「・・・此れは凄いな・・・。」
父様の感想は、僕達全員の感想と言える。
月の内部に有る凄まじいレベルの技術体系を持つ文明は、我々の惑星アレスで最高の文明レベルを遥かに凌駕するのが、一目で判る。
《・・・神々(調整者)は、此れ程の置き土産を我々の為に用意してくれた訳か・・・。》
僕の横に居た褒姒が、僕の手を握って来たので握り返して上げると、褒姒は接触回線でのAR空間での会話を始めた。
【凄いわねー! アラン皇帝陛下の故郷である本来の『人類銀河帝国』も、こんな感じなの?】
【いや、僕も本来の『人類銀河帝国』の科学技術は把握しているけど、此処まで凄い文明では無いよ!
正直な処、現在の帝国の延長線上にあるだけで、魔法の面を考慮に入れるとそれ程の事は無い、まあ、後100年もすれば追い付ける程度だよ、其れに比べて此の神々(調整者)の文明は、明らかに千年単位で進んでいるよ!】
【千年単位かー、本当に凄いわね!】
そんな接触回線での会話をしていると、やがて『宇宙探査船』は港の様な場所に入港し、僕達は父様を先頭に月内に降り立った。
宇宙服で降り立ったのだが、宇宙服のセンサーを働かせていると、いきなり大気組成が一気に変化して、我々に最適な大気組成に月内の空気が変わった事が判った。
《・・・どうやら、僕達に好意的な対応をしてくれる様だな・・・。》
と思い、父様と確認しあい降り立った全員は、宇宙服のヘルメットのバイザーを上げてみる。
「・・・気持ちの良い空気だ、其れに此れほど落ち着く雰囲気を出せるとはな・・・。」
そう、大気組成だけでなく、周りの明かりと共に柔らかい風が僕の頬を撫でた。
その非常に心地よい空間で待っていると、此の空間の奥から出てきた恐らくは乗り物(音もせずに浮遊してきたフロートのような物)が、僕達の眼前にやって来て、降り立っていた約30人で乗り込むと、スーッといった感じで滑る様に空間奥の壁に向けて進んで行く。
スッといった感じで壁が無くなり、僕達はそのまま月の深部に向かう。
暫くフロートの様な乗り物で進んでいると、やがて非常に大きな祭壇の様な空間に辿り着いた。
その祭壇の様な空間には、ある見覚えのある物に覆われている物体が二つ存在している。
見覚えのある物とは、クリスタル。
そう、僕の親友達の『神機』を覆う封印である、あのクリスタルだ。
つまり、此の目の前に有るクリスタルに覆われた物体こそが、僕と褒姒の『神機』!
『メタトロン』と『九尾』なのだ!
どちらが? と思った瞬間、僕のネックレスに有る『星の涙(スターティア)』は赤い色の光を発して、真っ直ぐに一方の『神機』を指し示した。
褒姒を見てみると、僕と同じく首輪から白い色の光を発して、真っ直ぐに一方の『神機』を指し示している。
次の瞬間、僕の精神に直接訴え掛けて来る者が有った。
【初めて御意を得ます。 『マイ・マスター(私の御主人様)』!
悠久の彼方から、マスターと会える時をただひたすらに待って居りました!
どうぞ、マスターの佩剣である『スターソード』、『エクスカリバー』を呼び出して下さい!】
と『メタトロン』は僕に依頼して来たが、申し訳無いが今の今まで『スターソード』なるモノを、僕は呼び出した事が無い。
【うーん、『スターソード』って言うのは聞いたことがあるけど、どうすれば良いんだい?】
【簡単な事です。 貴方の『星の涙(スターティア)』に向かって、『スターソード・エクスカリバー』と唱えてくれれば良いのです!】
と言われたので、僕も以前から『スターソード』を発現させて見たいと、予てから思っていたので早速試してみる事にした。
「召喚する! 我が呼び声に応えよ! 『スターソード・エクスカリバー』!」
その僕の言葉に応える様に、『星の涙(スターティア)』から光の剣が眩い輝きと共に出現した!
その光の剣を僕は恐る恐る掴んでみた。
《うわ、何だろう此の躍動感は?!》
思わず声を出しそうになりながら、僕は確かにその光の剣からの喜びの脈動を感じていた。
まるで長い時、己の半身と引き離されていて、漸く戻ってきたかの様に光の剣が訴えて来ている様だ。
暫く光の剣を握りしめたまま、呆然としていたらしく、父様が肩を揺すった事で呆然自失の状態から脱する事が出来て、頭を振って正常な状態に気分を戻した。
そして心の内で『メタトロン』に再度語りかけてみた。
【で、此の後はどうしたら良いんだい?】
【それでは、手に持っている『スターソード・エクスカリバー』で、私『メタトロン』を封印している石碑を斬って下さい!】
と依頼して来たので、僕はその通りに『メタトロン』の前に存在している石碑を、『スターソード・エクスカリバー』で斬った!
次の瞬間、轟音と共に『メタトロン』を覆っていたクリスタルは、粉々に砕け散った。
そして、僕の『神機・メタトロン』は、穏やかな光とともに姿を現してくれた。