴァ』は話しかけて来て、初めて『ミネルヴァ』と会う面々は目を白黒させている。
「半年ぶりだな、『ミネルヴァ』! 僕も漸く宇宙に上って来れたよ。 まだ無重力には慣れていないよ、もう少し此処で暮らしてみないとな。
3年前は正直、いち早く宇宙に上がれたドラゴン達には嫉妬してしまったけど、良く考えてみると君等が一番大変な基礎工事をしてくれたからこそ、僕達は安全に此の『宇宙ステーション』で生活できるんだからね。
本当に感謝しているよ!」
「そんな事無いですよーーー! 一番大変だったのは初期の初期に力技で資源衛星を運んだり、邪魔になっていた岩塊を破壊していた両親で、私は他のドラゴン達と共に安全になった段階で、量産型の『雷電装備』の使い方に慣れながら働いているだけですよーーー!」
と謙遜しているが、『ミネルヴァ』の両親である『アトラス』殿と『グローリア』殿を初め、ドラゴン達の強靭な身体と強力な専用装備のお陰で、人だけでは不可能な工事が凄まじいスピードで進められているのだ。
本当にドラゴン様様だ。
「久しぶりですな、アポロ皇子! 身体は大丈夫ですかな?」
「あらあら、大きく成られたわねアポロ皇子! 気持ち悪く無い?」
と『ミネルヴァ』の両親である『アトラス』殿と『グローリア』殿が他のドラゴン達と一緒にやって来て、僕に挨拶して来て二人共僕の体調を気にしている。
やはり、ドラゴンだとしても宇宙空間の無重力状態は、長時間居るときつくなるのだろう。
他のドラゴン達も次々と量産型の『雷電装備』を専用換装装置で外すと、重力の有る居住区画にやって来て、みんな仕事が終わった港湾作業員の様に、仕事終わりのか駆けつけ一杯といった感じで、自分達の首に有るデバイスからポイントを使用して売り場から、ドラゴン用のビールをジョッキでガブ飲みして行く。
あちこちで酒飲みの輪が広がって、僕達を見て一度お辞儀してからジョッキを片手にして口々に、
「帝国万歳!」
「ドラゴンと人類の未来に祝福を!」
「『宇宙ステーション』設立を祝って!」
等と、様々な祝辞を述べながら乾杯している。
何だか、その姿を見ていると非常に嬉しくなり、僕は備え付けの超巨大モニターに自分を映して貰い、報告させて貰った。
「ドラゴンの皆様! 楽しく飲まれている時に無粋だが聞いてほしい!
僕は、帝国のアポロニウス皇子と云う者だ! 貴方方が日々作業に邁進してくれたお陰で、此れ此の通り人の身で宇宙に上がって来れた、本当に感謝している!
なので、本日の貴方方の飲み代と食事代を僕個人の資産から提供させて欲しい!
更に貴方方の嗜好品である『オークのソーセージ(ドラゴン用の巨大なソーセージ)』と『巨大魔獣のスペアリブ』更には『巨大海獣のステーキ』を地上から運んでいるので、是非ご賞味して欲しい!」
と僕が宣言する様に報告すると、一瞬静まった後にドラゴン達が各々のビールジョッキを高々と掲げ、
「「「アポロニウス皇子万歳!」」」
「「「人類銀河帝国よ永遠に!!」」」
「「「未来の皇帝陛下に、永遠の忠誠を!!!」」」
等と、爆発する様なドラゴン達の歓喜の声が、ドラゴン用の居住区画を埋め尽くし、僕達も人間用の食事と飲み物を頂いて、ドラゴン達と歓談し始めた。
「・・・流石ですね、アポロニウス皇子! ですが宜しいのですか?
私達ドラゴン達には、帝国から充分過ぎる程の給金をポイントで頂いていますから、無理に出して頂かなくても宜しいのですが・・・。」
と『アトラス』殿が僕に言って来たが、僕は頭を振り、
「いえいえ、僕の貴方方へのちょっとした寸志に過ぎません!
其れよりも、常に過去の大戦に於いて貴方方ドラゴン達が、命を賭けて戦ってくださった上に、今も宇宙空間と云う人類にとって過酷過ぎる場所で、働いてくださって居られるのです!
この程度の出費は、帝国の皇子としては当然ですよ!」
と答えると、『グローリア』殿が、
「本当に流石よね! やっぱりアラン皇帝陛下の御子息なだけあるわ!
私も騎竜となってからは、過分なまでにアラン皇帝陛下から良くして貰ったわ!
『ミネルヴァ』も見習いなさい!」
と言われたが、食欲旺盛な『ミネルヴァ』は僕が届けさせた、『オークのソーセージ(ドラゴン用の巨大なソーセージ)』と『巨大魔獣のスペアリブ』に齧り付いていて、話しを聞いていなかった。
『アトラス』殿と『グローリア』殿は盛大に溜息をついて呆れていた様だが、僕としては『ミネルヴァ』が喜んで僕の差し入れを食べてくれる姿は、嬉しかった。