(サクラ視点)
中等部の学校生活も8ヶ月を越えて、大分慣れて来たんだけど、明らかに私達の学校生活はこれまでの授業スタンスと変わってしまい、勉強も宇宙教育に重きを置いているわ。
一週間の内、半分くらいが宇宙物理学や無重力訓練に費やされているし、必ず宇宙ステーションへ年間2回の1ヶ月滞在が課されるの。
然も、現在は資源衛星での滞在以外に、シリンダー状の『スペース・コロニー』に滞在出来る様になり始めたわ。
このシリンダー状の『スペース・コロニー』と云うのは、ドンドンつなぎ合わされていて、遠くない未来に『オービタルリング』を形成されるんだって。
だから、凄い数の『スペース・コロニー』が必要な為に、地上から『軌道エレベーター』で基礎ブロックをひっきりなしに運び、外殻となる資材は11年前の大戦の舞台となった『アフリカーナ大陸』で、敵の拠点となった大陸中央部に有った頑丈極まる構造材や、敵の壊れた超大型船の外壁を利用する事で、殆ど手を加えずに宇宙へ運んで『スペース・コロニー』になっていくわ。
なので後1年後には、この惑星アレスの周りは『オービタルリング』で一周されるの。
そんな風に、今世界は激変の時を迎えていて、世の中は今までがまるで微睡みの中に居たかのように、一気に進み始めたわ。
それに呼応したかのように、私達学生たちも変化を起こしているわ。
特に顕著なのがアポロなの!
まあ、立場が立場なだけに変わるのは必然かも知れないけど、宇宙に6ヶ月前に一ヶ月程滞在して以来、変化が著しいの。
先ず背丈がドンドン伸びてきて、160センチメートルを越えてしまったわ。
この分だと中等部卒業時は、180センチメートルを優に越えそうね。
そして声変わりもして、今までは響きの良い声でやや高音だったのに、かなり低い音に変わり大人びた落ち着きの有る声になったわ。
そして顔つきも、柔らかそうだった肌が変化して引き締まった物になり、体付きに至っては筋肉が盛り上がり始めて靭やかさだけだった身体が、力強さを体現し始めたの。
後1年もすれば、殆ど大人と変わらない体格に成るんでしょうね。
そんなアポロの変わり様に、先ず中等部の先輩女子が反応したわ。
昔ながらの古典的な手紙に始まり、色々な手段でアポロとの接触を図った上で、交際を願う女子が出始めたの。
それに対してアポロは、特に嫌がりもせずに「友人関係なら良いよ」と、区切った上で女友達を増やして行ってる。
然も、その交友関係は信じ難いレベルで広がり、女性に留まらずに大人の男性から小等部の学生にまで広がっている。
最早、それは交友関係と云うレベルを越えて、アポロ指示団体と言って良いレベルになっていたの。
そのアポロ指示団体は、自分たちの名称を勝手に『キャメロット』と呼称し凡そ300人程の規模になっていったの。
中でも中核のメンバーは、『円卓の騎士(ナイト・オブ・ラウンズ)』と呼称される様になったわ。
この二つの名前には由来が有るんだって。
その昔、今の帝国の辺りに『ブリタニア』という伝説の国が有ったらしいの。
その国は、一度滅んでしまった後に、逃げ延びた忠臣の手によって育てられた、『アーサー・ペンドラゴン』という王子が、見事に敵を撃ち破り列国の盟主となったらしい、と云うのがざっくりとした話しなんだけど。
その『ブリタニア』と云う国は、分裂して滅んでいった様なんだけど、その血筋を受け継ぐ国家が有って。
その国家とは、『スターヴェーク王国』・『ベルタ王国』・『セシリオ王国』の3カ国であり、当時の同盟国の二つが『ゲイツ王国』と『イリリカ王国』なんだって。
そして今現在、過去の『ブリタニア』を遥かに超える『人類銀河帝国』が成立し、血筋を受け継ぐ3国家は帝国の中核となり、『ゲイツ王国』と『イリリカ王国』は事実上の従属国家になっているから、事実上伝説の『ブリタニア』という国を凌駕しているわ。
だが、やはり伝説や昔話に憧れを持つ人々が多くいるのは、当然よね。
その『アーサー・ペンドラゴン』という王様が住んでいた都の名称こそが、『キャメロット』。
綺麗な湖と森そして聖なる泉の湧く美しい都だったそうよ。
そして『円卓の騎士(ナイト・オブ・ラウンズ)』とは、アーサー王を含む円卓に座ることを許された騎士達の総称で、素晴らしい能力を持つ騎士のみが座る事を許されるそうよ。
現在、その『円卓の騎士(ナイト・オブ・ラウンズ)』に選ばれているメンバーは、当然、私達親友4人が入り、クーガーと『源義経』・『安倍晴明』がそれに続いてるわ。
本当なら、褒姒達、崑崙皇国の友人達が入るべきなんでしょうが、褒姒は何故かアポロへの対抗意識なのか、自分を頂点とした組織を作り始めたの。
今のところ、崑崙皇国の廷臣の子弟を集めた30人くらいで、例の3兄弟達を中心にして『七虎将軍』と云う武術に優れた人物が所属してるわ。
この二つの団体が、現在、帝都コリントで覇を競っているけど、別に争っている訳では無くて、良きライバルといった感じで、ボランティアや様々な催し物にも積極的に参加して、帝国と崑崙皇国の評価を上げる事に団体の存在意義を見出していて、一般人にはとても好評なの。
私もこの団体同士の、仲の良い競い合いが面白くて、頑張っているのが現状なの。