月のメンテナンスベースに僕と褒姒の『神機』以外を、最終調整の為に格納して来て、暫くの間、月の内部で様々な技術と文化を見学出来た。
一番驚いたのは、此の次元の概念とあまりの世界の広さであった。
曰く、此の僕達の住む次元とは、3.5次元(立体に時間概念が加わるから3.5らしい)と云う次元で、上の次元が10次元まで存在し、上の次元でも我々と同じ生命体が生活し、そんな高位次元存在の中に、此の3.5次元に侵略して来る『古きものども』の『クトゥルフ』や『ツァトゥグァ』、そして『ダゴン』と『ヒュドラ』などが居て、彼等は本来の次元ならば全能力が使用出来るが、我々の3.5次元に来る段階で能力を制限されるし、本体を降臨させる事も出来ないらしい。
だからこそ、神々(調整者)は根源的な意味で『古きものども』を倒す為に、高位次元存在に自分達を昇華させて『古きものども』の本体に挑んでいるのだ!
その戦いがどの様な形で且つ、どの位掛かる代物なのかは、想像を遥かに越えすぎていて判らないけど、我々の及ぶ処では無いのは確かだ。
なので、僕達は僕達の生活圏を守ると云う、非常に狭い話しでは有るが切実な命題に取り組むべく頑張るしか無い。
ただ、折角、父様が『古きものども』の首魁『クトゥルフ』の、此の次元での分体を15年前の大戦で滅ぼしたんだけど、『古きものども』の尖兵『バグス』は此の小宇宙で増え続けていて、僕達の居る銀河系や他の星雲でも蔓延り始めている。
父様とセリーナ・シャロンの母様達が所属している本来の『人類銀河帝国』は、此の銀河系で千年もの長い間『古きものども』の尖兵『バグス』と戦い続けているらしいんだけど、あまりの『バグス』の物量に苦労しているらしい。
そんな中、父様達の所属していた『宇宙戦艦[イーリス・コンラート]』は、人類の悲願である人類の敵バグスの母星発見という、途轍もなく地味で手間の掛かる果てしない任務を熟していた。
そんな時に、此の惑星アレスに諸々の事情で父様達は着陸する羽目になり、色々な出会いと関わりそして戦いを経て、『人類銀河帝国』が成立した。
そもそも父様達が此の神々(調整者)の実験場にして神域である惑星アレスに来れたのは、恐らくは神々(調整者)が此の次元を去るに当たり、未来に起こる事を予知して此の次元に神々(調整者)が残した『古きものども』への対抗策たる『神機』を目覚めさせる契機にする為だったのだろう。
でなければ、此の様に殆ど問題無く大多数の『神機』のメインパイロットが、父様達の次世代に生まれる都合の良さを説明出来ない。
しかし、そんな神々(調整者)の予知や都合はこの際どうでも良くて、僕達は否応なしに与えられた『神機』とそれに付随する様々な魔法科学技術を活かして、僕達の住む此の銀河系から『バグス』全てを殲滅するつもりだ。
なので、此れからは学生生活メインでは無く、『神機』のメインパイロットとしての任務を主体として生活する事になるだろうな。
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そんな決意をして3年が経ち、僕と仲間達は学校の高等部を卒業する事になった。
既に学校は、『オービタルリングⅠ』内に各学年の支部が出来ていて、僕の妹達と弟も宇宙に上がって宇宙空間での様々な訓練を受けている。
父様と母様達も、時折地上のアスガルド城に帰る事もあるけど、殆どの時はオービタルリングⅠに造られた『天空城ウラノス』に滞在していて、其処で政務と軍務を熟している。
僕や仲間達は、基本的に月面に設けられた軍事基地『アルテミス』で、日中は『神機』での訓練とパワードスーツでの宇宙空間戦闘の訓練を熟している。
『神機』は確かに凄まじい戦闘力を持つが、どうしても攻撃力が高すぎて味方まで倒してしまいかねない。
なのでどうしても、敵の宇宙船内や地上戦になった場合は、パワードスーツでの戦闘に頼らざるを得ない。
そして、僕と『劉玄徳』殿そして『源義家』殿は他のメンバーとは違い、艦隊運用のレクチャーと実践を日々徹底的に訓練している。
現在、帝国が建造した『モノポール(磁気単極子)型宇宙戦艦』達を、月の内部にあるメンテナンスベースでの最終調整で『縮退炉』を主機としてモノポールを補機とした、
『超光速恒星間航行用宇宙戦艦』として生まれ変わらせ、来る『バグス』達の先遣艦隊2億8千万を撃ち破るべく、腕を磨いているのだ。
此のタイプの宇宙戦艦は漸く6隻が就航したので、現在メインパイロットと共に活動できる『神機』6機の母艦として機能して貰う事が決まっている。
此の様に、着々と帝国は戦闘体制を整えて、何れやって来る『バグス』達との戦争に備えているが、3年前に発した月にあったFTL通信設備からのFTL通信が、未だに本来の『人類銀河帝国』からの受信が無いことに、父様とセリーナ・シャロンの母様達そしてイーリス様は焦燥感を募らせていて、僕達も返事は何時来るかと悶々としていた。
この話しで、第二章の終了となります。
本当は、もっと長くアポロとその仲間の学生生活をじっくりと書いていこうかなと思っていたのですが、諸事情でその辺は別の主人公での話しとなりました。
その代わりと言っては何ですが、第三章となる次回からは、いよいよ舞台は惑星アレスを離れて、別の星系の話しに移り、『バグス』達との宇宙戦闘の話しとなります。
FTL通信を発信したにも関わらず、返信して来ない本来の『人類銀河帝国』の首都である惑星アデルの現状は?
他の[人類に連なる者]達の星系の状況は?
現在の銀河系の状況は?
数々の疑問点を解消するべく、アランと息子のアポロは、いよいよ星間戦争の荒波に漕ぎ出します。
それでは次回もお楽しみに。