皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第3話 

 「此れは?!」

 

 僕の驚愕の声は、恐らく会議室に集った全員の心の声だと思われる。

 

 絶対にそうに感じていたに違い無い!

 

 其れは我々惑星アレスの住民の立場からしたら、遥かに文明の進んだ本来の『人類銀河帝国』の首都、アサポート星系第3惑星アデルの綺羅びやかな都市群が、侵略の業火に焼かれている映像だった。

 

 此の映像は、辛うじて残っていた本来の『人類銀河帝国』の構成国の一つである、ジャイア星系のセンタナのナノム・ネットワークに残っていた、クラウドのライブラリーから回収した復元データで、凡そ18年前の資料映像だった。

 

 つまり、本来の『人類銀河帝国』の中枢は、18年も前に滅んでいたのだった!

 

 会議室の中央で、佇む父様とセリーナ・シャロンの母様方は、初めて見る映像を呆然と見ながら言葉を失い、ひたすらブルブルと拳を震わせているのが、横に居たので良く判った。

 

 僕は、やや越権行為では有るが、壁一面に映されている映像に復元データから得られた資料を、詳細に映し出した上で、18年前からの我等の居る銀河系の勢力図を、全員で見ることにした。

 

 本当なら、予め少数の帝国中枢の要人のみで見るべきだったんだろうけど、丁度帝国軍の大会議が行われている最中に、ライブラリーから回収した復元データが整理出来たとの、編纂作業をしていた職員が報告して来て、一刻も早く情報に飢えていた父様が、構わないからモニターに映せと命令してしまったのだ!

 

 正直僕も、こんな映像と資料がいきなり映し出されるとは、全然想定していなかった!

 甘いとは今更ながら思うが、あの僕達よりも遥かに進歩した科学技術を誇る、本来の『人類銀河帝国』がこんなにアッサリと滅んでいるとは、未だに信じ難い。

 

 だけど、此の映像と資料が現実なのは疑いようの無い事実だ。

 既に我々帝国が頼るべき味方である、本来の『人類銀河帝国』は中枢たる首都、アサポート星系第3惑星アデルを失陥し、頼るに足る戦力を得ることは不可能となった。

 

 そう、我等は独力で銀河系を埋め尽くさんと押し寄せて来る、バグスの大艦隊そして奴等が使役するあの『宇宙大怪獣』群と、戦わなければならない!

 例え其れが如何に無理難題であろうとも、断絶されている同胞たる『人類に連なる者』達を救いながら、本来の『人類銀河帝国』を復活させなければならない。

 

 そんな事を考えながら、僕は自分のグループで会議室の一角に集まりディスカッションを始める。

 

 「・・・しかし、此の事態は想定していた最悪のケースの次に酷い状況だな・・・。」

 

 先ず僕達のグループの中で、最年長の『黄忠』殿が呟く様に言われた。

 

 「ああ、こうなると一気に本来の『人類銀河帝国』の大戦力と合流して、バグス共を駆逐すると云う戦略用に練っていた作戦案は全て無駄になったな」

 

 「だが、良い面もあるぞ! 此れで本来の『人類銀河帝国』からの意向を考えずに行動出来る!

 もしかすると、我々の軍事力を良いように使われて、利用し尽くされる懸念があったのも事実だしな!」

 

 そう、次に年長の『劉玄徳』殿と『源義家』殿が会話する。

 

 「そうすると、我等『キャメロット』と『百八家』の意思統一を図らねばなりませんね!」

 

 「その通り!今後の戦局を考慮すると、我等が持つ『神機』達と其れを運用出来る組織は、帝国軍に於いて最強ですので、アラン皇帝陛下と軍部にはハッキリとした、此方の決意と方針を打ち出すべきでしょう!」

 

 そして、僕達の軍師である『安倍晴明』と『諸葛 亮』が僕とグループ全員に、周知させる様に宣言した。

 

 当然僕も、彼等の提言と今後の事を考えると、なるべく軍部の重鎮の方々と方針や意思が乖離してしまう事は、避けて置きたい。

 

 なので、幾つかの提案と行動指針案を練る事にして、父様と軍務尚書以下の軍部重鎮の方々に了解を得る事にした。

 

 「陛下! 私共『神機』部隊は、此の本来の『人類銀河帝国』の状況を鑑み、自分達なりの意見と方針を統一したいと思いますので、特別会議室の入室をお願い致します!」

 

 そう僕が進言すると、父様は『ダルシム』軍務尚書と『岳飛』統帥本部長と目配せし、

 

 「・・・良かろう、此の新たな情報で帝国としても方針変更を迫られた。

 取り敢えずは、軍部の方針を定めるに辺り、お前達『神機』部隊の意思を聞いておきたいからな。

 お前達が納得の行くまで、話し合うが良い!」

 

 そう僕達に許可を与えられたので、此の全体会議室に居た僕のグループに所属する15人が、僕と共に少し離れた特別会議室に出向くべく退席させて貰った。

 

 そうやって僕達が出ていこうとすると、軍部の重鎮の方々が非常に穏やかな視線を投げかけて居るのが見えた。

 

 廊下に出て、僕は全体会議室に出席してなかった、褒姒と親友達、それにクーガー達ラウンズのメンバーに特別会議室に出向く様に命令した。

 

 暫くして、僕の命令通りに全員が特別会議室に集合したので、軍師たる『安倍晴明』と『諸葛 亮』に司会進行させる。

 

 「皆さん、先ずは此の映像と資料を共有して下さい!」

 

 と『安倍晴明』の言葉が述べられて、皆が此の特別会議室の機能である、ナノム・ネットワークの完全共有をリンク状態にして、入室している30人がAR空間で全てのデータを完全共有した。

 

 「此の通り、状況は想定されていた最悪に限りなく近い状態です。

 なので、今後は一気にでは無く、地道に地歩を築きながら本来の『人類銀河帝国』を取り戻すしか有りません!

 皆様のご意見と思いを、どうぞ忌憚無くご披露下さい!」

 

 と『諸葛 亮』が促す様に全員の意見を募った。

 

 すると、次々にみんなが意見を出し合い討論を重ねる中、僕は敵の最大戦力と思われる『宇宙大怪獣』群に思いを馳せた。

 

 《・・・どうやら、甘く見ていた様だな・・・、まさかたった一撃で惑星を砕く敵がこんなに居るとは?!》

 

 然も、此の『宇宙大怪獣』共はアッサリと本来の『人類銀河帝国』の切り札と思われる、『ノヴァ重力子ミサイル』の10万発という物理攻撃としては、凄まじい威力の攻撃を弾いてしまった!

 

 此の事実は、神々(調整者)の遺産たる『神機』を持っていると云う事で、心理的な優位性を確立させていた僕達に取ってかなりの衝撃だった。

 

 もしかすると、『神機』と同等かそれ以上の存在が敵陣営に数多く居る事実!

 

 ひたすらその重い事実は、特別会議室で沈思黙考し続ける僕の脳裏を埋め尽くしていた。

 

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