皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第二章 第8話

 「準備は良いか?アポロ!」

 

 「機体チェックオールグリーンです父様! どうぞゲートを開けて下さい!」

 

 「了解だ! 発着ゲート、オープン!」

 

 その言葉が発されると、宇宙と『宇宙ステーション』を隔てる発着ゲートがゆっくりと開いて行った。

 

 僕と友人達は、『宇宙ステーション』に着いてから身体を無重力に慣れさせると、資源衛星内で人間用の船外服であるノーマルスーツを着た上で、宇宙用のパワードスーツに乗り込んで、此の一周間訓練し続けていた。

 

 一定の基準を全員がクリアしたので、いよいよ今日から宇宙空間に出ての訓練を始めるのだ。

 

 発着ゲートが全開したので、体高5メートルに達する宇宙用のパワードスーツを動かし、僕は宇宙空間に出た。

 

 《オオッ、いよいよか!》

 

 内心の感動を必死に鎮めて、僕は規定通りにアポジモーター(姿勢制御装置)を稼働させ、パワードスーツの姿勢を安定させて、ゆっくりと推進剤を使い進んでいく。

 安全面としては、宇宙空間で僕の訓練に付き合ってくれる『ミネルヴァ』と仲間のドラゴン数頭が待機してくれているから、いざという時は僕達を助けてくれる予定だ。

 

 しかし、やはり地面に足が着けられず、然も上下が無い空間というのは不安感が増して行くな。

 そんな思いを封じて、僕は予定通りに『宇宙ステーション』の周囲を一周させながら、なるべく推進剤を使わない事を考えて、パワードスーツの両手両足の振りで姿勢制御させて、推進剤の消費を抑える。

 

 初めてなので、かなりゆっくりと発着ゲートに戻って来た。

 

 「どうだった?」

 

 と僕は、パワードスーツから降りながら見学をしていた友達に聞くと、何故か返事が返って来ない。

 

 《・・・まあ、無理も無いか・・・。》

 

 僕は、みんなが緊張し過ぎて余裕が無く、顔を青褪めさせている理由に気付きながら、敢えて陽気に振る舞って元気付ける事にした。

 

 「本当は、もう少しスピードを上げてラップタイムを上げてみても良かったんだけど、無茶をすると父様に大目玉を食らいそうだったから、慎重にしてしまったよ!

 という訳で、みんなにとって絶好のチャンスだよ! 

 僕のラップタイム以上の人には、漏れ無く優先的に個人仕様の専用パワードスーツを、帝国軍から融通してもらえる様にして貰うから、みんな頑張ってね!」

 

 そう檄を飛ばすと、クーガーと『源義経』殿そして『八幡太郎(はちまんたろう)義家』殿と『源為朝』のご兄弟は目を輝かせて、ロンと『安倍晴明』殿そして『賀茂 保憲(かも の やすのり)』殿に至っては僕の所まで来て、

 

 「「「本当ですか?」」」

 

 と食い気味に聞いて来たので、大きく頷いてやった。

 

 崑崙皇国組は、褒姒は興味無い様だが他の『劉備』『関羽』『張飛』の3兄弟を初め、若手の英才達合計15人は歓声を上げて喜んでくれた。

 

 《・・・実の所、此処に居る全員には、専用パワードスーツを帝国から供与される事が決まってるんだけどね・・・。》

 

 まあ、折角さっきまで青褪めていた連中が、やる気を出してくれたんだから水を差す事は無いだろうな。

 

 そんな感じで、用意された宇宙用のパワードスーツ5機に次々と順番に乗り込み、僕と同じく『宇宙ステーション』の周囲を一周して戻って来る作業にみんな没頭して行く。

 

 やはり後で乗り込んで、前の人のやり方と改善点を見出した人の方が、ラップタイムが良かったので、2度3度と繰り返す人が続出して、みんな仲良く5回繰り返してアッサリと僕の記録を全員が越えて呉れたので、約束通りに地上に戻ったら帝国軍の工廠に頼んで、其れ其れの専用パワードスーツを配給する事を約束した。

 

 此の優秀な成績を引っ提げて、父様達の管制室に報告に行くと、拍手を以って迎えられた。

 代表して父様が、

 

 「皆さん! 素晴らしい成績を修めて呉れた事と、何よりも無事に誰一人怪我や体調不良にならずに帰還できた事を嬉しく思う。

 当然、宇宙用のパワードスーツは数え切れない程の試行錯誤を繰り返した上で、幾度もの改良をしてテストパイロットが散々乗り回して安全を確認した物だが、君達の様な若い人間の実験はして居なかった。

 然も、此の様に優秀な成績を出してくれた事で、宇宙用のパワードスーツは非常に良い経験を積む事が出来たよ。

 本当に有り難う!」

 

 と感謝してくれて、管制室中の優秀なスタッフ全員が盛大な拍手を、再度してくれた。

 

 何だか、非常に照れ臭いが僕の友人達が、父様始め管制室中の優秀なスタッフ全員に褒められている姿は、本心から嬉しかった。

 

 その後職員達は、友人達其れ其れに宇宙用のパワードスーツを、運転した際に感じた点や改良して貰いたい点の聞き取りをして行った。

 

 僕も聞き取りに応じて、様々な僕なりの提案を行い、職員は「成る程!」と言って感じいってくれていた。

 

 全員の聞き取りが終わったので、僕達は管制室を出て居住ブロックに戻り、みんなで今日の事を祝って食堂での宴会を友人達だけで行った。

 成人に達した大人は居ないので、アルコール抜きのシャンパンや炭酸飲料を飲み交わし、初めての本格的な宇宙空間機動を成功させた興奮も手伝い、みんな凄く楽しそうに喜んでいる。

 

 此の分だと、明日からの訓練にも上手く行きそうだ。

 

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