皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第一章 《小等部編》
第一章 第0話


 「いよいよね!」

 

 教室前で気合いを入れ直し、私は教室のドアに手を掛けた。

 

 私の名前は『レイナ』と云う新米教師です。

 教師となって3年目で、今日から此の小等部1年1組の副担任として、子供達を教え導くの。

 

 担任は、学年主任の『マーサ』教師が勤めるのだけど、年齢が50代後半なので実際に教えるのは私が勤める事になるわ。

 

 こんな風に気合いを入れるのには理由があるの。

 それは、先程まで行われていた入学式に起因するわ。

 

 通達されていた通り、今回の入学式は例年と違い特別でした。

 何と言っても、来賓の数が尋常でなく多い、それも帝国はおろか世界中の皇族や王族そして貴族と華族の方々が、会場に入りきれずに特別ルームとして用意された移動小型カーゴが、校庭に据え付けられて、体育館で行われている入学式の様子が中継されていた。

 

 入学式は例年よりも少し長い程度で済んだが、校庭の特別ルームではレセプションが行われて、世界中のVIPが大盛りあがりしているようだ。

 

 まあ、そんな事より眼の前の事が重要だ。

 もう一度気合いを入れ直すと、教室のドアを開き1年1組のクラスに入る。

 別に特別な事も無く、出席を取り順番に席に着いて貰い、小等部用の専用端末を配り『生体認証』を其れ其れ登録し、明日からの授業に備える。

 

 此処まで、特に何の問題も無く推移していたのに、突然或る女子生徒が手を上げた。

 何だろうと、素朴な疑問を感じながら発言を促すと、黒髪で東方系の顔立ちをした女子生徒が席を立つと、私に向かい発言して来た。

 

 「私は、見ての通り小さいので黒板兼モニターをしっかりと見るには、席を前に配置して貰いたいのです。

 具体的には、中央の最前列に席を移して貰いたいのです!」

 

 との申告だが、正直な処それ程背が低いように見えないし、大体、先程配った小等部用の専用端末で黒板兼モニターを拡大表示出来るし、例えその時に私が黒板に書いた物は履歴で後から確認出来るので、その時把握出来なくても問題無い。

 つまり、この女子生徒が要求している、中央の最前列に席を移したいと云う要望は別の目的が有るのだ。

 その要求に、必要無い事を説明しようとすると、他の女子生徒だけで無く男子生徒も含めて、クラスの半分の生徒が席替えを要求して来た。

 

 その多くが、中列と後列の生徒で前列中央の生徒は、非常に迷惑そうな顔をしている、まあ、理由は良く判るが・・・。

 

 「それでは、明日席替えのくじ引きをしましょう!

 皆さんは、今日から小等部の生徒です!

 規律正しい生活をして行きましょうね!」

 

 と言い、全員で挨拶して解散した。

 

 その後、特定の生徒達を集合させて特別ルームに連れて行く。

 受け付けを通って案内されたレストルームに向かい、其れ其れのお付きがパーティードレスや子供用のスーツに着替えさせる。

 

 私も学年主任の『マーサ』教師に手伝って貰って、落ち着いたスーツに着替えて、小等部の校長先生以下全教師が出席する。

 

 私達全教師がパーティー会場に入り、着替えの終わった生徒達が入場して来た。

 

 「「「おおーっ!」」」

 

 と立食パーティー会場になっている特別ルームから歓声が上がり、生徒達の格好を大人達が褒める。

 

 先程迄、小等部の学生服を着ていた生徒達は、年齢相応のパーティードレスやスーツに着替え、アポロニウス殿下を先頭に入室して来た。

 

 そのまま生徒達はパーティー会場の壇上に上がって、司会者からの紹介で順番に挨拶して行った。

 

 20人程の生徒達は、司会者からの紹介で一言だけ挨拶して行き、最後にアポロニウス殿下が紹介された。

 その紹介の時に司会者からマイクを渡されたアポロニウス殿下は、堂々とした態度でマイクを受け取ると世界のVIPに話し始めた。

 

 「此の度は、私と学友達の入学式へのご参列と、此の特別カーゴルームをプレゼントして頂き、大変有難う御座いました!

 私達新入生は、此の皆様のご厚意に報いるべく、学業やスポーツそして様々なイベント交流に於いて、優秀な成績を修める事をお約束します!

 どうぞご期待下さい!」

 

 との、とても新入生とは思えない位の、立派な挨拶を堂々とこれだけの大人の前で演説してみせた。

 会場に居られるVIPの方々は、さも当然と云った様子でアポロニウス殿下の挨拶を受けて、拍手しながら新入生たちが壇上から降りてきた所に集まってきて、盛り上がっている。

 

 その場から若干離れた所に居た私は、些か信じ難い思いでマジマジとアポロニウス殿下を見つめる。

 入学式と教室ではあまり出しゃばらずに、静かな印象を受けていたのだが、単に必要が無かったから発言していなかった訳だ。

 今の挨拶だけでも、満6歳児とは思えない落ち着き具合と、揺るぎ無い自負が読み取れる。

 

 今後はアポロニウス殿下を決して侮らずに、授業等を進めて行こうと心に留めた。

 

 此の思いは私以外の教師陣も同様らしく、鼻白む者や感銘を受ける者、そして陶酔の目で見る者まで見受けられる。

 

 そんな教師陣の中で、校長先生と教頭先生はさもありなんと頷き合っている。

 どうやら、アポロニウス殿下の事を此のお二人は、良く知っているらしい。

 後でお二人には、アポロニウス殿下の細かい真実を教えて貰う事にする。

 

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