何時もの様に、日課である食材の調達の為に、地下にある食料貯蔵庫に向かい、賞味期限が切れたレーションと缶詰を運び出す作業をしていると。
「ズンッ!」
という地響きの伴った大きな音が聞こえて来たの。
慌てて、ヌイちゃんを抱えて地下道の物陰に隠れながら、外の様子を伺うと、バグスの住民狩り部隊が使っている、奴等のドローンがどうやら絨毯爆撃を行ってるみたいな音がしている。
暫くの間、バグスの偵察が無いなと考えては居たのだけど、この準備の為だったのかと理解すると、ジリジリと物陰を移動して、もっと崩れにくい場所に移ろうと、ヌイちゃんと一緒に匍匐前進して行く。
どれだけの時間が経ったのか判らないけど、私とヌイちゃんは息を殺して蹲り、奴等のドローンが過ぎ去って行くのを待った。
どうやら終わったみたいなので、私とヌイちゃんは隠れて居た場所から警戒しながら出て、周囲を見渡して見たの。
ここは地下道だと云うのに、かなり明るくなってる。
地下道の天井部分が大きく穴を開けていて、そこから陽の光が差しているらしい。
これでは雨が降れば水が地下道を通り、避難場所に水が流れ込み兼ねない。
そんな予想をして気分が滅入って行くのを感じながら、私はヌイちゃんと自転車で引っ張るリヤカーの所に戻り、自転車が壊れていない事を確認し、再び食料を運び出す作業を始めたの。
警戒しながら、天井が崩れた所為で進みにくくなった地下道を、ゆっくりと避難場所に向かうと、みんなが瓦礫の撤去作業を音を立てない様にしていた。
夜になって、みんな疲れ切って泥のように眠ってたら、その深夜過ぎに騒ぎが起こったの。
最初は、誰かの火の不始末かと思ってたら、どうやらバグスの住民狩り部隊が使っている、人狩り生体マシーンが避難所に居る人々を襲い始めたらしいわ。
どうやら昼間の絨毯爆撃は、この人狩り生体マシーンを地上に多数降下する事実を、誤魔化す為に行ったみたい。
何人もの人達が、この人狩り生体マシーンが発射する麻痺弾を受けて、倒れてしまっているから、その人達を連れ去られない様にする為に、必死に自警団が応戦してるんだけど、そもそも武器は大した物を持って無いから、ドンドン人狩り生体マシーンに捕獲されて行く。
私とヌイちゃんも必死に抵抗したけど、直ぐに疲れ切ってしまい、アッサリと捕獲されてしまったの。
そして、意外と丁寧にバグスの住民狩り部隊が使用する、人間用の護送車に乗せられて、人間牧場に連れて行かれ始めたの。
一緒に連れて行かれる周りの避難民も、みんな諦めきった顔をして、ひたすら俯いてしまってるわ。
人間用の護送車が人間牧場に向かって走っている間に、時が過ぎて行きやがて朝になったのか朝焼けの日差しが護送車の中を照らし始めたの。
私は、人間牧場に入れられたらもしかすると、二度とお日様は見れなくなるかも知れないと思い、朝焼けの日差しを手を翳しながら見上げて見たの。
暫く、お日様を眼を瞬きながら見てたら、何だか羽根の塊の様な浮遊物がお日様の中に見えて来たの。
疑問に思いながら、呆然とその羽根の塊を観察してたら、その羽根から何やら半透明な泡が大量に放出されたの!
その泡は私達の護送車に打つかると、突然泡で護送車毎私達を包み込むと、空中に浮かばせたの。
すると、いつの間にか空中に現れた巨大な船に、私達は護送車毎吸い込まれて行って、私達以外の避難民達も同じ様に回収されたの。
私達が呆然自失している間に、あれよあれよとみんな回収されて、船内で泡が簡単に消え去ったので、私とヌイちゃんが護送車から船内に降りると、そこで待機してたらしい白衣を着ている人達が、手を私達に翳してきて何だか判らないけど、手の平から柔らかい光を私達に浴びせて来たの。
「エッ」
思わず声を出して驚いちゃったわ。
だって、ナノムの定期補充をしてないから、身体の至る所に有った痣や傷がたちまち治ってしまい、ずっとおかしかったお腹の具合もアッサリと良くなって、気分まで良くなってしまったわ。
何が何だか判らなくて、只々呆然と立ってたら白衣の人達が私達避難民全員を誘導して、どうやら救急設備の整ったベッドやコクーン(繭)が有る部屋に通されたの。
漸く、落ち着いて来た私達は、元気の有る人を中心に、私達を救ってくれた人々に感謝の御礼をしてから、状況の確認と自分達の家族や知り合いが収容されている、人間牧場や生産工場からの人々の解放を願い出た。
ヌイちゃんに至っては号泣しながら、「お母さんを助けて下さい!」と白衣の女性に抱きつきながら懇願している。
抱きつかれた白衣の女性は、ヌイちゃんを優しく抱き上げて、空間に映像を浮かび上がらせると、ヌイちゃんの生体コードをナノムデータから抜き出して、検索してくれたの。
すると、5秒程でヌイちゃんのお母さんとAR通信を繋いでくれて、空間の映像越しにヌイちゃんとお母さんの会話が出来る様にしてくれたわ。
「お母さん、大丈夫なの? 何処に居るの? 何時会えるの?」
と立て続けにヌイちゃんが質問したら、
「ヌイちゃん安心してね。 お母さんは無事よ、そしてお母さんは今宇宙に居て、宇宙船の中で保護されているわ。 そしてもう少ししたらヌイちゃん達も此処に連れて来て貰えるから、直ぐに会えるわ!」
そうヌイちゃんのお母さんは返事してくれたので、ヌイちゃんはホッとしたのか崩れ落ちるように倒れたので、白衣の女性はヌイちゃんを抱いたまま歩いて、保温されたベッドにヌイちゃんを寝かせて上げた。
続いて私も家族の事を聞こうとしたら、慌てないでと制されて私用のベッドに寝かされて、飲むように促されたナノムの錠剤を渡されたのでそれを受け取り、直ぐにナノムの補充をしたら、凄いスピードでナノムが身体中に染み渡り、あっという間にナノム・ネットワークが構築されて、現状がかなり詳細に把握出来たの。
信じられない思いで、隣に居た白衣の女性を見上げながら尋ねた、
「・・・貴方方は一体・・・?」
そう聞いた私に対して、白衣の女性は誇らしそうに答えてくれたの。
「私達は、『人類銀河帝国』の帝国軍所属魔法医療職員の一員よ!
貴方方、同胞たる『人類に連なる者』を救う為にやって来たの!」
そして優しく私の額に手を載せてくれて、その瞬間私は眠りに着いてしまったの。
深い眠りの中で私は、「どうかこの幸せな夢を覚まさないで!」と、神様に願った。