皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第二章 第10話

 其れからも宇宙ステーションに上る選抜学生は増えて行き、僕の中等部生活が半年経って、宇宙に上がる人員規模が多くなって来たある日。

 

 「『モノポール・リアクター』建造計画ですか?」

 

 「嗚呼、その通りだよアポロ。 アステロイドベルトの資源衛星15個全てを確認した結果。

 最大規模の資源衛星に大量の『モノポール(磁気単極子)』が保管されていたんだよ。

 恐らく『調整者』の方々は、宇宙進出出来た人類ならば、此の技術を理解し更にはその莫大なエネルギーを活用した、『モノポールエンジン』を製作出来ると踏んでいたんだろうな。

 そして何れはモノポールエンジンを叩き台にして、本来の『人類銀河帝国』の技術を取り入れれば、『縮退炉』を完成させる事が出来るだろう。

 そうすれば『タキオン粒子』を用いて『位相差空間』を利用した、『FTL通信』が行える様になる!

 一気に我々は、技術進歩を進められてタイムスケジュールを縮める事が出来る。

 何とか、『バグス』の侵略前に体制を整えられるぞ!」

 

 AR通信で送られてくる父様の声はかなり弾んだもので、その心からの喜びが僕にも良く判った。

 

 《・・・一気に諸々の憂いが、晴れたんだろうな・・・。》

 

 父様の長年の憂いを共有する者として、僕は心底父様を労った。

 

 「父様、御目出度う御座います!

 此れで、父様の長年の苦労が報いられましたね!」

 

 「有り難うアポロ、私としてはお前が率いる帝国の負担を、何とか本来の『人類銀河帝国』に共に担って貰える様に、道筋をつけて置きたいんだよ!

 そうすれば、人類はより良く発展して幸せな未来を掴む事が出来る筈だ!

 そして私は、自分が死ぬ前に妻たちを、私の故郷に連れて行く事が出来るだろう・・・。」

 

 そう言って、父様は遥か彼方の宇宙を見上げ、生まれ故郷の『トレーダー星系第4惑星ランセル』という星を幻視している様だった。

 

 

 

 中等部の一年生として半年が経ったが、僕の入学前とは授業もかなり異なり、より高等数学や魔法技術論そして宇宙物理学等の、本来は高等部の専門学科の内容を相当に繰り上げて、中等部の必須カリキュラムに入れて更に地上でも無重力を発生させる、重力コントローラーを魔力の循環システムを使用した大規模施設

を、此の帝都コリントと崑崙皇国の首都である『南京』にも建造し、学校教育の体験と訓練に使用し始めた。

 

 なので、以前の全ての学校の授業内容とは一線を画す様になり、ある程度社会人として仕事に着いている大人も、宇宙での作業員用の専門学校に入学して専門課程の教育を受けて、宇宙での職業に従事する人々が増え始めた。

 

 当然、『宇宙ステーション』・『資源衛星』・『スペース・コロニー』への就労志望者は、鰻登りの勢いで直ぐに1千万と云う人数の人々が採用されて、喫緊の命題で有る『オービタルリング』の建造は、急ピッチで進められて、円環システムの基礎だけなら来年中に出来上がるそうだ。

 

 いよいよ、新時代である宇宙時代が開幕しようとしていた。

 

     

 

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 「処で此のパワードスーツのシミュレーターでは、敵は『バグス』だけなの?」

 

 「いや、ある程度の数『バグス』を倒し、あらゆる戦場のパターンで問題無く乗りこなせる様になれば、敵目標は今まで帝国が相手して来た様々な相手を選べる。

 

 強大な魔物で体長が5メートルにもなる、『オーガ』、『サイクロプス』、『ワーム』。」

 

 空を飛ぶ魔物で強力な攻撃力を持つ、『ロック鳥』、『フライング・ワーム』、『ワイバーン』。

 

 多数で連携攻撃をして来る、『饕餮』、『グレイハウンド・リーダー』、『ゾンビ兵』。

 

 水中に潜み引きずり込んで来る、『クラーケン』、『牛鬼』、『サハギン』。

 

 ボス級の敵として、『ヒュドラ』、『ラウンドタートル』、『ドラゴン』。

 

 といった相手を選べる様になるんだよ」

 

 とのサクラちゃんの問いに答えると、マリアちゃんが、

 

 「こっちも、連携出来る複数で挑めるの?」

 

 「出来るよ。 但しある程度のスキルが必要だから、規定のレベルを越えないとならないけどね」

 

 とマリアちゃんに答えて上げたら、他の女子達も「私の質問に答えてー!」と次々に聞いてくる。

 

 何で、担当の教師陣とコーチ陣に聞かないのかサッパリ判らないが、パワードスーツのシミュレーターを使った特別授業の間は、僕のクラスだけで無く他のクラスと一緒に学ぶので、日頃、中々会わない同学年の生徒との交流の場でもあるから、僕としても邪険に扱えず、なるべく親切には応じたいけど、何で僕ばかりに聞いて来るのだろうか?

 

 ケントとロンの奴が気を利かして、僕の周りをガードしてくれたので漸く一息入れる事が出来て、二人に感謝した。

 

 「どうして、僕の所にパワードスーツのシミュレーター内容で質問に来るのかな?

 周りには、あれだけ先生やコーチが居るんだから、僕より的確に教えてくれるのに」

 

 と二人に相談すると、ケントが若干苦笑しながら僕とロンに教えて呉れた。

 

 「小等部の頃は、まだお互いに子供過ぎていたから、興味の無い生徒が多かったけど、中等部に進学してみると大分大人に近付いて来たから、男女への興味が湧いてきた連中が増えて来てな。

 さっきのサクラとマリアの質問も、敢えて先手を打って他の女子よりも前にアポロに聞いて、質問内容を減らす意図が有るんだよ。

 まあ、それでも無理矢理質問をしようとしてきたから、俺とロンがガードしたという訳さ!」

 

 と何とも理解しづらい話しをして来た。

 まあ、世の中には僕でも判らない事が大変多いので、此れもその一つなのだろう。

 

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