皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第二章 第11話

 (ケント視点)

 

 本当に呆れてしまうが、アポロは本当に自分個人の価値が理解できていない。

 

 そもそも、帝国の事実上の皇太子にして由緒あるスターヴェーク公国の公王後継者。

 帝国の皇太子と言う事は、此の惑星アレスにある全ての国家の盟主に将来は成り得る存在だ。

 

 だが、アポロの価値とはそんな生まれでは測れない代物だ。

 

 アポロは体術として、武術方面では『神剣流』・『神拳流』では既に免許皆伝を受けていて、帝国格闘技のコリント流でも、その全てを修めている上に幾つかの新技すら生み出している。

 つまり13歳にして武術では、ほぼ『剣王』と『拳王』に匹敵する存在である。

 

 そして魔法科学面でも、賢聖『モーガン』様と賢王『マリオン』様の直弟子で、特に膨大な魔力を使う人間個人では不可能な筈の、ドラゴン級しか使用出来ない戦術級魔法を一人で行使出来る。

 

 その御蔭で、ドラゴンが入れない場所等で精緻にして極大の魔法を使用した実験が出来るので、研究室や地下等で様々な魔法理論の実証実験を繰り返している。

 

 そして、賢聖『モーガン』様と賢王『マリオン』様との共同開発した魔法は、小等部の時代だけで10魔法も有る。

 

 有名な魔法では、俺達も使える『飛翔魔法』。

 これは、賢王『マリオン』様が基礎魔法の『浮遊魔法』を、14年前に編み出して、アラン皇帝陛下の協力のお陰で直ぐに帝国軍でも正式採用されて、親父(ケニー)が率いる帝国空軍では必須の魔法になっている。

 その浮遊魔法を、如何に方向性を持たせて効率良く飛べる様にするかが問題だったんだけど、アポロとそのアポロとほぼ同等の魔力保有量、更には魔力出力を誇る褒姒が協力して、編み出したのが『飛翔魔法』!

 

 現在は、帝国でもごく少数が使えるだけで、アポロの魔法指導で辛うじて俺を含む親友達も行使出来るけど、精々5キロメートルしか俺達親友達は飛べないので、まだまだ完成している訳ではないけど、魔法科学関係者の間では世紀の魔法革命となるそうだ。

 

 次は、進化形『水面歩行魔法』。

 これは、結構以前から開発されていた魔法だけど、文字通り水面を歩行出来る魔法なんだけど、何故か走る事は出来ない魔法だった。

 この問題をアポロ達は、『複合魔法』と云う魔法技術で解消させた。

 従来の魔法技術でも2種類の魔法を合成する技術は存在したが、『複合魔法』は最大5種類の魔法を同時に使用出来る。

 

 そしてこの『複合魔法』こそが、『飛翔魔法』に負けず劣らずの魔法革命と言われている。

 

 この様に、魔法科学でも数々の事績を積み重ねているアポロは、既に帝国どころか世界でも注目されている存在で、その価値は計り知れないものがある。

 

 なのに、本人はあまり自分の価値を把握していないのか、他の俺を含め有象無象の学生に対しても親切で。

 

 どんな身分であろうとも別け隔てなく対応してくれるので、中等部に入って僅か半年でほぼ全ての学生達の信望を集めている。

 

 こんな存在は多分『学校』が創立されて以来、現れた事は無いだろうしその現象はアポロが何処かに出向く度に拡散し続けている。

 

 実際に8ヶ月前の世界一周旅行でも、立ち寄る国々全てで歓待されて、然もその殆どが帝国の皇子としてでは無くて、アポロ個人との誼を結ぼうとしている様に俺には見えた。

 

 実に実直且つ真面目な奴だが、決してジョークや笑いが嫌いな訳では無くて、寧ろ積極的に面白味を求めている男である。

 

 小等部の頃は、まだその幼さから可愛いと年配の方々から言われていたが、最近声変わりした上に一気に背も伸び始めて、昔から若干背がアポロよりも高かった俺とほぼ背丈は一緒になった。

 

 つまり、アポロは急速に大人びて来たのだ。

 

 そうなると、周囲の目。

 

 特に女性陣のアポロに向ける視線が変わって来た。

 

 元々、アラン皇帝陛下とクレリア皇妃殿下と云う、世界でも指折りの美貌を誇る両親を持つアポロは、当然美形で美しいとさえ言われて居たが、中等部に進学し先程書いた通り大人びて来たので、精悍さを身に纏う事で、同学年の女子達の間で『貴公子』ならぬ『貴皇子』と影で言われ始めた。

 

 しかし、ある意味アポロと云う人物は、本当に可哀想な男である。

 

 一分野に特化していて、その分野のみで生きて行く事が出来れば、単純ではあるがストレス無く集中して生きて行けれた筈だ。

 

 しかし、幸か不幸か帝国の皇太子としてアポロは生を受けてしまった。

 今後もアポロは、あらゆる場面での臨機応変さと能力を求められる立場だ!

 

 当然その負荷は、アポロの精神に負担を掛けるものになるだろうし、色々と不当な評価をする批判勢力も現れるだろう。

 

 俺は、一番の親友としてアポロ本人には絶対に言わないが、忠誠と能力で以ってアポロの家臣となって尽くして行こうと心のなかで誓っているから、アポロの盾として学生生活を過ごせる事を、喜びと少しのストレスを感じながら共に歩もうと思う。

 

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