第三章 序話
[帝国前史アーカイブ]
・帝国暦二千二百五十六年
人類銀河帝国 航宙艦イーリス・コンラートを始め、帝国航宙軍は同クラスのギャラクシー級戦艦級5隻を、銀河系に於ける『バグス』達の母星、或いは生産拠点を探査する為に派遣する。
・帝国暦二千二百五十八年
突如、赤色艦隊レッドフリートスピカ方面軍第238艦隊2番艦。長期深宇宙探査任務のために建造されたギャラクシー級戦艦が、ケンタウロス星系を越えた辺りの超空間で連絡を断った。
航宙艦イーリス・コンラートは、一定間隔でワープアウトしては探索を行いマッピングする任務中であったが、前代未聞の超空間での攻撃を受けたと帝国の誇る戦略AIによって推論された。
ただ、超空間での航跡ロストの為に、何処にワープアウトしたかは追えず、あまりにも多くの可能性の数に、帝国航宙軍は追尾して回収出来る可能性を早々に放棄して、諦める事にした。
・帝国暦二千二百五十九年
人類銀河帝国の構成国家の内、銀河系の外縁部に当たるコーカサス星系の星間国家が、バグスの大攻勢を受けて僅か一週間で滅ぼされた。
バグスは従来の艦隊戦では無く、巨大な質量を持つ惑星クラスの大きさを持つ正体不明の兵器群によって帝国航宙軍の艦隊を蹂躙し、圧倒的な物量によって人類の住む惑星を接収して、人類を隷属化と牧場化して制圧した。
・帝国暦二千二百六十年
最初のバグスの大攻勢から、この八ヶ月で星間国家が十以上滅ぼされた。
その侵略方向から、真っ直ぐに人類銀河帝国首都であるアサポート星系第3惑星アデルを目指している事が判明した。
急遽、付近の各星系に駐留していた帝国航宙軍の艦隊と、質と量に於いて最強の第一から第百までの帝国航宙軍の正規艦隊を振り向けて、大規模なバグス艦隊を迎撃すべく侵略方向の手前で遊弋させながら編成作業に取り掛かった。
・帝国暦二千二百六十一年
人類に連なる者の星系群が無い宙域で、帝国航宙軍の大艦隊とバグス艦隊の大艦隊は会敵した。
当初は伯仲した物量の戦力だった為に、優勢な戦闘状況で進めていた帝国航宙軍であったが、徐々に戦闘域にワープアウトして来るバグス艦隊が増え続けた為に、劣勢となって行った。
特に例の巨大な質量を持つ惑星クラスの兵器群を、一つも攻略出来ない事実が響いてきた。
此の兵器群は、一つ一つが惑星クラスの質量であるにも関わらず、信じ難い事に縦横無尽に艦隊戦をしている戦場に侵入しては暴れ回り、帝国航宙軍は陣形を維持する事が出来ずにいた。
然も、詳細な探査結果の結果、此の兵器群は生命体である事が判明した!
云わば、『宇宙大怪獣』とでも呼ぶべき存在で、どの様な生体なのか普通に推進剤等を使わずに移動して、巨大宇宙戦艦の主砲から繰り出される粒子砲を遥かに超える、生体ビーム砲とでも云うべき代物を口と思われる器官から吐き出して来る。
そうして、僅か3日間の激闘によって千年に及ぶバグスとの防衛戦争は、史上類の無い大会戦で敗北を喫してしまう。
此の事実によって、人類側の負けがほぼ確定してしまった。
・帝国暦二千二百六十二年
人類銀河帝国の代表たるアデル政府は、事此処に至り最終防衛線をアサポート星系の外縁部に定め、帝国にとって禁忌の兵器である兵器を改良して増産していた。
その禁忌の兵器とは、まだアデル政府が『人類銀河同盟』を名乗っていた頃の、サイヤン帝国との対戦時に使用した『ノヴァミサイル』を、より強力に改良した『ノヴァ重力子ミサイル』。
此の『ノヴァ重力子ミサイル』10万発を、敵バグスの大艦隊と『宇宙大怪獣』達に使用する作戦だ。
殆ど、警戒行動を取らずに侵攻して来た敵バグスの大艦隊に、帝国航宙軍はありったけの『ノヴァ重力子ミサイル』を浴びせる様に撃ち放った。
当然の様に『ノヴァ重力子ミサイル』は、次々と敵バグスの大艦隊を巨大な火球と共に飲み込んで行ったが、肝心の『宇宙大怪獣』達は其の身に纏うバリアーによって、『ノヴァ重力子ミサイル』を弾き返し、あまつさえ弾いた『ノヴァ重力子ミサイル』を喰っていった。
そして、なけなしの帝国航宙軍の艦隊を蹂躙したバグス達は、防衛能力を失ったアサポート星系第3惑星アデルに襲い掛かった。
あらゆる惨劇がバグス達によって行われ、遂に二千二百六十二年に及ぶ帝国暦は其の終焉を迎えてしまった。
その後は、人類銀河帝国を構成する各星系が細々と存在していたが、2億もの物量を誇るバグスの大艦隊と『宇宙大怪獣』群により、次々と失陥して行った。
そう、人類に連なる者は、斜陽の時代を迎える事になったのだ。
だが、バグス達の司令塔たる『マザー』も予想出来なかった事態が、銀河系の外れの暗証宙域とも呼べる場所の、帝国からもバグス達からも注目を惹かなかった、ある惑星に於いて小さな変化が起こっていた。
その小さな変化は、やがて大きなうねりとなって、此の銀河の命運をひっくり返す事に成るのだった。
さあ、始まりました第三章です。
そもそもの処、此の二次小説を書きたくなったのは、原作が持つ壮大な銀河系レベルの物語を、中途半端に終わらせる事があまりにも勿体無さ過ぎて、駄文ながら自分なりの想像を書いてみたかったからです。
本来ならばアランの世代では無く、何世代も掛かって辿り着くべき年数が必要な筈でしたが、自分では原作者様の様に、魅力的なキャラクターは創造出来ませんので、ご都合主義ではありますが、アランの世代で宇宙戦争に突入して貰う事になりました。
どうぞ、その辺は目をつぶってお楽しみ下さって頂けると幸いです。