皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第二章 第21話

 穏やかな赤い光に包まれた『神機・メタトロン』は、僕と正対した状態で対峙した。

 

 『メタトロン』の姿は、『女神ルミナス』に仕える天使に良く似ているが、明らかに普通の天使と違う所が有った。

 伝えられている天使の翼は、2対から6対なのに対して36対の翼を持ち、然もその体高はケント達の『神機』に比べて3倍の大きさである。

 

 その翼の中心に有る顔の額部分から光が伸び、僕の『星の涙(スターティア)』に当たると僕は次の瞬間、『メタトロン』に吸い込まれた。

 

 《此処は?!》

 

 其処は、非常に広い空間だった。

 

 僕は、その空間で宙に浮く形で存在し、目の前の空間には『メタトロン』の見ていると思われる場面が映し出されている様であった。

 

 その映し出されている中央に父様が居て、僕に語り掛けて来た。

 

 「アポロ、大丈夫か?」

 

 「ええ、問題無く『メタトロン』に乗れた様です。 ただ想像とかなり違って、非常に広い空間で宙に浮いて居ますし、何故かインナースーツになってしまいました」

 

 と応えると、『メタトロン』が気を利かせたのか、僕の様子を父様達の脇に映し出したらしく、父様達が横を見て僕の状態を確認し、納得した様だ。

 

 「ふむ、此の状態で動かす事が出来るし、外界とのコミュニケーションを問題無く行えるのか。

 相当な文明レベルだな、我々が手にしている魔法科学技術を遥かに凌駕している!」

 

 「そうですね、動かす事に関しては僕の『ナノム』専用ストレージに、続々とデータが流れ込んで来ているので、後1時間もすれば基本概念と基本動作を習得出来るでしょう。

 ただ、習熟には相当な時間と訓練が必要ならしく、暫く掛かると思われます!」

 

 「だろうな。 今現在、我々の『宇宙探査船』と其れを介在して、宇宙ステーションのメインフレームに有るストレージバンクに、神々(調整者)からの技術提供がされていると報告が有ったよ。

 本当に神々(調整者)は、我々を認めて全てを委ねるつもりの様だ!」

 

 その父様の言葉に、僕や周りの人々が大きく頷く中、僕は対面に居る褒姒と『神機・九尾』を観察した。

 

 褒姒は僕と違って、『スターソード』では無く、褒姒の持つ首輪から膨大な魔力が照射された眼の前の石碑から、白い光を神々しく放つ剣が顕現した。

 

 そして、その剣はゆっくりと褒姒の目の前に動き、褒姒はその剣を両手で握った。

 

 その状態から褒姒は剣を大上段に構えて、徐に振り下ろした!

 

 次の瞬間、剣から4つの光が放たれて、『神機・九尾』を4方向から襲い掛かり、その瞬間クリスタルはまるで無かったかのように消滅した。

 

 『神機・九尾』は、『メタトロン』に比べれば小さいが、ケント達の『神機』に比べると2倍の大きさが有り、名前の通り9つの尻尾が身体を覆うようになっていた。

 

 その尻尾の中心に有る顔の額部分から光が伸び、僕の時と同じ様に褒姒は『九尾』に吸い込まれて行った。

 

 暫くすると、『九尾』が尻尾を解く様に大きく展開して、凄まじい雄叫びを上げて周囲を見回している!

 

 そして、『九尾』は両眼に赤光を宿らせると、僕の乗る『メタトロン』を見つけて睨みつけて来た瞬間、突進して来た!

 

 『メタトロン』はガシッといった感じで『九尾』の突進をを受け止めると、いきなり禍々しい思念が『メタトロン』に注入された。

 その後『九尾』は藻掻きもせずにただひたすら押してきて、何やら落ち着く為に身体を震えさせている。

 

 暫くすると、落ち着いて来たのか『九尾』の眼光は赤い色では無くなり、身体の震えも落ち着いて来た。

 

 そして、接触回線で『九尾』に乗った褒姒が、僕に話しかけて来た。

 

 【ご免なさい、アポロ! いきなりぶつかりに行ってしまって、どうも『九尾』は己の中に渦巻く『古きものども』への憎しみを処理出来ずに長年積み重ねてしまって、どうにかしたかったんだけど、『九尾』が暴走すると抑えられるのは、アポロの乗る『メタトロン』だけらしいし、然も今ならアポロが乗っているから、どんな事があろうと抑えてくれるので大丈夫と『九尾』に答えたら、嬉しそうに突進したの!】

 

 【まあ、良いけどさ。 それでその『古きものども』への憎しみって奴は、僕の『メタトロン』に注入された思念の事かな?】

 

 【ええ、そうよ! 過去『古きものども』に蹂躙された、膨大な数の人々の憎しみの思念らしいの。

 昔は、アポロの乗る『メタトロン』に浄化して貰っていたらしいから、それが出来なかった封印状態は辛かったらしいわよ!】

 

 【其れは辛かっただろうな! まあ、今後はその作業を僕も受け持とう!】

 

 そんな会話をしてから、父様以外の人にはよろけただけだと説明し、父様には真実を褒姒と一緒に報告したら、

 

 「・・・随分人間の様な感情をもってるんだな・・・。」

 

 と父様は感心していた。

 

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