「・・・と云う訳で、此の星間国家シレノス星系の人類が住んでいる2連星シレノスとシリウスを、先ずは全力を上げて救出しましょう!」
と僕が自分の仲間と同僚達の統一意見を申し上げた。
天空城の一室にある父様の私室で、僕と父様そしてイーリス様の内輪での戦略会議が、AR空間で行われている。
帝国としての大方針と大筋の戦略は、軍部と政務部が徹底的に討議して、10年スパンの行動指針と予算枠での配分による軍事力向上が決断されて、財務省による了承が取れた。
その上で、限られた行動制限の出来る範囲での作戦案として、最も近い星系に有る星間国家シレノスを如何にするかを考える事になった。
其処で、事実上の最高意思決定をする為に、父様とイーリス様は僕を招いて、忌憚のない戦略会議をする事になったのだ。
「・・・まあ、其れ以外の選択肢は無いと言って良いだろうな。
後はどの様な体制で臨むかと、敵バグスの状況を俯瞰して、どの様に対応して来ても大丈夫な様に、万全の用意を事前に準備しよう・・・。」
そう父様は言葉を述べて、AR空間で今現在のシレノス星系に布陣しているバグスの艦隊と、近くの星系等に居る他のバグスの艦隊と『宇宙大怪獣』の状況を確認して、我等、人類銀河帝国航宙軍が攻撃した場合の予想分布図を、僕とイーリス様と共に幾つもの想定案を出し合い、三者三様での作戦行動をAR空間でシミュレートして、イーリス様に作戦成功率の高い作戦案を何千回ものシミュレートをしてもらい、選び抜いた。
翌日、僕は毎日行われている軍事会議に於いて、若手の軍人全員での提案と云う形で、此の作戦案を提出した。
当然此の軍事会議の前に、僕の組織『キャメロット』と褒姒の組織『百八家』に所属する、若手の軍人全員に周知させた上で納得させ、其れ以外の若手の軍人にも予め資料を見せて理解して貰っている。
何故こういう形にしたかと云うと、父様が作戦案を提示する場合、皇帝と云う立場から殆ど無批判で作戦案が了承されてしまい、自由に討議する機会を醸成出来ないと踏んだからだ。
案の定、若手からの提案と云う形の作戦案に、様々な角度からの質問や問題点の見つけ出しが、軍部の重鎮や壮年の軍人から挙がり、指摘された問題点の対処法と何処までやるかの説明を、僕と若手の軍人達は全て答えきった。
お陰で、軍部の重鎮や壮年の軍人からも賛同を得られたので、此の作戦案を基軸として軍部は行動する事が決まり、帝国の御前会議が開かれる事が決まった。
帝国の御前会議は、帝国の廷臣達と同盟国の面々が出席される中、満場一致で作戦案は了承された。
そして2週間後、作戦が実行される。
星間国家シレノス星系の人類が住んでいる2連星、シレノスとシリウスを救う為に人類銀河帝国航宙軍は艦隊を出港させた。
2艦隊計300隻が、2隻の宇宙要塞艦に積載されて超空間航行で2ヶ月の距離に有るシレノス星系に向かう。
他の4個艦隊は、2個艦隊が惑星アレスの守備を主任務として、此の星系を完全に網羅する探査プローブを全域に配備して警戒する。
別の2個艦隊は、月にあった技術の一つで『スターロード』(云わば星と星の間のハイウェイの様な道)を構築する作業に入り、凡そ3ヶ月後にシレノス星系に達する予定。
そして此の艦隊は、当然、本国や遠征先のシレノス星系が危機等での援軍要請に対して、超空間航行より上の移動方法である『ハイパー・シフト』を行える、特別なアーティファクトを持つ事になっている。
此の様に後顧の憂いを取り除き、遠征軍である2個艦隊が進発した。
2隻の宇宙要塞艦には、『楊大眼』上級大将と『ヴァルター』大将が乗り込み、『楊大眼』上級大将が主将で『ヴァルター』大将が副将となり、今回の遠征作戦を全て統括する。
其の配下には、『ケニー』大将を筆頭に『高長恭』中将・『霍去病』中将・『カイン』中将を中核とした歴戦の将兵が揃っている。
そして、どの様な状況にも対応出来る様に、人類銀河帝国の最強の戦力である、僕達『神機』部隊の内4機が此の艦隊に配備されている。
そう、僕の『メタトロン』、褒姒の『九尾』、ケントの『応龍』、サクラの『天照』が此の艦隊に配備されているのだ。
残りの『女媧』と『伏犠』は、自立型で惑星アレスの守備が基本行動なので、そのままにして置き、マリアの『ブラフマー』とロンの『ガルガンチュア』には、『スターロード』を構築作業して行く艦隊の護衛に入って貰った。
此の現在取り得る最大戦力による布陣を整えて、我等、人類銀河帝国は母なる惑星アレスから飛び立ち、星間戦争を行うべく遠征軍を派遣したのであった。